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千文字小説の未来について

超IQ研究所 太平洋戦争概説㉜

2019-05-08 13:18:44 | 小説

 

    阿嘉島(沖縄慶良間列島にある小島)の戦い

 

北条政子 小田原には一五九〇年まで黒犬の間があった。

M 顔見知りってわけだな。

 二八日目朝。

牛島 沖縄作戦司令官牛島中将だ。

M 栗林は。

牛島 戦死した。

M 栗林に似ているけどな。

 丸太と鉄製リングを装兵のわきに置いて、天井にふたをした。

南雲 カデナより。午前一一時出発。阿嘉島着は三月一九日午後。

 宇宙輸送船に乗る。H.スミスは昨日飛行機で書類を回収しにドイツへ行った。

 

 三月一九日。

 阿嘉島に着いた。

 山から沖縄の女たちが島唄を歌い始める。にぎやかな声が響く。四人だな。他の島民は避難している。

 南側の小島で米軍が飛行場を造っていた。

米囚人パイロット 一回だけ偽装爆撃してやる。どこを爆撃したらいい。

牛島 機銃陣地の後方だ。

 対戦車砲はすでにあって戦車撃ちの三人が点検している。

 機銃陣地は石を積んだ墓のような形状で、上陸予定海岸から五〇〇mほど奥に並んでいた。

 捕虜のレセプト陣地は土手にフック弾発射装置が五台設置されている。

 ねぐらは山のふもとに、長さ四〇mほどの横穴二本があってなかでつながっていた。畳がひとり一枚。手さげランプが三〇。奥にサイパンから運ばれた別な装兵と黒犬の羊毛束がある。夜は眠ることだ。

 

 三月二〇日。

 林と二人で囚人トーチカの射程距離に、目印の小岩を袋頭巾に詰めて運ぶ。ギリシャ人の小僧に、射程距離がわかるように、小岩に距離を書く。最初は墨で書いていたけど米軍が油性インクを貸してくれた。小銃使いが小岩に書く。W六七〇、N五〇、E三〇。西へ六七〇m、北へ五〇m、東へ三〇m。

林 デカルト座標ですね。

M 死んだ座標を記録すれば、ファイルを復元できる。

林 高年齢のナチス囚人兵は特に珍しいですね。将来必要になる。

 

 三月二一日。

 本土から美術スタッフがやってきて粘土で火星人や土星人のオブジェをつくっている。アンドロメノウ星人は人間みたいな背格好で小型通信機を持っていた。

 ニミッツと牛島が指揮官壕でコールサイン(特攻隊の合図)の確認をしている。

牛島 昨日が錆びた手裏剣だから今日は影武者だ。

南雲 カデナより。全員桜花(資材を積んだグライダー)搭載。

 午後三時。捕虜確保の予行演習だ。死体のかわりに、斬り込み装備に小岩を詰めて林と二人で運ぶ。

 スプールアンスが軍用車で黒犬とやってきた。あの軍用車までだ。約五〇m。林と二人で運ぶ。

 トラックに積む動作を確認して今日は終わりだ。

 夜なかに黒犬がほえている。船のナチス囚人兵にイギリス人がいた。

担当SS ヘンリー(ヘンリ八世の子孫)一〇二六様、もうすぐ黄金の国ジパングに着きます。

 三月二二日。スプールアンスがレセプト陣地の草を火炎放射器で焼いていた。通訳の他にもうひとりいる。昨夜船にいたヘンリー一〇二六のイギリス人だ。

 林と二人で小岩を運ぶ。地球のかけらだ。

 一〇二六がついてくる。手伝ってくれるのか。二袋でいいぞ。

南雲 ヘンリー少佐と呼べばいいよ。

 午後三時。米軍からトラックをもらった。ヘンリー少佐がトラックの運転手だ。なにもかもうまくいくような気がする。

 昨日の軍用車が焼けていた。トラックをそばにとめる。小岩が入った斬り込み装備をおれと林で飛ばす。

ヘンリー少佐 おれの話は今回だけにしてくれ。軍隊は好きじゃない。

担当SS 彼はオーストリアで一〇二六人殺したっ。

一〇二六 おれはロンドンから五〇マイル離れた大学に入学したあと、ナチスに入党した。大学を往復して、学位を得ることよりもナチスのプロパガンダに心が動いたっ。不確定で危険に満ちた生の連鎖を、リセットすることがナチスの目的だという。

一〇二六 初めて人を撃った。死体袋に死体を入れていると、鋭い牙の不思議な獣が幽霊をがりがりと食べている。

ドイツの死に神 もうけましょう。もうけましょうっ。一の次が一〇。一〇の次が一〇〇。一〇〇の次が一〇〇〇。

一〇二六 辞書にでたらめなアンダーラインを引いて、他のイギリス人に、やり方をわからないようにする。空中戦で勝てば祖国は安泰だ。口裏を合わせているだけでいい。

 終点。

 斬り込み装備をトラックに積む。

M ヘンリー少佐。どういう指示が出ているんだ。

担当SS 山のふもとに潜伏してる島民ゲリラ部隊を全滅させる。作戦が完了すれば生まれかわって米国人になれます。

M ヘンリー少佐のようにだな。

 

 三月二三日。

 ハンマーで岩盤を砕く。

 トラックで運んで上陸海岸から機銃陣地の射程距離へと約一m間隔の小岩が並ぶ。

 午後三時。NO RIGHT一二七人が集まって動作を点検。ナチス囚人兵五人と合流したあと無線係が奥の穴を指示する。周囲に小銃使い一〇人とニミッツ。

 終わった。

 

     つづく 



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