むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所 厳選短編小説 ある中国人の作品

2019-01-20 12:02:34 | 日記

この機山という中国人は、地球板の1940年前後から日本人の未来へと呼びかけている。超IQ研究所では機山がつくった千文字の短編小説を80編ほど解読して完成させた。これは似た内容の原稿を持っている人が日本にかなりいると考えられる。そこででき損ないの部類ではあるが機山の作品をもう一編紹介しましょう。

 昭和一四年八月未明。北京で錠前屋の店主が、マイクスタンドで胸を刺されて死ぬという事件が起きた。店主が白銅貨をにぎりしめて死んでいることから、客に釣り銭を渡そうとして、客に刺されたみたいだ。公安は「こういう事件は思いや考えを入れない方がいい」と直感した。公安に通報してきたのは、錠前屋の番頭だったけど番頭は身長が1m90㎝ぐらいあって、いまにも殴りかかってきそうな雰囲気がある。公安がマイクスタンドについて聞くと、「鳥かごやバンドネオン(ドイツ製のアコーディオン)を持ってくる客がいるから気にならなかったんだろう」と言った。公安が「バンドネオンにどうやってかぎをつけるんだ」と聞いたら、番頭は「『空気を出し入れする鍵盤に、小型の南京錠をつけると音色に重厚感が増す』と言うから特別につくったよ」と技術者らしく答える。公安は、なにか誓っていたような気がするけど忘れて、子供がいる歌手といない歌手の違いを考えながら、「いつも店主が接客してるのか」と聞いたら、番頭は「ドアに錠前をとりつける工事はかなり高額なので店主が応対してるけど」と言う。現場を調べるとマイクスタンドはマイクがもぎとられるような形で折れて店主に突き刺さっている。マイクにコードがついていて販売カウンター手前のフックにひっかかると、スタンドがカウンターのなかへ飛び込むようだ。犯人は南京錠かなにかを買ってマイクスタンドのマイクとコードだけ持って帰ったんだろう。公安は「事象が短絡したような現象だ」と思いながらマイクスタンドの業者を張り込んで、買いにきた「世界革新集団」のメンバーを名乗る男から、事情を聞く。男は世界革新集団の資材係で「メンバーが急増して勝手にマイクスタンドを持ち出すから、錠前をつけようとしたんだけど」と言う。公安はもぎとられたマイクを確認してから、男を逮捕した。公安がマイクスタンドに錠前をつけるとどうなるか聞いたら、男は「言論にかぎをかけると時間がとまる」と言う。公安が「思考が停止する手変わりのある金貨に、直撃されたときに役立たないだろうか」と思いながら、「時間をとめて、なにをやるんだ」と、聞いたら男は「音楽に聴き入る」と答えた。公安の脳裏にバンドネオンと称して別な楽器を演奏している男が浮かんだ。きっとバンドネオンは高級な楽器なのだろう。
 おわり


超IQ研究所   6

2019-01-03 10:07:03 | 小説

三三二三の悪魔   [「一文銭ゲーム二」で反応しました]
機山   [一辺が五mで、正方形の陣地が二つあって二人で対戦。二つの陣地に、はさまれるように一m四方のテーブル。長さ三〇㎝の黒いひもと白いひもを結んだ一文銭が一〇〇〇枚ずつ。大きさが五㎝ぐらいで、平らな石がテーブルの横に一〇〇〇〇個ずつある。自ぶんの陣地に一文銭一〇〇〇枚と石一〇〇〇〇個を、相手に一文銭が、拾いづらいように置く。相手の陣地で一文銭を先に一〇〇〇枚拾って、テーブルに並べた方が勝ち。ルールは石を重ねてもよいが、ひもを結んだり巻いたりしてはいけない。一文銭の持ち方は自由。石をけってはいけないが踏んでもよい。陣地の外に出てもよいが、石を外に出すのはだめ。さてどうやって遊ぶ]
四七四三の悪魔   [一辺が一〇〇個の二乗で地面にびっしり。だけど五㎝の石を二個つかんでもそれほど早くできない。並べるのに一〇〇〇〇秒だから二時間四七分ぐらいよ。一文銭を置くときの、一〇〇〇秒をプラスして三時間四分くらいだけど、両手を使うと二ぶんの一で一時間三二分ぐらいね。これは重ねない場合だけど山のように、積んでも三時間以内にできる]
五六四一の悪魔   [ふちに五個積んだ石を倒して、石が外に出た場合は]
機山   [石が外に出たときは、拾って陣地のなかに入れること]
四七四三の悪魔   [倒れる積み方なら外側から内側へ倒せばいいから問題ないわ。両手を使わせないようにする作戦の場合よ。石の上に一文銭を置くと、石をめくってすぐ拾うよりも時間がかかる]
五六四一の悪魔   [石の置き場所をあけて、そこに一文銭を置くとやりづらいわ]
機山   [書類は「一〇〇四ねん二がつ二にち。さんかりょうは一もんずつ。じゅんびがはやいと五もんで、かつと一〇もんもらえる。おりづる四〇さいとさるすべり五〇さいがいし一〇〇〇〇こ一もんせんひろいでたいせん。おりづるはきんとうに一こずつならべて一もんせんのひもをのばしてまぎらわしくするさくせんだ。さるすべりはあきばしょと二だんづみをまだらにして、一もんせんをいしではさんだりあきばしょにおいたりしている。おりづるがせんちゃく五もん。かいしするとどちらもりょうてでいしをはしにつめてならべて、一もんせんをほうりなげている。さるすべりのあきばしょが、一もんせんのおきばしょにされた。おりづるのかち」。石を積んで置き場所にされたら負けだ]

三三二三の悪魔   [「一文銭ゲーム三」で反応しました]
機山   [陣地と、一文銭とテーブルは、一文銭ゲーム二と同じだが、石が三㎝ぐらいで二五〇〇〇個ずつ。ルールの違いは石を踏んだりけったりしてもよい。石は河原に落ちてるきれいな石だ]
四七四三の悪魔   [一辺が一六六個かける一五〇個で二四九〇〇個だから一個ずつ並べてほとんどびっしりね]
五六四一の悪魔   [ひもの太さは]
機山   [二㎜ぐらいだが三〇秒あれば石に、隠れるように巻ける]
四七四三の悪魔   [時間はいちどに二.五個つかめば五㎝の場合と同じだけど三個つかめるわよ]
五六四一の悪魔   [片足で石を払いのけると幅二五㎝くらい。手のひらが一〇㎝で両手だと幅二〇㎝。でも大きさが三㎝の平らな石だと、厚さが一㎝ぐらいだから足じゃ一文銭を引きずるわ。そのかわり、一文銭の置き場所はすぐつくれる]
四七四三の悪魔   [三㎝の石だとめくらなくても少し動かすだけで見えるから、一個ずつびっしり並べるとすぐ終わるわよ。五〇㎝四方が一〇〇ますあってひとますを、三秒で石をよけて、一文銭一〇枚をそろえて置くのに一二秒くらい]
機山   [書類は「一〇〇五ねん一がつ一にち。つばき三九さいとかがみ二八さいがいし二五〇〇〇こ一もんせんひろいでたいせん。さんかりょうは二もんずつ。じゅんびがはやいと六もんで、かつと一二もんもらえる。かがみが一こずつきんとうにならべるさくせんでせんちゃく六もん。つばきはいし一こぶんあけて二こつんでからあいだにはさんだ一もんせんのひもを、すきまにぐるぐるまいている。はんぶんいじょうまるみえだがしたにおいてあることもあるようだ。かいしするとどちらもりょうてをつかって、いしをかきわけて、一もんせんを二〇まいくらいにまとめている。かがみが一もんせんを、つかみなおすばめんがおおい。つばきのかち」。石が小さい場合は石にからみつけて最長だ]

三三二三の悪魔   [「どちらも同じ」で反応しました]
機山   [一文銭ゲーム二と違う部ぶんは石じゃなくて直径二五㎜で長さ一mの竹が一〇〇〇本ずつ。ルールの違いは、竹を踏んだりけったり地面に突き刺してはいけない。竹を陣地の外に出したときは、陣地のなかへ戻すこと。一文銭を陣地の外に出した場合は、手を離した状態で陣地の地面に置いてから拾う]
四七四三の悪魔   [一m四方に四〇本だから、地面にびっしり並ぶわ。一文銭は竹に四回転近く巻ける。竹は一時的に外へ置けるから、外側の竹に巻きつけると、一文銭の置き場所がなくて、時間がかかるわ]
五六四一の悪魔   [二五㎜だと片手で三本つかめるから二本ずつ二〇段に積めば二本しかつかめない。高さが五〇㎝]
四七四三の悪魔   [ひもに巻いてもいいの]
機山   [だめだ。重さで、ひっかけるだけで一文銭を引っ張るとすぐほどける]
五六四一の悪魔   [一本に一枚巻いて、高く積んでわやくちゃになれば一本しかつかめない場面が多くなるわ]
機山   [書類は「一〇〇六ねん一二がつ一二にち。ふえふき二〇さいとはにわへいし四二さいがたけ一〇〇〇ほん一もんせんひろいでたいせん。さんかりょうは二もんずつ。じゅんびがはやいと四もんで、かつと一〇もん。じゅんびはどちらもたけに一もんせんを一まいずつまいている。ふえふきがそとがわ三ほうこうのふちに、二ほんずつこしのたかさぐらいにつんだ。はにわへいしはかどの四かしょに、三ほんでろっかくけいのかたちに、せたけよりたかくつんでいる。ふえふきがせんちゃく四もん。かいしするとふえふきがそとがわからつんであるたけをたおしてわやくちゃになった。はにわへいしはかたてでたけを、二ほんつかんで一もんせんをはずして一かしょにほうりなげている。はにわへいしのかち」]

三三二三の悪魔   [「ぞうきん」で反応しました]
機山    [一文銭ゲーム二と違う部ぶんは石が直径二㎝で六二五〇〇個ずつ。それに厚さ二㎜ぐらいで二五㎝四方のぞうきんが一〇〇〇枚ずつある。ルールの違いは、ぞうきんを地面につけてはいけない。ぞうきんを結んではいけない。どうやって遊ぶ]
四七四三の悪魔   [一辺に二五〇個かける二五〇個が六二五〇〇個ね。遠くのかどに、石を一四四個敷いて上に、ぞうきんを二五〇枚重ねて高さが石と五〇㎝。それを四つ密集させて他の石は、対角線のかどに山積みする]
五六四一の悪魔   [たたんでなかへ押し込むと大きさが一〇㎝ぐらいのかたまりになるわよ。石四個で台座をつくって上に置いて、奥のかどに密集させれば最長]
四七四三の悪魔   [一〇㎝だから一m四方に一〇〇枚ぶんで、上に八一プラス六四プラス四九プラス三六プラス二五プラス一六プラス九プラス四プラス一枚置けるから三八五枚。下段に一一の二乗、一二の二乗、一三の二乗、一四の二乗を加えると一〇一五枚になる。遠くのかどにピラミッドね]
機山   [書類は「一〇〇七ねん一一がつ一一にち。おおむらさき三五さいともんしろちょう四〇さいがぞうきん一〇〇〇まいいちもんせんひろいでたいせん。さんかりょうは三もんずつ。じゅんびがはやいと四もんで、かつと八もん。じゅんびはどちらもぞうきんをまるめて、一もんせんをいれたりいれなかったりしている。おおむらさきはてまえのかどに、いしをやまづみにしてとおくのかどで、ぞうきんをつみあげた。せんちゃく四もん。もんしろちょうはてまえのかどでいしをやまづみにしてから、とおくの二へんにひとつずつすこしきょりをはなしてならべている。かいしするとどちらもかどの、いしのやまからりょうてで、いしをはこんで、ぞうきんのおきばしょをつくった。もんしろちょうは四かしょつくったが、おおむらさきは一かしょだ。おおむらさきがぞうきんをひろったあとの、いしをかきあつめて、おきばしょをつくろうとしているがてまえからはこぶよりもおそい。もんしろちょうのかち」]

