むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所クラスター65

2019-09-26 06:41:10 | 小説
 昭和四年七月未明。香港の電器店で店主が、感電死する事件が起きた。店主が高級アーク灯を陳列していて、イギリス人が持ってきた電線を売り場のコンセントに接続させて襲撃したという。公安(中国の警察)は「アーク灯の宗教的な光は実用的じゃない」と思って、値段も高いと感じた。公安が奥さんから事情を聞くと、「イギリスでやってるサッカーの、試合のことで主人と口論してたけど」と言う。公安は世界革命集団第二支店へ行って事情を聞く。長髪にサングラスの男が「全国工業展に出品した電気むちを、イギリス人に売ったよ」と言う。公安が性能を聞くと、「むちの長さは二m。トランスで五千ボルトに増幅するから、顔に一撃食らうと気絶するけど」と答えた。公安がイギリス人の住所を聞くと、倉庫を改装したカフェだ。公安は巨大な電動くるみわり人形がドラム缶を、ぺしゃんこにしている光景を思いながらそこへ行く。他の出品物にあったようだ。カフェの裏に自動車が数台とまっている。裏口に立っているイギリス人の男が犯人らしい。公安が近づくと、「自転車の置き場はそこじゃだめだ」と言う。公安が「アーク灯を買わなくていいのか」と聞いたら走ってカフェの厨房に消えた。公安が追う。外へ出られるドアが半ぶん開いている。公安が外へ出ると発電機を背負って、電気むちを持ったイギリス人の男が立っていた。むちは先端の一mぐらいだけ曲がるみたいだ。むき出しの銅線がまだらに見えている。公安が「おまえが殺したんだな」と聞いたら、男は「おれの予想が的中してたから集金に行った」と言う。犯人だな。男が近づいてきてむちを水平に振る。公安は後ろに飛びはねてよけた。男がむちを左右に振りながら近づいてくる。公安は走って駐車場へ逃げた。男が追ってくる。公安は自動車を背にして、様子を見た。男が近づいてきて公安へ向けてむちを斜めに振り下ろしてくる。公安はぎりぎりでよけて自動車の反対側へ走った。むちが自動車のボディーに当たって、「ばちっ」と音がする。公安は自動車のまわりを逃げまわった。むちが自動車に当たって、「びちっ。ばちばち」と音がして、火花が飛び散る。公安が自動車のバックミラーをもぎとって、むちの先端を受けとめると金具が銅線にひっかかって、炎と煙が出た。男がむちを釣りざおのようにして引き戻すと、男の背なかが一瞬、アーク灯のように輝いてから背負っていた発電機が燃え始める。公安は男を逮捕した。



超IQ研究所クラスター65

2019-09-18 07:44:34 | 小説
 昭和四年八月未明。北京でパン屋の店主が、店先で焼き殺される事件が起きた。目撃していた店員は「パンがいつもより多く売れてて、社長が変な男に連れ出されました」と言う。死体は揮発油のような物をかけられて、火をつけられているみたいだ。公安(中国の警察)の脳裏にパンをあれこれと描写したノートが浮かぶ。最後は「ご主人」に食べられて終わっている。思考描写におかしな物体がまざっていて、どうりで暑いのにパンが売れているわけだ。公安が奥さんに事情を聞くと、「犯人はうちの、農場の用心棒よ」と言う。死んだ店主は農場も経営していたらしい。テーブルの上に、「世界革命集団第三支店」の名刺がある。公安が奥さんに聞くと、「こいつから変な機械を買ったのよ」と言う。公安は世界革命集団第三支店へ行く。倉庫のなかに、張りぼてな金属製の造形物が並んでいる。奥で高さ五〇㎝ほどの金属製容器に電気コードを、とりつけている角刈りの男がいた。公安が「それは、なんだ」と聞いたら、「食用油を気化させて、朝食用のパンを焼く装置だよ」と言いながら倉庫の空間に向けて炎が一mほど噴射された。公安が「ガソリンだとどうなる」と聞いたら、「三mぐらい炎が伸びるよ」と言う。公安は、忘却を促進する見えない力は、額面が小さい金貨を密かに地金屋へ持ち込んで、とりひきすることを考える先物思考の思いだと感じた。パンのノートは、誰のだろう。買い手は死んだ店主が雇っていた用心棒だ。公安はその農場へ行く。公安が納屋に入ると、入り口にパン焼き器を背負った男が現れて「なにか用かあ」と叫ぶ。公安が「おまえが殺したのか」と聞いたら、男は公安に向けて炎を噴射した。ガソリンじゃなかったが公安は近くのとうもろこし畑へ逃げる。パン焼き器を背負った男が追いかけてきた。公安が畑のなかで立ちどまって「どうして殺したんだ」と聞いたら、「おれのやり方に口をはさんだから殺したよ」と言う。男がとうもろこしをパン焼き器で燃やし始めた。横に五mほど炎のラインをつくって「この線を越えるとあんたも死ぬぜ」と言う。男が炎のラインを伸ばして、公安のまわりに半円をつくった。公安が炎を背にすると、男は炎を上に向けて、とうもろこしをなぎ倒しながら公安に近づいてくる。男が炎を前へ向けた瞬間に、公安が土のかたまりを投げつけると、ホースの先端に命中して炎が弱くなった。公安が近づいてホースを蹴ると、炎が一回転して男の足もとに勢いよく噴射している。公安は男を逮捕した。


