むらやわたる57さい

千文字小説の未来について

超IQ研究所クラスター69

2019-11-20 07:14:10 | 小説
 昭和四年八月未明。北京の宝石屋で店主が、二人組の男に撲殺される事件が起きる。目撃していた店員は「変なアクセサリーを身につけた二人組の、男に社長が連れ出されて殺されたんでございます」と言う。死んだ店主はガラス玉を「ダイヤモンド」と称して高値で販売していて公安(中国の警察)が捜査していた。公安が向かいの、ホテルの受けつけ係に聞くと、「エンジン音がしたから外へ出て見たんです」と言う。公安がどんな機械か聞くと、「肩と腰に回転ベルトがあって、肩の方に金属ヌンチャクが一本ついてたわ」と答える。公安は世界革命集団第三支店へ行く。公安が事情を聞くと、「工業展に出品した作品を、地主の用心棒に二台売ったよ」と言う。公安はその大農場へ行く。二人組の男がねぎ畑を、水鳥のように歩いている。小作人を威嚇するだけで人殺しは始めてだったんだろう。罪の意識と、後ろめたさと異様な機械が時空を超えた未来の、兵士のようにも見える。公安が畑に入って、近い方の男に「それで宝石屋の店主を殺したんだな」と聞いたら、「ガラス玉を売りつけたから殺した」と言う。一〇mぐらいまで近づいて見ると、金属ヌンチャクが上と下に六本ずつついている。公安が「どっちが殺したんだ」と聞いたら、二人同時に「おれが殺したぜ」と言う。ほとんど同時にエンジン音が響いて、ヌンチャクがまわり始めた。手をやや下げ気味に広げて、バランスをとっている。一秒間に二回転ぐらいでなにかの遊具みたいだ。肩の回転ベルトを動かせるか見ていたが動かせないらしい。前と後ろから近づいてきた。公安は横に逃げる。二人並んで近づいてきて左右にわかれた。あどけない若さが発狂して鋼鉄の負荷を、かけられた紀元前の、囚人のように舞っている。公安がねぎを引き抜いて投げつけると、肩の回転ベルトに角度をつけてはじき飛ばした。ひざをうまく使うとコントロールできるようだ。もうひとりが近づいてきた。公安はねぎを引き抜きながら逃げて、男にねぎを投げつける。男は横に動いて顔をよけたが、ねぎがヌンチャクにからみついて、顔に当たった。公安が飛びはねてキックをすると、回転していたねぎと顔にヒットして、男が後ろに倒れて、ヌンチャクが土を掘り返しながら顔に当たってもだえている。もうひとりの男が突撃してきた。公安が肩口のヌンチャクをつかむと、男は片足でこまのように回転して、柔らかい土にひざもとまでめり込んだ。公安は二人の男を逮捕した。



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