三三二三の悪魔   [「湯飲み」で反応しました]
機山   [一文銭ゲーム二と違う部ぶんは石じゃなくて直径五㎝で高さ七㎝の湯飲みが一〇〇〇〇個ずつ。ルールの違いは、湯飲みは重ねてもよいが、くずれやすい積み方はだめ。湯飲みをわったらその時点で負け。湯飲みを陣地の外に置いてはいけない。湯飲みの持ち方は自由。もちろん一文銭を湯飲みのなかに入れてもいい。さてどうなる]
四七四三の悪魔   [一辺に一〇〇個かける一〇〇個ね。下向きに、地面に、びっしり並べる他にないようだけど]
五六四一の悪魔   [横向きに並べると五㎝かける二㎝かける一〇〇〇〇個ぶんだけはみ出すわ。平方根をもとめると約三一六㎝四方ね]
四七四三の悪魔   [面積が三五㎝だから二段目に二八五七.一四二・・・個よ。互い違いに並べると二つつかめない。人さし指となか指を広げて二つつかめるか実験したけどつかめないわ]
機山   [書類は「一〇〇八ねん九がつ九にち。けまん二二さいとわらいおきな三四さいがゆのみ一〇〇〇〇こ一もんせんひろいでたいせん。さんかりょうは三もんずつ。じゅんびがはやいと四もんで、かつと八もん。わらいおきなはしたむきにひとつずつならべるさくせんだ。けまんはふちの一れつをしたむきにたててから、たがいちがいに、よこむきにしている。ふちのほうを二だんがさねにするようだ。わらいおきながせんちゃく四もんもらう。かいしするとどちらもりょうてをつかって、うごかしたゆのみをはしに二だんずつつんでいる。わらいおきなはかたてで、ななめにふたつずつつかんでいた。わらいおきなのかち」]

三三二三の悪魔   [「円柱木片」で反応しました]
機山   [一文銭ゲーム二と違う部ぶんは石がなくて、直径七㎝で高さ七㎝の円柱木片が一〇〇〇〇個ずつ。ルールの違いは、木片を陣地の外へ全部出すこと]
四七四三の悪魔   [中央の一m四方に、一辺が一四個の正方形で積むと、一〇〇〇〇わる一九六で五一.〇二〇・・・段。約三五七㎝ね。問題は後ろ向きに投げてもコントロールができないことよ]
五六四一の悪魔    [その可能性を最大にすればいいわ。かたかなの「ロ」だとなん段ぐらい]
四七四三の悪魔    [一辺が三mの正方形だと、外周が全長一二m。かどの計算を省略して三列で五一四.二八五・・・個。一九段と二〇段で高さ一m四〇㎝よ]
五六四一の悪魔   [中央の空間を二五八㎝四方として、二五八の二乗を、木片の大きさ四九でわると一三五八.四四八・・・個。上の五個をなかへほうり込むと三列で二五七一.四二八・・・個だから高さが一.八九二・・・個ぶんしかない。なかに入られるわ。二列にして高さが七個の四九㎝だとなん個ぐらい]
四七四三の悪魔   [一二〇〇わる七が一七一.四二八・・・個。七倍にして二列で二四〇〇個よ。中央の空間は二七二㎝四方だから、二七二の二乗わる四九で残り七六〇〇個をわると高さが五.〇三三・・・個ね。これならなかに入られない]
機山   [書類は「一〇〇九ねん一〇がつ一〇にち。りんぼうかい四六さいとばいかい四〇さいがもくへん一〇〇〇〇こ一もんせんひろいでたいせん。さんかりょうは四もんずつ。じゅんびがはやいと三もんで、かつと一〇もん。ばいかいはちゅうおうに、えんちゅうのかたちにつんでいる。りんぼうかいはそとがわから二ほぐらいのきょりに、せいほうけいのかたちに七だんつんでから、のこりのもくへんをなかへほうりこんだ。せんちゃく三もん。ばいかいのえんちゅうはせたけぐらいになった。かいしするとばいかいはりょうてにもくへんをつかんで、うしろをふりかえってそとへなげている。りんぼうかいはまえをむきながらよこへなげているがおなじくらいのそくどだ。ばいかいがだんだんおくれてきた。りんぼうかいのかち」]

三三二三の悪魔    [「本が売れるように」で反応しました]
機山   [一文銭ゲーム二と違う部ぶんが石じゃなくて、ぶん銅がついた板だ。板は厚さ一㎝で縦が一五㎝、横が一〇㎝。かどに穴があいてて、長さ三〇㎝のひもが結んである。ひもの反対側は大きさが三㎝ぐらいで、重さが一〇〇グラムのぶん銅。それが一〇〇〇〇組ずつある。ルールの違いは、板とぶん銅を陣地の外へ全部出すこと。準備はぶん銅が全部見えるように置く。ひもをからみつけてはいけない]
四七四三の悪魔   [地面にびっしり置くと、四九五㎝かける五〇〇㎝のなかに一六五〇枚よ。六枚重ねて九九〇〇枚。上にぶん銅を六個置けばいい。縦方向に立てると、一m四方に一〇〇〇枚。厚さの部ぶんにぶん銅を置く。これだといちどに五〇枚ぐらい持てるわ。問題は「井」の形に立てて並べるとき。おおざっぱに計算すると、中央に四.五㎝四方の空間があって、五〇〇わる五.五(板の厚さを加える)の二乗が八二六四.四六二・・・(中央の、空間のかず)。空間ひとつを二枚でつくるとして一六五二八.九二五・・・枚(五m四方に並べたときの枚数)。二五〇〇〇〇(五m四方の面積)わる一.六五の平方根が三八九.二四九・・・だから中央に約三八九㎝四方よ。二枚で井の形にすると空間が四㎝四方。五〇〇わる六の二乗かける四が二七七七七.七七七・・・枚。二五〇〇〇〇わる二.七七の平方根が三〇〇.四二〇・・・で中央に約三m四方。三枚だと空間が三.五㎝四方になる。五〇〇わる六.五の二乗かける六は三五五〇二.九五八・・・枚。二五〇〇〇〇わる三.五五の平方根が二六五.三七二・・・で中央に約二六五㎝四方。二枚と三枚は大きさがそれほど違わない。一枚だと外までの距離が短いから、二枚が最善よ]
五六四一の悪魔   [斜めに立てて、うずまきの形に並べるとときどき持ちそこねるわ。高さが半ぶんだと、一m四方が二〇ある。二〇わる三.一四の平方根が二.五二三・・・(円の半径)だから約二㎝はみ出す円よ。段差にぶん銅を置いて先着]
四七四三の悪魔   [それを四段に重ねて、下段の重りを上にひっかけて直径が半ぶんで約二.五m。上の二〇枚をはさんで持つと、重りだけで八㎏あるから真んなかが落ちてわやくちゃになるわ。板の重さが重りと同じなら一六㎏よ]
機山   [書類は「一〇一〇ねん八がつ八にち。こけし三五さいとだんじり四五さいがぶんどうつきいた一〇〇〇〇まい一もんせんひろいでたいせん。さんかりょうは二もんずつ。じゅんびがはやいと四もんで、かつと八もん。こけしはまんなかからかんじの、『い』のかたちに二まいずつならべている。だんじりは、ななめにかさねて、うずまきのかたちにならべた。こけしはおもりをいたのふちにおいている。だんじりはうえのだんに、ならべるときにしたのおもりをひっぱっていた。だんじりが四だんにならべてせんちゃく四もん。かいしするとだんじりはかたてでいたをおさえて、もうかたてでかきあつめるようにして、三〇まいぐらいずつそとへはこんでいる。こけしはうえの二〇まいをおこしてもちあげようとしてばらばらになった。ひもをつかんで三かいにわけてそとへはこぶ。こけしがまたうえをもちあげようとしてばらばらにした。だんじりのかち」]

三三二三の悪魔   [「一文銭が二枚」で反応しました]
機山   [陣地とテーブルは、一文銭ゲーム二と同じ。この一文銭は、長さ三〇㎝の、ひもの両端に一枚ずつ結んである。それが五〇〇組ずつ。他に直径二五㎜で長さ一〇㎝の竹が一〇〇〇〇本ずつだ。相手の陣地で竹を全部外に出して、先に一文銭を、テーブルに一〇〇〇枚並べた方が勝ち。ルールは、ひもに巻いたり結んだりはだめ。竹を踏んだりけったりしてはいけない。一文銭が外に出た場合は一組ずつテーブルへ運ぶこと]
四七四三の悪魔   [竹にひもを四回転巻こうとした場合は二.五かける三.一四かける四が三一.四㎝だから、四回転目が一.四㎝足りないけど竹三本を余裕で巻ける]
五六四一の悪魔   [三本に巻いたときの遊びは]
四七四三の悪魔   [二.五かける三.一四かける三が二三.五五だから六.四五㎝8 8五六四一の悪魔8三本目は斜辺が二.五㎝の、正三角形のコサインよ。二ぶんのルート三かける二.五から、竹の半径一.二五を引いて〇.九一五・・・㎝離れてる。六.四五から〇.九一五を引いた約五.五三五㎝が遊びよ。そこから別な三本組の竹に半回転巻くと外周を二回なぞって・・・計算できないわ]
四七四三の悪魔   [悪魔のひもで計算すると直径の二倍でできるわよ。だけどすまきみたいに束ねても一回転ぶんを一秒ではずせる]
五六四一の悪魔   [三本の端に巻きつけて、三脚のように竹を、広げて遊びぶんを中心に、つるした物を五〇〇個つくって、中央に竹を並べてそれで囲めば最長よ]
四七四三の悪魔    [遊びが半回転ぶんあるから横並びに三本巻けるわ。二か所巻いて二本ずつつなげていくと五〇〇本プラス一本。全長一二五二.五㎝。地面に立てると下側をはずすのが大変]
五六四一の悪魔    [竹の、中心の方がはずしづらいから三か所巻いて、一六六かける二本プラス一が三三三本。全長八三二.五㎝とあまり二セット]
四七四三の悪魔   [たくさん巻いても竹を引き抜くだけではずせるわね]
機山   [書類は「一〇一一ねん七がつ七にち。たいえびす二五さいといぬはりこ四五さいがたけ一〇〇〇〇ほん二まい一もんせんひろいでたいせん。さんかりょうは三もんずつ。じゅんびがはやいと五もんで、かつと八もん。たいえびすはたけ三ほんのはしに、二かしょまいてじめんにたてて、ほかのたけをたてかけるようにしてあちこちおいている。いぬはりこは一ほんずつつないだたけとばらばらのたけをちゅうおうにたてていた。たいえびすがせんちゃく五もん。かいしするといぬはりこはそとがわから一もんせんをおとさないように、ていねいにやっている。たいえびすはつないであるたけをもちあげてふりまわしたがはずれなかった。たいえびすはときどきもちあげてふりまわすがはずれない。いぬはりこのかち」。一文銭に巻いて遊びがほとんどなかったようだ]