超IQ研究所クラスター64

2019-09-06 13:58:55 | 小説
昭和五年六月未明。北京の漢方薬店で店主が、金属製の三段ヌンチャク(棒を組み合わせた武器)を持った男に撲殺される事件が起きた。ヌンチャクには手加減しながら相手を死傷させる威力がある。つまりカーブした剣のように急所へ衝撃を与える力だ。公安(中国の警察)が奥さんから事情を聞くと、「古代ミイラの売り物があって、主人が大量に仕入れてました」と言う。公安は場所を聞いてそこへ行く。 倉庫で遺跡の出土品を、生きる喜びのように即売していた。公安が責任者に事情を聞くと、「午後から壺のオークションをやるから戻ってくるよ」と答える。しばらくしてから自動車がやってきて、三段ヌンチャクを持った男がおりてきた。長さ四〇㎝ほどの金属棒が三つと、つなぐ鎖が九㎝ぐらい。公安が「漢方薬店の店主を殺しただろ」と聞いたら、「『店にきて』と言ってたから殺した」と言う。男が三段ヌンチャクの二段目をつかんで、一段目と三段目を曲芸みたいに回転させ始めた。公安が挑発的にキックで顔面を狙うと男は、ヌンチャクの一段目と二段目を両手で、つかんでキックを受けとめる。男が一段目だけをつかんで、腕とヌンチャクを大きく振りまわし始めた。公安はヌンチャクの先端をかわしてから、飛び蹴りを食らわせたが、男はすばやく二段目をつかんで、一段目と二段目で公安のつま先をはさみつける。公安はもう片方の足で着地してすぐキックしたが、三段目ではじき飛ばされた。男が一段目をつかんで、肩口を狙って大きく振ってくる。公安は、「なにか違うだろう」と思いながら、二段目と三段目の、間の鎖を一瞬つかんだがすぐ引き戻された。男が一段目と三段目をつかんで突進してくる。公安は飛びはねて反撃しようとしたが二段目で太ももを打たれて倒された。公安は打たれた太ももを下にしてこらえる。男が目をつり上げて、一段目と三段目をつかんで振り上げて公安の、反対側の太ももを二段目で打つ。男が公安の後ろにまわり込んで、二段目を公安の首にかけて、ヌンチャクを三角形の形にして締め上げようとしている。公安は二段目をつかんでこらえた。男は一段目と三段目を重ねてつかむようにして、腰の高さまで引き上げて公安を左右に振る。オークションの客が目を輝かして見ていた。最初に打たれた足の感覚が戻ってくる。公安が回復した足で男の軸足を払うと、男はプロペラのように回転して、頭を地面にぶつけてから、ヌンチャクを離した。公安は男を逮捕する。