三三二三の悪魔   [「さっきの」で反応しました]
機山   [陣地と、テーブルと、一文銭はさっきと同じ。今度は直径二五㎜で長さ一mの竹が一〇〇〇本ずつ。ルールもさっきと同じだが、竹はふしがほとんどなくてつるつるだ]
四七四三の悪魔   [一文銭は五〇〇セットだから三本ぶん横並びに一か所巻いてつなげてちょうど。一文銭一セットで、二本で最後に約一.五回転ぶんあまる。一文銭をひもにはさんでもいいから、一か所を竹の中心にして、らせんのように全長二五m]
五六四一の悪魔   [三角形を四つ合わせた正四面体よ。竹が六本と一文銭四組。端の方だとすぐ抜かれるから端から三〇㎝ぐらいに四か所巻く。一二五個つくって一m四方に五個。中央で高さ二.五mぐらいに重ねると大変ね]
四七四三の悪魔    [手間はかかるけど引き抜けるわよ。竹の両端と、中心の三か所に巻いて、全長三mくらいのすまきをつなげて、丸の形にする。一文銭を内側にはさめば中心がはずせない]
五六四一の悪魔   [端をはずしてから、竹を曲げてのぞき込んで、手を入れてはずすのよ]
四七四三の悪魔   [それは両端を先にはずさないとできないわ。一文銭を逆側にはずすと、結び目になるから引き抜くしか方法がない]
五六四一の悪魔   [どうやってつくるの]
四七四三の悪魔   [ゆるめにつくってから、すまきのなかに入って一文銭をはさむ]
五六四一の悪魔   [三か所巻くと一六六セットで三三三本。全長八三二.五㎝で円にすると直径がおよそ二六五㎝だから下の方ははずせないけどつくれないわ]
四七四三の悪魔   [すまきを持ち上げて、下をくぐってなかに入る。残り六六七本の竹を内側に立てかければ、竹の重さで持ち上げられない]
機山    [書類は「一〇一二ねん六がつ六にち。しのびごま三二さいとうさぎのごみ四〇さいがたけ一〇〇〇ほん二まい一もんせんひろいでたいせん。さんかりょうは二もんずつ。じゅんびがはやいと五もんで、かつと八もん。しのびごまは三かしょにまいてすまきをつくっていた。うさぎのごみはたけ四ほんのちゅうしんを一もんせん四まいでまいている。むすんではいけない。うさぎのごみはばらばらにつきでたたけを、ちゅうおうに、やまづみにした。せんちゃく五もん。しのびごまはおおきなたらいのようなかたちにした。のこったたけをなかにいれている。かいしするとうさぎのごみはたらいにたいあたりしてなかのたけをかたよらせた。たらいのしたをもちあげてなかにもぐりこんでしばらくするとたらいがほどける。しのびごまはおとしたたけや一もんせんをときどきひろいなおしていておそい。うさぎのごみのかち」]

四七四三の悪魔   [支柱倒しゲームが他にありそうだけど]
機山   [フィールドが横三mと縦五mを四方向に展開した形で中央の、三m四方のスペースに支柱を置く。向かい合うようにそれぞれの陣地があって二人で対戦。支柱は一辺が一五㎝で立方体の材木に、直径二五㎜で長さ一mの竹を突き刺した物。この支柱は、先端に長さ一mのひもがついてて、厚さ一㎝で横が一〇㎝、縦が一五㎝の、木の板に結ばれてる。材木に黒と白の色が塗られてて、それぞぞれ二〇〇個ずつを中央に、びっしり交互に並べて準備。自ぶんの支柱を先に、自ぶんの陣地に二〇〇個置いた方が勝ち。ルールは、中央のスペースで支柱を倒してはいけない。相手の支柱を、横のスペースに運んだり倒したりすることは自由。相手の支柱を、自ぶんの陣地に置いてはいけない。ひもをひもに巻いたり結んだりはだめ。相手の支柱を運んだり、ひもを巻いたりしてるときに、相手が支柱にさわった場合は手を離すこと。支柱をフィールドの外に出してはいけない。自ぶんの陣地に支柱を置くときは、板と材木がふれてる状態にすること。支柱をひきずったり相手の陣地に入ったりしてはいけない]
四七四三の悪魔   [指にはさんで、片手に四本ずつ持てるけどやり方が二種類しかないわ]
機山   [書類は「一〇一三ねん五がつ五にち。べにおきなえびす二四さいとみずばしょう四五さいがいたつきしちゅうたおしでたいせん。さんかりょうは三もんずつ。かつと四もん。けがをしないように。かいしするとべにおきなえびすはじぶんのしちゅうを八ほんぬいてから、あいてのしちゅうを八ほんつかんで、よこの、おきばのおくにほうりなげていた。みずばしょうは一ほんずつあいてのしちゅうをよこへほうりなげて、じぶんのしちゅうをだいじそうに、じんちにおいている。じんちにおいているほんすうはべにおきなえびすのほうが、おおいがきゅうくつだ。べにおきなえびすがまわりこむようにはこぶ。それをみてみずばしょうはちゅうおうに五〇ほんほどのこしたまま、よこになげたあいての、しちゅうにいたをまきはじめた。ねもとにぐるぐるまいてつなげている。べにおきなえびすはじぶんのじんちにおおくはこんだけど、あいてのしちゅうに、いたをまいているときにみずばしょうとはちあった。みずばしょうのかち」]

三三二三の悪魔   [「巻きとる竹」は時間かせぎゲームでした]
機山   [陣地は二〇m四方の正方形が二つあって、はさまれるように二m四方のテーブルが二つ。まず地面に突き刺すことができる直径二五㎜ぐらいで長さ一m五〇㎝の竹。下から五〇㎝の部ぶんに回転リングがあって、同じ太さで長さ一mの竹が上下に、動くようにくっついてる。その、竹の先端に、長さ一m四〇㎝のひもがついてて、長い竹の先端とつながってる構造。それが一〇〇本ずつ。相手の陣地で、短い方の竹を回転させて巻きとった状態でテーブルに、先に全部置いた方が勝ち。ルールは、竹を陣地の外に突き刺したり置いたりしてはいけない。ひもを結ぶのはだめ。回転リングは精度がそれほど高くなくて強く振っても半回転ぐらい]
四七四三の悪魔    [一四〇を二.五かける三.一四でわると一七・八三四・・・回転。一本巻きとるのに三〇秒くらい。陣地の、外に出ていいの]
機山   [「だめ」のようだ]
五六四一の悪魔    [竹を折りたたんだ状態にして、短い方をつかんで、長い方を回転させても一本三〇秒ぐらい。回転リングの上に別な一本を重ねて巻けるわ]
四七四三の悪魔   [長さがプラス五〇㎝になるから、斜辺の二八mに五四本つなげて置く。残り四六本を反対側につなげて×の形よ]
五六四一の悪魔   [ひもに巻いた状態はいいのよね。巻いたあとに長い竹を抜いて曲げると、いちどまっすぐにしないとはずせないわ。一〇〇本つなげることもできる]
四七四三の悪魔    [三本つなげると地面に二本突き刺せるわ。一〇〇本つなげて地面に五〇本突き刺せば最長]
機山    [書類は「一〇一四ねん四がつ四にち。のうめん三七さいとたんちょうづる四〇さいがまきとりたけ一〇〇ほんはずしでたいせん。さんかりょうは三もんずつ。じゅんびがはやいと四もんで、かつと五もん。のうめんはうずまきのかたちに、一〇〇ほんつなげたあとに、ちゅうしんからじゅんばんに、じめんにつきさしている。たんちょうづるは一ほんに、九ほんまきつけたものに一〇ほんずつまきつけようとしていた。のうめんがせんちゃく四もん。たんちょうづるは九〇ほんをしたにしてたてて、そとがわだけじめんにつきさした。かいしするとたんちょうづるははしからじゅんばんにはずしている。のうめんはそとがわをもちあげてはずそうとしていたがひっかかるのでやめて、一〇〇ほんをよこにたおして、わやくちゃになった。たんちょうづるのかち」]

 おわり


超IQ研究所  劇場版(完結)

2019-01-02 19:37:30 | 小説


シーン10  福生組資料館の事務所で丸べえと角べえが話している。丸べえが「水野さん。長寿集落の先祖は一日に六〇〇〇文字以上印字してる。われわれが一日に回収できる量は、一二〇〇〇文字ぐらいで二人ぶんにしかならない。他の書類は、どこかに消えてるのだろうか」と言った。角べえが「どこかに宇宙人がいて、ひそかに回収してるのだろう。おれは両替商の女中がそれだと思うんだ。お金のことに関してわれわれが知らないことまで知ってる。絶対あやしい」と言う。角べえが事務所の片隅に、置いてある短針だけで文字盤の間隔が少しずつ短くなってゆく時計を見つけて「悪魔の時計だな。レプリカをつくったのか」と言った。丸べえが「五〇〇年以上昔の物なんだが」と、答えると、角べえが「回収される書類も昔の、状態の物ばかりだ。どこかに瞬間物質移動装置があるのかもしれない」と言う。丸べえが「われわれも大陸へ移動する準備をしましょうか」と言って、「一七八六ねん一がつ一一にち。まるべえは五〇さいになって、しんこくににゅうこくしたので、よていじゅみょうはむせいげんになりました」と書いた書類を角べえに見せる。

シーン11  江戸の郊外に、長さ一〇〇mぐらいのまっすぐな長屋が三棟並んでいる。真んなかが人間の住む長屋で外側は養豚場になっていた。長屋の入り口に、みすぼらしい身なりの親子がたたずんでいて、丸べえと角べえが並んで歩いて近づく。角べえが丸べえに「ここにくると、大陸に、移住した気ぶんになりますなあ」と話しかける。丸べえが「販売計画書の『えた』と『』が私にはよくわかりません。罪人を意味するのか、元の、奴隷をたとえてるのか見当がつかない」と言う。角ベえが「おれは元の奴隷でいいと思うけどな」と言った。長屋の、なかの方へ入っていくと、南蛮人の、格(かっ)好(こう)をした元の奴隷が机に座って、筆で巻物を書いている。一〇人ぐらい豚をながめながら、巻物を書いていた。角べえが丸べえに「巻物は売れてるか」と聞く。丸べえは「売れてるよ。戦国時代の巻物をこうしてつくってることに誰も気づかない」と言う。角べえが「識字率を下げたあとは、こいつらの送りがなとあべこべな『ず』や『づ』を使えばわれわれ以外に読み書きが、できる者がいなくなる」と言った。丸べえは「その前に大陸へ移住しましょうよ」と言う。

シーン12  中学館の悪魔編集部。幸司が「そんなことになったら悪魔が売れなくなる」と叫んだ。典子が「編集長。どうかなさったんですか」と聞く。幸司が「時代小説の新英先生が急病で入院した。かわりに一〇〇万円ぐらいの原稿を選んで」と言う。典子が「本人からの申し出なんですか」と聞いたら、幸司が「思い出しただけで頭痛と吐き気がするそうだ。午前中に選んでおいて」と言った。典子は窓ぎわの金庫をあけて、値札がついた原稿の束をとり出す。幸司は「えたに巻物を書かせる話は読んだ記憶があるな」とつぶやきながらデータ室に向かう。幸司はデータ室のパソコンで検索しながら、「わざわざ旧漢字で入力しやがって」とつぶやいたがデータは、なかった。 

シーン13  長寿集落。机の上に印字された紙がある。「一〇一六ねん一がつ一一にち。さかたに一お。だれもよみかきができなくなったらこっちではんばいけいかくしょもしさんひょうもぜんぶつくるから」。一おが直径一〇㎝ぐらいの竹で、酒の入れ物をつくっている。一おが「酒を飲んだら読み書きができるような気ぶんに、なれるようにするからさ」と言う。
 中学館の食堂で幸司が生(しょう)姜(が)焼き定食を食べながら「読み書きができるような気ぶんってなんだろうな」と考えていたら、「その調味料だから」と言う声が聞こえた。まわりを見まわしたが、腹話術を使ったような人物はいない。幸司は「野菜を、食べてる豚を食べれば、野菜を食べたことになるか」とつぶやく。配達係の男が、前の席に座ろうとしていたら、「そこ私の席です」と言いいながら典子が座った。お盆にハンバーグを、パンではさんだ物を二つと、コーラを載せている。典子が「編集長。選んでおきました。大修先生の、一五〇万円の原稿を一〇〇万円に値切ればいいんですね」と言う。幸司が「そうすると五〇万円まるまるもうかるわけだな」と言って、典子が「新英先生の見舞いはどうしますか」と言った。幸司は「干し魚の袋詰めでも送っておいて」と言いながらコーヒーを飲み干す。

シーン14  江戸の町。大道芸人が語りながら十字架三つをお手玉のようにしている。他に十字架が六つ置いてあるから、あれを全部お手玉にするんだろう。大道芸人が「隠れキリシタンの幸司と典子は、長崎の町から、自由の町江戸へ向かって旅を続ける」と語りながら十字架を四つにした。手前の箱に一文銭が一枚投げ入れられる。大道芸人はさらに、「嘆願書を懐に、したためた幸司にとおりすがりの侍が『そいつをよこしてもらおう』と声をかけた。幸司は『この道は江戸へ続いてるんでしょうか』と聞き返す。侍が『貴様は隠れキリシタンだな』と言いながら刀を振り上げる。典子が『きゃあ』と悲鳴を上げた。幸司は腰につけてた十字架を、侍に投げつける」と語りながら十字架を六つにした。一文銭がばらばらと一〇枚ぐらい投げ入れられる。大道芸人は「幸司の十字架は、侍の目玉に命中して、侍は後ろにひっくり返った。幸司は十字架を拾って、二人の旅はまだまだ続く」と語りながら十字架を九つにした。馬でとおりかかった角べえと丸べえはちょうどその場面を見て、馬をとめる。角べえが「南蛮人の血が三種類まざってるやつは時空を超えるんだろう」と丸べえに声をかけた。丸べえが「最後を失敗するとおしゃかになるんだ」と説明するように言う。大道芸人は九つの十字架を三〇秒ほどお手玉にしてから、最後に片手でひとつずつそろえて全部受けとめて目を見開いた。箱に一文銭が一〇〇枚くらい投げ入れられる。

シーン15  福生組資料館の事務所。角べえが丸べえに「このままさらに読み書きができなくなると、未来からこっちに、さかのぼってくるようになるな」と言う。丸べえが「すでに各地の大名屋敷で、元の奴隷が巻物を書いてる。未来に残る物は送りがなの間違った不規則変化しかない」と言った。角べえが「そうすると未来で書物を読むときに、われわれの時空にさかのぼってくるわけだ。われわれがもうかるように、細工するべきだな」と言う。丸べえが「どのようにやりますか」と、聞くと、角ベえが「われわれが国語辞典をつくって、画数が多い漢字を未来のやつらに覚えさせれば、大陸に移住してからでも指示ができる」と言った。丸べえが「それはいい考えだ。さっそくやろうか」と言う。二人で、馬であちこち駆けまわって事務所にびっしり書物を並べる。

シーン16  中学館の悪魔編集部。幸司がパソコンでスパイダソリティアをやっている。幸司が「また周回遅れパターンか。もう二時間以上クリアできてない」とつぶやく。典子がやってきて「学生バイトがいつもより多く集まってますけど」と言う。幸司が「なん人ぐらい」と、聞くと、典子が「全部で五〇〇人はきてます」と答えた。幸司は「説明を柔道整復師にやらせて全員立ち読みさせて」と指示してソリティアの続きをやる。幸司が「『日中戦争までやらないと』は誰のせりふになるんだ」と、つぶやいたらソリティアがクリアできた。
 二九階で机と椅子を前に詰めて、後ろに原稿を持った学生が五〇〇人ほど立っている。肩幅の広い柔道整復師が「講評を書くときだけ、そこの椅子とテーブルを使ってください。腰が痛くなったら私に、テレパシーで言うように。それじゃあ始めてください」と言う。
 長寿集落。一おが、先が黒くて短いわりばしみたいな棒を煉(れん)瓦(が)のような物でこすって、火をつけてすぐ、直径四㎝くらいで長さ一〇㎝ぐらいのろうそくに火をつける。ろうそくを机に立ててから、紙に印字し始めた。「にっちゅうせんそうのことはこだわらなくてもいいよ。きみのなまえはたしか。われわれがけつぎしたことだから、しょうがないのさ」。

シーン17  福生組資料館の事務所。丸べえが西洋紙に万年筆でことばを書きながら「国語辞典の編集をやると未来がかいま見えるな」と言う。角べえが「大陸で近親婚の意味あいがある漢字をそっちに書けばいいんだ」と言った。丸べえが「するとこれはわれわれの販売計画書になるわけだな」と言う。角べえが「そうだ。複雑な漢字の方が、頭の体操になる。はっはっはっは」と笑った。丸べえが紙に阿片と書きながら、「未来で日本と大陸が戦争になる原因は日本向けの、貨幣の供給を停止したことだとさ」と言う。角べえが「けちくさいやつだな。おれの子孫じゃないぞ」と言った。丸べえが「おれの子孫に、流れ弾が当たらないようにできるだろうか」と言う。角べえが「それは無理だな。おれたちが移住して孫の代になったら、こっちの、国との関係をわからないようにするしかない」と言った。丸べえは紙に阿呆と書きながら、「いずれにしてもわれわれがいないとここの時空は、なにもわからないな」と言う。

シーン18  江戸の町。両替商の店先。ちょんまげの男が入っていくと、高価な着物を着たヒス子(女性宇宙人)がすぐ出てくる。ヒス子が「なにかご用でしょうか」と聞いたら、男が「長屋の屋根をなおすお金が、いるんですが」と言う。ヒス子が「修繕費でございますね」と言いながら、紙に筆で「屋根の修繕費」と書く。ヒス子はそれを男に渡して「これを資料館に持っていって小切手と交換してきてください」と言って小切手の見本を見せる。男は資料館に向かって歩き出す。男が資料館に着いて一階右側の奥で、普通の着物を、着た案内係の女性に紙を渡すと案内係は、「ちょっと待っててくださいね」と言って二階へ上がっていった。二階に着くと案内係は、事務所のドア越しに「長屋の、屋根の修繕費はいくらでしたか」と大きな声で聞く。丸べえが「二〇文だ」と言ったら、案内係は「二〇文ですね」と言って下へ下りていった。案内係は二㎝くらいの金属活字で、「二〇文」と印字してから福生組のはんこを押して、小切手をさっきの男に渡す。男が両替商に小切手を持っていくと、両替商の主人が「二〇文だな」と言いながら、天(てん)秤(びん)ばかりの、片方の皿に一文銭を五〇枚ぐらい置いてから、もう片方の皿に重りを置いて、釣り合うように一文銭を一枚ずつとりのぞき始めた。男がけげんな表情で見ていると、ヒス子が「一九文だったり二一文だったりしますが二〇文の重さに違いは、ないのです」と説明する。

シーン19  中学館の悪魔編集部。幸司がソリティアをやりながら「天秤ばかりの使い方は確かあったな」と、つぶやくとソリティアがクリアできた。幸司が「やっぱりそうだ」とつぶやいたら、ヒス子が「もういちど確認してください」と言う。幸司は「ぜにの重さがどうとか、昔読んだような記憶がある」とつぶやきながらデータ室へ向かった。幸司がデータ室のパソコンで検索すると、お金の重さで量を計算する使い方しかないようだ。幸司がヒス子に「もう終わりなんだろ」と言う。ヒス子が「なにかおもしろい話は、なかったでしょうか」と言う。幸司が「もうないよ」と答えたら、ヒス子は「それじゃあお元気で」と言った。
 福生組資料館の事務所。丸べえが紙に暗(あん)誦(しょう)と書きながら、「われわれはこのまま時空を超えることになるな」と言う。角べえは大陸の書物を見ながらうなるように「近親婚に近い漢字はどれだ」と言った。案内係がドア越しに「甥(おい)の出産祝いはいくらですか」と叫ぶ。丸べえが「五文だ」と強く言う。資料館の裏口に、つないだ馬の背なかにからすがとまって、馬が身震いしてからすをどかす。

シーン20  長寿集落。机の、上の紙に「らすとしーんはみんなでやるから」と印字されている。集落から少し離れた平地に高さ一〇mぐらいの石柱がそびえていた。石柱に窓のような空間が一〇か所あって、そこからロープが出ていて窓わくについている滑車で下へ続いている。下にも滑車がついていて、ロープが一〇本地面に置かれていた。石柱のてっぺんに、角材が左右に五mずつくらい突き出ていて、先端に椅子がついている。時空転送器のようだ。猿が入ったかごを、背負った一おがやってきて石柱に登り始める。一おがてっぺんに着いて、持っていたひもで猿のかごを椅子に縛りつけた。一おが反対側の椅子に座って、椅子についていたベルトでからだを固定して「いいよ」と、叫ぶと長寿集落の子供たちが三〇〇人ぐらい集まってくる。ヒス子が「三人で六五〇グラムの重りを回転させる計算になります。ちなみにこちらの世界は江戸時代と、関係はありません」と言う。三〇〇人で、ロープをつかんで「おうまのおやこは、なかよしこよし・・」と歌いながら引っ張る。回転体がまわり始めた。

シーン21  明治三年一月一三日。北京(ぺきん)の郊外に、ブロックづくりで平屋建ての家がある。周囲は雪がまだらに積もって、雑草がところどころに見えていた。若者が二人で、高さ四〇㎝ぐらいの陶器でできた瓶(かめ)を、たくさん積んだ荷車を馬で引いて近づく。家のドアをノックすると八〇歳くらいに見える老人が出てくる。一三三歳の丸べえだ。瓶を玄関のなかまで運ばせて「ごくろうさま」と言った。瓶は水のようだ。丸べえは瓶のふたを開けてひしゃくですくってひと口飲むと、真っ暗な家のなかへ入っていった。机の上に石油ランプが光っていて、丸べえが金属活字で紙に印字している。「一九三一ねん一がつ一三にち。だいにほんていこくそうりだいじんへ。おまえにやるかねはもうない。といいたいところだが二〇一七ねんだな。かわりに、べつなやつにかねをやろう」。
 中学館の、一階の受けつけに黒い背広を着て、アタッシュケースを持った男が現れる。男は受けつけの女性に「船山幸司さんに用が、あるんですが」と言う。女性が「どの、部署の船山かわかりますか」と聞いたら、男が「悪魔の編集長だと聞いてます」と言った。女性が内線電話をかけると、幸司が出て「なんの用件か聞いて」と言う。女性が男に聞くと、男は「私は小計警備保障の者で、船山幸司さまの、伯父(おじ)である新米英男氏の遺産をお持ちしました」と答える。幸司が三〇秒ほどで一階に下りてきて、男に「いくらですか」と聞く。男が「一億円です」と、言うと、幸司は「端数がついてないのはおかしい」と言ってから、「食堂でかぞえましょう」と言った。二人で食堂に入る。

シーン22  食堂でアタッシュケースを開けて、幸司が札束を調べる。幸司は続き番号の上と下を見てから、ぱらぱらと番号をチェックした。男はアイスコーヒーを飲みながらじっと見ている。幸司が「これは伯父から僕へ利息なしで無期限に貸しつけたお金と受けとめていいんだな」と言う。男は「はい。そのようなとり扱いもできるお金と聞いてます」と言った。すると幸司は、札束のかずだけかぞえて「確かに一億円ある」と言う。それを聞いて男は「こちらの書類にサインを」と言って、書類をさし出す。幸司が自ぶんのボールペンでサインしながら「アタッシュケースはもらっていいの」と聞いたら、男は「あなたの物です」と答える。
 
シーン23  幸司が銀行の融資担当者と話している。カウンターの上に図面があった。幸司が「地下一階が収録スタジオでサウンドクリエーターに開放します。一階から七階まで吹き抜け構造になってて、各階に巨大スピーカーを設置。完成するとスペック一五のサウンドが楽しめる巨大クラブになります。さらに文学部の学生バイトをバーテンとして雇って、各階ごとにジャンルが違う創作バーを開設。世界じゅうからあらゆるクリエーターが集まってきます」と言う。銀行の融資担当者が「世界じゅうですか。ファッションデザイナーも集まるの」と聞く。幸司は「当然です。文字にしないと服の生地や色が表現できない」と答える。
 福生組資料館の事務所。丸べえが角べえに「踊ってるだけで読み書きができるようにしろだとさ」と言う。角べえが「踊りなら鉄砲陣地に槍(やり)で突撃するやつだな。家族への、別れのことばを書いたやつがあったっけ」と言った。丸ベえが「鉄砲の音がする前によければ当たらない。くねくね動きながら進む」と言う。角べえが「腰を振りながら前へ進むのだな。元の奴隷に書かせよう」と言った。

シーン24  長寿集落。一おが机の、上の紙に印字している。「いちもんせんげーむのげきじょうようはできないな。あれはじょうじょうきぎょうめいをかんせんしゃがときどきさけんで、ぷれいやーがどうさをとめてうると、かうにわかれるとおもしろい」と書いてある。
 福生組資料館の事務所。丸べえが「それをこっちでやれば爽(そう)快(かい)になるわけだな」と言う。角べえが「創業者の、先祖の書類も全部集まるわけだからそうなる」と言った。丸べえが「国語辞典の編集が終わったら、われわれが未来の雇用形態を実践しようか」と言う。角べえが「そうだな。大陸に移住するまでそれをやろう」と言った。福生組の直営店には今日も行列ができている。印字された書類を次々と買いとって、番頭が奥に向かってなにか叫ぶと、着物を着た女性が、一文銭がぎっしり詰まったお盆を運んできた。
 
   おわり                                                            


超IQ研究所  劇場版⑴

2019-01-02 19:31:24 | 日記

シーン1 平安時代の農村と思われる民家で六〇歳ぐらいにも見えるが、年齢が、不明な男が机に向かっていた。服装は綿織りの着物で座布団を敷いて、足(た)袋(び)を履いている。机上に木の、棒の先端に金属活字を貼りつけた物がたくさん並んでいた。男はすずりの形をしたインク入れに、金属活字をつけてむだがない動作で和紙に「一〇一六ねん一がつ一〇にち」と印字する。建物の窓はわく組みだけで内側に雨戸がついていて、小鳥のさえずりが響いていた。男が「げきじょうようちょうじゅしゅうらく。さかたに一お」と印字する。さらに続けて「ふっさぐみ二〇ごうまるべえ四一さいのきょう。よていじゅみょう六七さい」と印字。
 舞台が江戸時代になる。瓦(かわら)屋(や)根(ね)の長屋が並んでいて、町の中心に、福生組の資料館があった。資料館は木造の二階建てで三階部ぶんが、三角形のトタン屋根になっている建物四つが、五mほど離れて正方形の形に並んでいて、それぞれ一階と二階に渡り廊下がある。渡り廊下にもそれぞれトタン屋根がついていて、窓が二~四か所あった。正面にある二つの建物は、資料館の入り口と出口で一般に開放されているようだ。着物を着た女性や書き物用の、すずり箱を持った男の姿が見える。渡り廊下に長テーブルがあって、お盆のなかに、平安時代の印字された書類がピンで固定されて、並んでいた。町人風な二人組の女性が「これ私の先祖だわ」と言ってはしゃいでいる。右側奥の建物二階に事務所があって、黒い商人服を着た四一歳の丸ベえが机に向かっていた。

シーン2 ドアをノックする音が聞こえて、丸べえが「どうぞ」と言う。四〇歳前後で鼻の下にひげをはやして、商人服を着た男が入ってきて、壁側にあった椅子を、机の前に運んで座る。男の名前は水野角べえ。福生組の輸送部門を担当していた。丸べえが「水野さん。販売計画書にある刀を、持ち歩く武士を本当にやる必要があると思いますか」と言った。角べえは「販売計画だから小判で遊ぶのに必要なんだろう」と答える。さらに「君の予定寿命は、なん歳になってた」と聞く。丸べえは「六七歳だ。ここにいるとこっちまで先祖に支配されそうだな」と言う。角べえが「町人は昔の試算表を見て、どんな反応をしてるんだ」と聞く。丸べえが「長寿集落の先祖と対話はできるようだが、戦国時代の役者にだまされて喜んでる。よっぽど書き物が嫌いみたいだな」と言った。角べえが「小切手をとりに、こられない者にどうやってお金を届けてる」と聞く。丸べえが「お金は働くかここにきて、手に入る。ただで手に入るのは、魚の干物だけだ」と言う。

シーン3  大手出版社である中学館の文芸誌「悪魔」編集部。編集長の船山幸司三九歳が「つくりながら考える江戸時代がパンクかあ」とつぶやく。南町典子三五歳が「編集長どうかなさったんですか」と聞いた。幸司がなにも知らない人に、説明するように「旺省(おうせい)星人日記で、いま売り出し中の新星片男が原稿を落としそうでさ」と言う。典子が「あとなん枚ぐらい」と聞く。幸司が「本人はできたつもりでいるが、本物の宇宙人がまざってることに気づいてないようだ」と言う。一階の受けつけに、スタジアムジャンパーを着て原稿のメモリースティックを持った三五歳ぐらいな新星が現れた。受けつけの若い女性が編集部に内線電話をかけると、三〇秒くらいで若い編集者がやってくる。待っている間に新星はメモリースティックを下から突き上げる動作で、受けつけの女性を笑わせていた。若い編集者は「新星さん。二八階の編集部までどうぞ」と言って二人でエレベーターに乗る。編集部に着くとすぐ幸司が出てきて、「新星さん。チェックするからそこで六時間ぐらい待ってて」と言って入り口の椅子を指さす。時計を見ると午前一一時。

シーン4  一〇一六年の長寿集落。印字された文字で「それじゃしんぼしくんが一〇五さいぐらいまでいきることになる」と書いてあった。集落中心の広場に、高さ二mくらいの石柱がある。上についている回転体から一mと一〇mの角材が突き出た時空転送器だ。一mの方に重りと、一〇人ぶんの持ち手があって、男が一〇人スタンバイしている。一〇mの方にブランコがあって、乗っている初老の男に一おが「今日は新星さんの、八〇歳の誕生日になったからこれで時空を超えて」と言う。一〇人で「おうまのおやこは、なかよしこよし。いつでもいっしょにぽっくりぽっくりはしるう」と歌いながら時空転送器をまわし始める。
 中学館の悪魔編集部。時計が午前一二時になって、ゴットファーザーのテーマ曲が社内に流れる。幸司が出てきて悪魔の先月号を読んでいた新星に「新星さん。昼食にしましょうよ」と話しかけた。二人でエレベーターに乗って一階の食堂へ向かう。一階に着くと、幸司が「新星さん。うちの食堂は始めてでしたか」と聞く。新星がうなずくと、幸司が「うちの食堂はまんがが読みほうだいで宇宙一安全なんだ」と言う。新星が入り口のメニューを見て「ザンギ定食が安いですね」と、言うと、幸司が「新星さん。ザンギ定食はわなですからやめにしましょう」と言った。どこからともなく「うどん定食を選ぶんだろ」と言う声がして、幸司がうどん定食の食券を二人ぶん買ってなかに入る。

シーン5  食堂に入った二人はうどん定食のお盆を持って、テーブルを向かい合わせに、椅子に座る。新星が調味料をいじくっていると、幸司が「新星さんは国語辞典をなん冊使ってますか」と聞く。新星が「五冊だけど」と言ったら、幸司が「弊社の字語百科事典もよろしくお願いします」と言って頭を下げる。新星が見抜いたように「本物の宇宙人がまざってる部ぶんは、どの辺ですか」と聞いたら、幸司が「郵送でも問題は、なかったはずでしょう」と言ってから、「五時まであそこにいてください」と言う。二人でもくもくと、うどんを食べていると幸司が思い出したように、「新星さんのご実家は、日本酒の工場を経営されてたそうで。その後再建事業は進んでますか」と言った。するとさっきの声がして、「兄が再建して、自ぶんは小説を書くことができると言え」と言う。新星がそう言おうとしていると、幸司が「そうですか」と言ってから、「あとはこっちでなおしておきますから、今日は帰っていいですよ」と言った。新星が「字語百科事典っていくらぐらいするんですか」と、聞くと、幸司が「謹呈用の縮小版があるからさしあげます」と言う。新星は字語百科事典をもらって帰る。

シーン6  江戸の町を角べえと丸べえが並んで歩いている。角べえが「江戸の町は貨幣経済で物があふれて、未来のことばで言えばじゃぶじゃぶだ。あとは識字率をどこまで下げられるかだな」と言う。丸べえは「墨書きの巻物が読みやすいなんてことはありえない。なにが書いてあるかわからないけど家宝とするのにちょうどいいんだ」と言った。丸べえが「水野さんの予定寿命はいくつになってますか」と、聞くと、角べえは「七一歳だ」と答える。丸べえが「予定寿命は日本国内にいる場合だけのようだが」と言う。角ベえは「やっぱりそうか。われわれも五〇歳をすぎたら大陸へ渡って清の貨幣工場で世話になれば寿命が延びるわけだな」と言った。二人でキリシタンの道具を、専門に売る店の前で足をとめて、木彫りの聖母像をいじくりながら角べえが「問題は手土産をなににするかだ」とつぶやく。

シーン7  江戸の町。福生組の古文書を買いとる直営店に行列ができている。お婆さんが「先祖代々からつたわる武田信玄の巻物。どうかよろしく」と言って巻物を、商人服を着た番頭に渡す。番頭は巻物を少し広げて、「お婆さん。残念だけど墨書きの書類は買いとれないよ」と言って巻物を返した。お婆さんが店先に並んでいる巻物を指さして「これは、なんじゃ」と、言うと、番頭が「墨書きの書類は新しい方が、価値があるの」と言う。お婆さんはすごすごと帰っていく。しばらくすると鈴をしゃかしゃか鳴らして、別な番頭が「一文銭ゲームの得点表一〇〇枚つづりで小判一枚」と叫ぶ。そのとき、近所の女郎屋から若い女が飛び出してきて追いかけてきた男に向かって、短刀を自ぶんの首筋に当てて「そういうことなら私死にます」と叫んだ。とおりかかった武士が女の腕を峰打ちすると、短刀が地面に落ちて、女は追いかけてきた男に引き戻された。

シーン8  中学館裏の社員通用口から大学生がぞろぞろと入ってきた。二九階の少し広い部屋に三〇〇人ぐらい集まる。幸司が出てきて「みなさんには悪魔新人大賞の選考審査をやってもらいますから」と言う。全員に応募してきた原稿を配って、「読み終わったらこの用紙へ講評を書くように」と言いながら旺省星人のイラストが入った便(びん)箋(せん)を渡す。典子が「のどが乾いたら部屋を出たところに、ドリンクサーバーがありますから自由に飲んでください。夕食は午後六時から六時四五分の間に、一階の食堂で食券を買って、各自で食べること。筆器具を忘れた人はいますか。いませんね。それじゃあ始めてください」と大きな声で言う。典子が「大学生のバイト代はいくらだったかしら」と、幸司に聞くと、幸司は「時給一五〇〇円だけど崇高な精神労働だからそれでも安いぐらいだ。悪魔の販売部数は一〇〇万冊以上だから、すずめの涙さ」と言った。

シーン9  新星はパソコンで新作を書いていた。「福研星人との対話」だ。「ぴよぴよぷるるるん。ぴよぴよぴよ。おれのハートはすとれーとふらっしゅだ」と書いて、「ひらがなじゃおかしいな」と思って、なおそうとしていたら、「ひらがなのままでいい」と言う声が聞こえた。新星は「編集部の人だな」と思って、さらに「ぱひょーん。ぱほぱほ。ぱらりらぱらりら。ぱららぱぱぽひょぱらぱらぱ」と書く。新星は一〇〇〇文字ほど書いてから気晴らしに「チョコと和菓子の百年戦争」を読む。主人公が三月一四日を和菓子デーに、するように、各省庁に働きかける物語だ。新星は映画化されたら本当に男性が、バレンタインデーのお返しに、和菓子を女性へ贈るようになるかもしれないと想像した。新星は福研星人のライバルとして角波星人を、つくることを思いついてさっそく書く。「われわれ角波星人は福研星人を敵だとは考えてない。かなかなかな」新星が月面基地殺人事件に発展させる方法を考えていると、「年号を二〇四〇年にして」と言う声がする。新星は本当の宇宙人かと思って、「なに星人ですか」と聞いたら、「福研星人じゃ」と答えた。新星が「読み上げてくれるんですね」と、聞くと、「福研星人が植物で、角波星人ががらくたの寄せ集めじゃろ」と言う。新星は福研星人の声色を使う先祖と対話しながら、続きを書いた。

 つづく


超IQ研究所  5 

2019-01-02 09:40:30 | 小説

三三二三の悪魔   [九七八年に万年筆をつくることができれば当時の書類を解読できます]
四七四三の悪魔   [油性のインクはつくれるけど、文字の線が二㎜ぐらいになるわ]

五六四一の悪魔   [五㎜四方くらいの金属活字よ。ひらがな四六個と数字一〇個を使う。筆を使って墨で書いてるのは「子孫だまし」だわ]
機山   [文章ができた]
 一七七七年未明。日本国内では豪商福生組が政治と経済のほとんどを牛耳っていた。各地に番所を設置して戦国時代以前の、書類の買いとり業務をやっている。高価買いとり例は「かいてんとびらおにごっこのけっか。はにわのうま三五さいがまいなす七てん。きくのあお三九さいがまいなす一九てんぐらい。まつのみどり二八さいがまいなす二三てん。さくらのももいろ三一さいがまいなす三〇てんくらい。ふじのむらさき四三さいがまいなす三九てん。ぜんはんはまつのとさくらののおんなふたりにおにやくがしゅうちゅう。ごごからふじのがしめんそかをれんぞくできめられて、おにやくがおおくなる」でお米五㎏。集めた年貢のほとんどが、ゲームの得点経過を、印字した書類の買いとりに使われている。安いのは行政に使われた書類で、例として「九九九ねん九がつ九にち。みろくのあか五〇さいははれてせいじんになりました。きんしんこんをよぼうするため、とわだこしゅうらくからびわこしゅうらくへのいどうをめいじる」でお米一八〇グラム。ゲームの得点表は参加者に記念として渡されていて数百枚綴(と)じた物を小判で買いとることもある。福生組は国内にあった金属活字をすべて回収して、子孫だましの筆を使った文書づくりに、力を入れていた。福生組は金山の経営をしている他に、金属活字を使った運営手引き書によって、人材を育成して代官の派遣業務などもやっている。江戸幕府と一体化した福生組ではあったがその後、一部の地域で回収されずに残っていた書類を見つけた者が「識字率が低下したのは、福生組を野放しにした幕府の責任だ」と唱えて、討幕運動を始めたため、福生組は普通の豪商へと業態を変化させた。
四七四三の悪魔   [IQ二五〇の力で、福生組のデータベースを解読して]

三三二三の悪魔   [当時の労働は集団作業でゲーム形式になってて参加賞やトップ賞が賃金であったと考えられます]
四七四三の悪魔   [九七六年ね。「草むしりゲーム」や「あぜ板づくりゲーム風」の他に、普通のゲームも参加すればお金がもらえた]
機山   [まず草むしりゲームの書類だ。「九七七ねん八がつ八にちのくさむしり。さんかしゃ一〇にんで一二じかんかけてやさいばたけのざっそうをむしりとります。さんかしゃにじきゅう一もん。一いのひとには五もんおまけ。むしったざっそうをそばにすてるとさいせいするので、かごにいれて、はたけのそとにだすこと」。次にあぜ板づくりゲーム風。「九八七ねん二がつ二にちのあぜいたづくり。まきにつかうまるたからあつさがおやゆびのよこはばぐらいで、みほんのてっぱんと、おなじおおきさのあぜいたをきりだします。さんかしゃ五にんだけど一まい一もんをきんとうにぶんぱい。まずのこぎりのはさきをひくときに、けずれるようにちょうせいすること。さいしょは五まいぶんのかくざいをきりだすときに、じかんの、三ぶんの一ぐらいをつかいます。一〇ふんで一まいきれると三〇〇まいぐらいきれるけど二〇〇まいできたらおまけ五〇もん」]
四七四三の悪魔   [長さ三mの丸太が二〇本あって、長さ一mの角材づくりが一人当たり丸太四本を四時間ぐらい。四回切ると五枚で残り八時間が四八〇分。一人が四〇分で五枚切ると、八時間で三〇〇枚。一五分で一枚切ると、五人で二〇〇枚になる]

三三二三の悪魔   [「支柱倒しゲーム」で反応しました]
機山   [熟練したプレイヤーが顔を防御するお面と厚い布でつくった簡素なよろいを装備して、二人で対戦する。支柱は直径三㎝ぐらいで長さ一m五〇㎝くらいの竹を、一辺が一五㎝ほどの、立方体の材木に突き刺した物。支柱の根もとに、長さ一m五五㎝のひもがついてて、先端に直径五㎝の鉄製リングが結ばれてる。横四mで縦六mの長方形を四方向に展開した形がフィールドで、向かい合うようにそれぞれの陣地があって、奥に横四mで幅一mのゴール。支柱の先に、白か黒の布がついてて、それぞれ一〇〇本ずつ中央の、四m四方のスペースに、交互に少し間隔をあけて立てられてる。ゲームの進め方は、自ぶんの支柱を、鉄製リングが根もとまでとおってる状態にして自ぶんの、陣地のゴールへ運ぶこと。相手の陣地に入ることはできないが、相手の支柱を倒したり、左右のスペースに運んだりすることは自由。支柱はいちどに二つまでしか持ち歩けない。倒れてる支柱をまたぐのはだめ。重なって倒れてる支柱は一番上しかさわれない。支柱の材木を、フィールドの外に出したらだめ。ひもを巻いたり結んだりしてはいけない。自分の支柱を、先に自ぶんの、陣地のゴールに一〇〇本立てた方が勝ち。相手の支柱を、横のスペースに運んでリングをはずして倒したり、自ぶんの陣地に、すばやく一時的に置いたりして競う。書類は「一〇〇〇ねん六がつ六にち。しちゅうたおしでいんさつこう四六さいときんぎょ四七さいのたいせん。かいしすぐにいんさつこうのたおれこみこうげき。きんぎょはあいてのしちゅうをはこんでおうせん。いんさつこうが、じじんにはやく八〇ほんほどおいたが、きんぎょのわをはめるどうさがすばやい。きんぎょのどうさにむだがすくなくて五ほんさでかち。おまけ一〇もん。さんかりょうは一〇もんずつで、たおれこみでいんさつこうに二もんおまけ」]

機山   [基本は時間かせぎゲームだ]
三三二三の悪魔   [本の大きさで反応しました]
機山   [二人で対戦するゲーム。まず一辺が一〇mで正方形の陣地を一〇m離して二つつくる。中間に一m四方のテーブルを置く。厚さ一㎝で横が一〇㎝、縦が一五㎝の、木の板に、長さ一mのひもがついた物を一〇〇個ずつつくる。ひもの反対側は、直径一〇㎝の輪になってて持ち運ぶときはそこをつかまなければならない。それぞれの陣地に、直径三㎝ぐらいで長さ一mの竹が二〇〇本ずつと、直径二㎝くらいで長さ五〇㎝と一mの竹を、十字架の形に組みつけた物が一〇〇本ずつある。竹の棒と十字架は先がとがってて、地面に突き刺すことが可能。一時間ぐらいかけて自ぶんの陣地でひもがついた板を棒や十字架に巻いて、相手がとりづらいように並べる。ルールはひもを結んだり、ひもに巻いたりはだめ。落ちてる棒や十字架をまたぐこともだめだ。棒や十字架をつかんで動かしたりほうり投げたりは自由。足でけることはだめ。板は輪の部ぶんをつかめばなん枚でも持ち歩ける。相手陣地でひもをはずして、板を先にテーブルへ全部運んだ方が勝ち。問題はどのくらい時間がかかるかだな]
四七四三の悪魔   [棒を一八〇本で正方形の形に並べて一〇〇ます。十字架がます目にひとつずつある場合ね。直径二㎝だから約一六回転巻けるわ。一回転一秒は無理だけど二秒弱で三〇秒あれば棒をよける動作も可能。はずすのが五〇分。運ぶのに一〇分かかって六〇分ね。十字架を持ってほどくようにはずすことができればもっと早いけどこの大きさじゃ一秒は無理]
機山   [書類は「九九九ねん九がつ九にち。かぶとむし三二さいとほととぎす三〇さいがいたはずしでたいせん。さんかりょうは二もんずつ。さきにじゅんびができると五もんで、かつと一〇もん。かぶとむしが二まいまきじゅうじか五〇ほんでせんちゃく。ほととぎすは一〇まいまきじゅうじか一〇ほんにたけをつきさしてかこう。かいししてしばらくはほととぎすが、たけのおきばにとまどっていたが、一〇まいまきのいりょくでさがひらいて、ほととぎすのかち」]

三三二三の悪魔   [「石とりゲーム」で反応しました]
機山   [一辺が五m四方の陣地をふたつつくって、はさむ形で二m四方のテーブルを置いて、二人で対戦するゲームだ。大きさが三~四㎝のやや丸い石を、自ぶんの陣地に、相手が拾いづらいようにそれぞれ一〇〇〇個ずつ置く。一辺が五㎝で、立方体の材木が一〇〇個ずつあって、石の上に置いてもよい。ゲームの進め方はお互いに、相手の陣地に入って、石を一〇個拾って皿に置く。それをテーブルに運んで、テーブルの溝にはめる。一〇より多い場合は皿に戻すこと。少ない場合はそのかずだけ拾いなおす。先に、テーブルの溝に一〇〇〇個並べた方が勝ち。ルールは石一〇〇〇個のなかに、赤い石が一〇〇個ずつあって赤い石をいちどに二個以上運んではいけない。材木をけるのはだめ。さわったり動かしたりした石は皿に置かなければならない。材木の上に石があるときは材木を、動かす前に石を拾うこと。時間はどうなると思う]
五六四一の悪魔   [テーブルのそばに、置かないように、均等に並べた場合は時速六㎞なら六秒で一〇mだから、一〇〇回運んで移動に一〇分。拾うときと並べるときに、一個一秒なら三三分ぐらい。だけど材木三つで、赤い石を囲んで上に別な材木と、赤い石を置けば六秒よけいにかかる。それを二五個つくるとプラス二分三〇秒。材木一〇〇個をとりでのように積んで赤い石ばかり一〇〇個置けば一〇分。とりでを遠くのかどにつくって、他の石は、反対側のかどに置けば最大ね]
機山   [書類は「一〇〇一ねん五がつ五にち。まえじま三一さいといぬわし三〇さいがいしひろいでたいせん。さんかりょうは四もんずつ。じゅんびがはやいと五もんで、かつと一〇もん。いぬわしはとおくにあかいいしをおいて、うえにざいもくをおくさくせんでせんちゃく五もんもらう。まえじまはあかいいしとざいもくで五〇こずつとおくのかどにとりでをふたつつくって、ほかのいしを、だいざのちかくにおいている。しあいがはじまるとまえじまは一〇こめにあかいいしをひろうほうほう。いぬわしはちかくからじゅんばんにひろっている。いぬわしが九〇〇こひろってならべたときにまえじまははんぶんいじょうのこっていた。いぬわしがざいもくの、すきまのいしでもたつきはじめる。まえじまのうごきがだんだんはやくなった。あかいいし六こさでまえじまのかち」]

三三二三の悪魔   [「一文銭ゲーム」で反応しました]
機山   [まず一辺が四mで正方形の陣地二つに、はさまれるように一m四方のテーブルがある。一文銭(直径二五㎜ぐらいで穴があいてる)に長さ五〇㎝のひもを結んだ物が五〇〇枚ずつあって二人で対戦。テーブルの横に大きさが一〇㎝前後でわりと平らな石を一〇〇〇個ずつ準備。それを相手に、一文銭が拾いづらいように、自ぶんの陣地に並べる。もちろん一文銭は石の下に五〇〇枚置く。先に相手陣地の一文銭五〇〇枚を拾って、テーブルに置いた方が勝ち。ルールは、石の上に石を置いてはいけない。石をけったりほうり投げたりもだめ。石を陣地の外に置いてはいけない。石を踏むのはだめ。石は持ち上げて静かに置くか転がすこと。陣地の外に出てはいけない。一文銭はひもの部ぶんをつかむこと。ひもを石に結んではいけない。さてどうやって遊ぶ]
四七四三の悪魔   [奥の、四mかける二m五〇㎝のスペースに石をびっしり置くと最長ね。まず手前の外側から、四番目~三七番目の石を三〇㎝ずつ転がして、足場をつくる。奥と外側の三列は一〇㎝転がすだけでいい。一〇㎝転がすのに一秒かかるとして三四かける二二かける三回が二二四四秒。外側は二五かける六プラス三四かける三で二五二秒ね。脱出するときに一m飛べるとして(一九マイナス一〇)かける三列かける三回で八一秒。全部で二五七七秒だから約四三分。一文銭を一秒で拾うとして八分三四秒プラス。これは足場が一〇二個ぶんだけど、足場が九個ぶんだと四番目~六番目からまっすぐ入って横に三回進んで飛ぶ。(二二プラス三一プラス九プラス二二プラス九プラス二二)かける三列かける三回が一〇三五秒。それに一回動かすだけの一〇〇〇マイナス三四五を加えると一六九〇秒よ。動かすだけで約二八分だけど石が不ぞろいだから、途中で足場がなくなるわ。三個のスペースに二個しか動かせない場合があるから、最初のが最善ね。並べるのに二時間くらいかかるわ]
機山   [書類は「一〇〇二ねん四がつ四にち。あじさい二五さいとやまどり三八さいがいし一〇〇〇こ一もんせんひろいでたいせん。じゅんびがはやいと八もんで、かつと一〇もんもらえる。さんかりょうは一もんだけ。あじさいがちゅうおうに、まるのかたちにならべてせんちゃく八もん。やまどりはおくにびっしりならべるさくせんだ。かいしするとあじさいはりょうてをつかって、まんなかよりを一れつずつうごかす。やまどりはそとがわをうごかすが、ときどき一もんせんがおちている。あじさいはりょうてでどんどんうごかす。やまどりは一もんせんをとおくにしかおいてなかった。あじさいのかち」]

三三二三の悪魔   [「輪投げ」で反応しました]
機山    [まず幅二㎝ぐらいで長さ六〇㎝くらいの、わった竹の両端をピンでとめて、直径二〇㎝ぐらいのリングを四〇〇〇個つくる。長さ一〇㎝ほどの黒いひもと白いひもをリングに二〇〇〇本ずつ結んで、二人で対戦。一辺が五m四方で、正方形の陣地が二つあってはさまれるように、二m四方でふちに高さ一〇㎝のフェンスが、ついたテーブルが二つある。それぞれの陣地に、直径二㎝ほどで長さ一mの先端がとがった竹を一〇〇本と、自ぶんのリング一〇〇〇個と、相手のリング一〇〇〇個を置いて準備。遊び方は相手の陣地で、相手のリングを全部外に出して、自ぶんのリングを先に、テーブルに一〇〇〇個びっしり並べた方が勝ち。ルールは、リングを動かすときは指でつかむか、竹をとおした状態で竹ごと動かすこと。テーブルはひもが見えるようにびっしり詰めてちょうどなので、山積みにして落ちた場合は詰めなおさないとだめ。竹は外に出してもかまわない。リングを踏むのはだめ。陣地の外に出てはいけない。ひもを結ぶのはだめ。さてどんな作戦になる]
四七四三の悪魔   [時間は相手のリングを外へ投げるときに一個一秒で一〇〇〇秒。移動はいちどに八六㎝ぶんぐらい持って二四回だと一四四秒ね。自ぶんのリングは拾うときとテーブルに詰めるときで一個一秒ずつかかって二〇〇〇秒。全部で五三分ぐらい。自ぶんのリングを中央に置いて、竹を遠くに突き刺して、相手のリングを地面にびっしり並べれば最長]
五六四一の悪魔   [幅二㎝のリングは三個ずつくらいしかつかめないわ。運ぶ時間がもっとかかって、外へ投げるときが五〇〇秒ぐらい]
四七四三の悪魔   [手でよけて二〇㎝幅の道を先につくれるわ。五〇〇秒短縮して四四分ぐらい。それから竹を引き抜くときに一本二秒で二〇〇秒]
五六四一の悪魔   [特に技術は、なさそうだけど。竹を遠くのかどにびっしり突き刺すとか、ぎりぎりの距離で勝負が決まるわ]
機山   [書類は「一〇〇三ねん三がつ三にち。ふうじん三九さいとはくちょう三五さいがわひろいでたいせん。さんかりょうは一もんずつ。じゅんびがはやいと四もんで、かつと一〇もん。ふうじんはちゅうおうで、じぶんとあいてのわをまだらに四〇こぐらいつんでから、わのなかにたけを、三三ほんくらいつきさしたものを三つつくっている。はくちょうはまだらに二〇こつんでから、たけを一ほんななめにつきさしていた。それを一〇〇ほんつくってはくちょうがせんちゃく。かいししてすぐはくちょうはちゅうおうから一ほんだけたけをぬいて、おちてるわをひろう。ふうじんは三ほんか四ほんぬいてからひろいはじめる。ひろうときはどちらもたけをじめんに、すいへいにさせててぎわがいい。だいにならべるそくどもおなじぐらいだ。はくちょうがりょうてをつかって二ほんぬこうとしてわのあいだにひっかかってもたついている。ふうじんのかち」]

つづく


超IQ研究所 4

2019-01-01 09:42:57 | 小説

五六四一の悪魔   [まず「一〇段クルーン大当たりゲーム」。直径一〇㎝の浅い小皿に、直径一二㎜で溝だけの穴と下に通過する穴がある。直径一一㎜の鉄球を、上の開始レールに転がして、小皿に落とす。小皿は一〇段になってて、鉄球が溝か穴に、はまるようになってる。穴の通過確率は、二ぶんの一。開始レールから鉄球を一三個連続で転がすと三個以上大当たりになる。つまり皿の上で鉄球が衝突してもはずれる確率は同じ。そうすると連続で転がしたときにはずれる確率が、高くなる構造の方が、IQが高いことになるわ。一段目の穴を通過するときに、二ぶんの一に振りわける構造よ。穴の出口で、皿の、内側のふちにある当たりレールと、はずれレールにわかれる確率がそれぞれ二ぶんの一。当たりレールに落ちた鉄球は、ゆるやかに内側のレールを転がって、落下地点手前の穴に落ちる。はずれレールに落ちた鉄球は落下地点の傾斜で、当たり鉄球の、三倍の速度で、外側のレールを移動。傾斜部の側面と、当たり鉄球の、穴の間をとおって、皿の中央に転がって、溝にはまる。はずれ鉄球が当たり鉄球をレール上で追い越すと、当たり鉄球がレールから落ちて、はずれの溝へ転がることが多い。一段目の皿がずれてて、下の皿が数㎝間隔で重なってる構造ね。「単発転がし一〇段クルーン一〇二四ぶんの一」よ]

四七四三の悪魔   [「期待値の箱」。一辺が二五㎝の正方形で、高さ四㎝の箱がある。箱のなかは、直径四㎝の穴がふちに一六個並んでて、かどが一〇点、横中央が一点、中間の穴八か所が二点。穴と穴の、間の底面は盛り上がってて、どちらかの穴にすぐ入る構造。箱の、底の、中心の下に、高さ四㎝の軸があって、箱は傾かない状態で静止してる。箱の、上中央の開始穴に、直径三㎝の鉄球を、一個ずつ落として得点を競う。得点穴を鉄球が通過すると、穴についてる三㎝ほどの感知棒が動く。感知棒は軸に負荷がかかってるから、鉄球が通過したあとに転がっても得点を示せる。要点は、かどの穴は、入賞確率が横中央の、穴の、一〇ぶんの一ぐらいじゃなくてほとんどないこと。長さ一二㎝ぐらいで幅が一㎜より細い棒の上を奇跡的に転がり続けないと、かどの穴へは入賞しない。そこで実験を積み重ねて開発したのが「期待値ラック一〇段」。箱の大きさは一辺が一八㎝で、穴の直径を五㎝にして八か所。鉄球が直径四㎝で軸の長さを五㎝にして、かどが一〇点、中間が二点。こんどはかどの入賞確率が、五ぶんの一より大きい。箱の下は、厚さ二㎝の板で、鉄球が下段の、箱の穴へ落ちる穴に、転がるように溝が彫られてる。そういう板を下から九枚重ねて一〇段。箱の高さが五㎝で、全体の高さは一m八〇㎝。幅は四〇㎝ほどで奥行きが二一㎝よ]

五六四一の悪魔   [「レール時計シューティングゲーム」。まず直径一一㎜の鉄球が、長さ一mのレールを、一㎝ぶんの傾斜を三秒で転がる。レールを正方形の形に組みつけて、一五〇段ずつにすると六〇〇本だから上から下まで三〇分。これは高さが六mになるから、高さを一m五〇㎝に縮小する。レールの長さが二五㎝で、傾斜が二五㎜ぶん。上から下まで七分三〇秒。中央の、二五㎝四方の空間に、高さ二mの支柱があって、先端から横に長さ五〇㎝の棒が突き出てて回転する構造。棒の先端は、長さ五〇㎝のひもが出てて、大きさが二〇㎝ほどの、小型弓矢がぶら下がってるわ。ひもは棒と支柱をとおって地面に置かれた重さ一㎏の、重りにつながってる。ボーガンは片手で操作して長さ五㎝のピンを三〇本連射できる性能。でも弓を引いて連射するのに一秒かかるわ。遊び方はレールに鉄球を転がして小型弓矢で撃ってレールから落とす。成功率は最大で三ぶんの一ぐらい。片手で重りがついたひもを引っ張りながら、小型弓矢の先から一〇㎝ほど突き出てるガイドを、レールの台座につけて狙(ねら)う。縦方向は鉄球の中心をとらえられるけど、横方向はがんばって三ぶんの一。開始レールに鉄球が四〇個並んだ二段組みのレールをとりつけて、四〇個落としに挑戦。ルールはピンがレール上に、ひっかかったときは小型弓矢とひもを手から離してとりはずすこと。連射カートリッジはいくつ使ってもよい。小型弓矢は竹の弾力で発射して連射カートリッジに一本送り連結器がついてるわ。あと鉄球が二個以上つながって転がってるときに、先頭や中間の鉄球にピンが、命中してもはじき返されることが多い。撃てる鉄球をいそがしく追っかけたり待ちぶせたりして四〇個達成]

四七四三の悪魔   [「二倍板水田の田植え器」よ。普通の水田は正方形になってて、水田のなかに人が入って田植えをやる。一m幅ぐらいの細長い水田なら田植えが簡単。しかしそれは「あぜ(田と田の、境界の盛り土)」に使う板が多く必要。あぜ板は厚さが二㎝ほどで、幅は二〇㎝ぐらいで長さが一mくらい。杭(くい)や内側を石や土で固定。まずこれが二倍になる細長い水田をつくる。二次方程式になるわね。一辺が一〇mで正方形の水田を基準にすると、短い辺がXで、長い辺が四〇マイナスX。面積が一〇〇で方程式にするとX二乗マイナス四〇Xプラス一〇〇イコールゼロ。二次方程式の公式で計算して短い辺が二.六七九・・・m。二m六八㎝と三七m三二㎝。外側五〇㎝はあぜから植えつけることができて、手が届かない部ぶんは幅三〇㎝で長さ三mの「踏み板」を使う。厚さは二㎝で五〇㎝前へずらすと、五〇㎝と二六八㎝の斜辺が二七二.六二四・・・㎝だから楽勝。一m前へずらすと斜辺は二八六.〇四八・・・㎝。踏み板が斜めに、七㎝ずつあぜにかかっててかどがぎりぎり出てないわ]
五六四一の悪魔   [そこの計算は、どうやるの]
四七四三の悪魔   [悪魔の物さしで測ったから間違いないわ。踏み板の、両端のかどがあぜ板にかかるぐらいで一mよ。苗を一〇㎝間隔で植えるとして踏み板の下は、幅三〇㎝の両側を一〇㎝ずつ手探りで植えればいい]
五六四一の悪魔   [動かすときに苗を傷めるわ]
四七四三の悪魔   [踏み板の両端に、幅二㎝で高さ一〇㎝の足をつけましょう。片方ずつ一m動かせばいい。この、長さ三mの踏み板が、二倍板水田の田植え器よ。もうひとつ楽しい方は「四アール水田が目安なら板を二倍ちょっと使う水田の田植え器」。四アール水田は一辺が二〇mの正方形。これは一辺が五mと八〇mだから二.一二五倍。まず直径が小さくて、幅一〇㎝ぐらいの車輪が、四つついた台車があぜの両側に一台ずつある。両方の台車に、高さ一m五〇㎝のじょうぶな支柱があって、幅一〇㎝で長さ五m五〇㎝の角材とつながってる構造。角材の下に、一〇㎝間隔であぜの方向に、幅一〇㎝で長さ三〇㎝の足場がぶら下がってる。足場はかどの四か所をロープで固定して水面より四㎝ほど浮いてる状態。角材の上にレールがあって、苗を置く四〇㎝四方の、板の底とかみ合う。台車の前後に積まれた苗を、板に乗せて、前後についてるひもで角材の中央へすべらせる。田植え作業は二人でやって苗を角材の中央にある板から、水に浮くお盆へ移して、手に、持ちすぎないようにすること。両足を前後に四〇㎝ほど開くと体重移動ができる]

五六四一の悪魔   [休憩時間終わり。また時計ね。「水滴時計」よ。重さ三㎏の銅でできた容器に水が二四リットルちょうど入る。容器は軸の精度が高くて、じょうぶなシーソーの上に載ってて、底から水滴が下に一二分で二〇〇ミリリットル落ちる構造。つまり二四時間で全部落ちるわけね。シーソーの反対側に、重さ三㎏の箱が載ってて、なかに八三.三三三グラムの、木の板が二八八枚入ってる。容器の水を満杯にして、シーソーが釣り合った状態で底の栓を抜く。シーソーは五分ぐらいで少し傾いて一〇分ならかなり傾いて下にある水滴を、受けとめる容器のふちに当たる。時間を計るときは釣り合う状態になるまで、箱から木の板をとり出して、枚数をかぞえて一枚五分で計算]

四七四三の悪魔   [ゲーム性が高まるから古代ギリシャ人を動員しましょう。「アクロポリスの時空転送器」よ。高さ七〇mの、アクロポリスの、丘の斜面に板を張って、滑走路をつくる。傾斜が三〇度で全長一四〇m。幅は六mで左右に高さ三〇㎝の壁。まず幅五mで長さ六mの「そり」に、背もたれがある椅子を横と縦に一〇脚ずつ並べて固定する。スタート地点にそりと同じ大きさのじょうぶな巨大板を設置して、上にそりを準備。古代ギリシャ人一〇〇人がそりの椅子に座ってベルトで胴体を固定。そりの重さが八〇〇㎏で、巨大板が一トン。人間が六トンね。そりひとりぶんの八㎏が最高強度。巨大板の後ろにロープを一〇本結んで、高さ三mの滑車を一〇台使って八〇人でぶら下がるようにしてつり上げる。巨大板を二m三〇㎝ぐらいつり上げたらそりがすべり始めるわ。斜面の下には、高さ一〇mのゆるやかな砂山があって、そこへ向かってそりがどんどん加速。古代ギリシャ人が一〇〇人同時に、現代に時空移動]

五六四一の悪魔   [「回転竹鬼ごっこ」。かなり危険なので顔を、防御するお面をつけて熟練したプレイヤーが三人で遊ぶ。まず長さ一mで幅六㎝の角材を下にして、両端に高さ一m六㎝の支柱をとりつける。支柱の上から三㎝に穴をあけて、金属製の軸受けをはめ込む。支柱は厚さ三㎝で幅六㎝。軸は鉄製で、長さ九九㎝で直径二㎝よ。長さ二mで直径七㎝の、竹の中心に穴をあけて、厚さ二.五㎝で直径六㎝の「のぞき板」と交互に、軸にとおす。竹を、とおした軸を軸受けにはめて回転竹一mぶん。それを一二個つくって正一二角形の形に立てて、支柱の内側と外側にそえ木を釘で打ちつけて固定。次に、正一二角形の中心に、高さ一mの地蔵を置く。長さ一m五〇㎝で直径三㎝ぐらいの竹二本を十文字に組みつけた物が、地面と平行に、回転するように、回転軸を地蔵の頭につくる。立ったままで四ぶんの一回転させることが可能。回転竹の外側一mくらいに柵をつくって、外周を二四角形にする。そこから他の選手や見物人が観戦。回転竹は軸の負荷が少なくてやや強く動かすと一回転する。ルールは鬼が外周に、いるときに他のプレイヤーが、中央の竹を一〇回転させたら鬼がマイナス二点。回転させたプレイヤーにプラス二点よ。鬼にタッチされるとマイナス一点で、新しく鬼になる。竹を足で動かさないこと。中央の竹は回数を叫びながらまわす。平均してマイナス点数がどんどん増えていくけど得点にこだわらないで竹のゆらぎを楽しむこと。鬼から遠ざかるように、後ろ向きに歩きながら、竹を横向きにする。鬼は竹を地面に、垂直に並べて追う]

五六四一の悪魔   [「牽(けん)制(せい)鬼ごっこ」よ。これは熟練したプレイヤーが一対一で対戦。長さ六mで幅一五㎝の、角材の片側に、三〇〇㎏ぐらいの重りがついてる。重りから一mの部ぶんに軸があって、高さ一m一〇㎝の支柱二本で、振り子のように動く構造。支柱は地面に深く埋め込まれてて、重りは扇形よ。角材の反対側は、幅三〇㎝で長さ一〇mの、板の中心とくっついてる状態。板は厚さ三㎝くらいで、表面に二〇㎝間隔で直径二㎝ぐらいの棒がすべりどめとして貼りつけられてる。角材が四五度傾くと地面からおよそ一mの高さまで、板の先端が移動。プレイヤーが角材の足場をつたって、板の中心に乗る。重りを釣り合った状態プラス一〇㎏に調整。鬼が下で待つ。プレイヤーの体重が六〇㎏なら六二㎏で釣り合うわ。六二わる六〇が一.〇三三・・・。斜辺がコサインの、一.〇三三・・・倍になる角度の、サインの距離だけ中心から移動しても釣り合う。一四.六度のサインが〇.二五二・・・だから五をかけておよそ一m二六㎝ね。ルールは鬼にタッチされるか、板に乗られるとプレイヤーがマイナス一点。鬼が板にぶら下がってもタッチとみなされて、鬼にプラス一点よ。鬼より早く地面に着地して二〇㎝四方の得点板を踏むと、プレイヤーに一点で鬼は変わらず。プレイヤーはすばやく左右に動いて鬼を牽制。体重が、軽い方の鬼が板にぶら下がって、プレイヤーが反対方向に走ると危険だから鬼はすぐ叫ぶこと]

つづく