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完全に行き詰まった中国経済…世界から敵視される“不法と無法な行動”
9/2(水) 6:06配信
日高義樹氏は新著『米中時代の終焉』にて中国経済・政治の限界が近づいている現状を指摘している。
米国分析で日本最長のキャリアを誇る日高義樹氏は、新著『米中時代の終焉』にて、国際観光バブルの崩壊と中国政治・経済の衰退の隠された関係を明らかにしている。本稿ではその一節を紹介する。 ※本稿は、『米中時代の終焉』(PHP新書)の内容を一部抜粋・編集したものです。
問題はコロナではない、中国なのだ
中国がサプライチェーンと称して、世界中のパテントを盗み、法律を破って経費のかからない、安い物を作ったうえ、労働者を搾取して膨大なダンピングを行った結果、世界中にお金が溢れた。
トランプ大統領が指摘しているように、中国はそういった不正な経済活動を通じて、年間5000億ドルという利益を上げ続けた。
その結果、世界には二つのことが起きた。
一つは世界中の人々が中国の作った安い日用品を買うようになった結果、これまでと比べて余分のお金を持つようになった。とくにアメリカではその傾向が強かったが、貯蓄を好まないアメリカの人々は余った分をせっせと消費した。 その消費の多くが、アメリカ人の好きな豪華なバケーションやレジャーに使われるようになり、国際的な観光業が繁栄することになった。アメリカのフォーシーズンズや、マリオットなどといった巨大な資本を持つ観光産業が世界を動かすようになった。
もう一つは、安いダンピングによって膨大な資金を手にした中国の人々は、これまた豪華な物への消費を増やし、世界的な観光旅行をはじめた。フランスやイタリアでブランド品の買い占め、日本で爆買いといった現象が起きたのはその表れと言える。 そういったいわば中国が作り出したあぶく銭によって世界の観光事業というものがまさに巨大な雲のように拡大した。こうした状況がコロナウィルス騒ぎによって世界の観光業が大打撃を受ける直前の模様であった。
そしていまウィルス騒ぎによって、基本的にはその日、その日の収入に頼っているホテル、レストラン、航空業といったいわば消費的産業は大きな打撃を受けている。 世界の観光産業、ホテル、レストランといった、いわばその日暮らしの産業が、コロナウィルス騒ぎから立ち上がれないのは、企業の体質は同じでありながら、その規模が大きくなりすぎたために、仕事を取り戻すためには莫大な資金を必要としてしまっていることである。
ところがそういった資金の源である中国が、ウィルス騒ぎだけではなく、アメリカから強い圧力を受け、機能を低下させてしまっている。ウィルス騒ぎが一段落すれば世界の景気が一挙に戻ってくると誤解をしている多くの人々はこの重要な問題を見過ごしている。
つまり、コロナウィルスによる中国のビジネスの停滞は、中国自らの不法行為が招いたアメリカからの反発によるもので、その結果、経済活動全体が機能しなくなっているというのが現実である。
世界の基本ルールに反した習近平
日高義樹著『米中時代の終焉』(PHP新書)
アメリカの場合は中国や世界とはやや異なっている。アメリカも航空業や観光産業、レストランやホテルが、日銭に頼りながら仕事をするための資金や設備のための費用が増えてしまっているというのは同じである。
しかしながら、アメリカはトランプ大統領が登場して以来、減税や規制の撤廃、技術開発への援助などによって経済活動力を活性化しており、しかも強いドルという立場を維持していることから、世界からの資金を集め易くなっている。この結果、ほかの国と比べればウィルス騒ぎからの経済の回復が易しい。
世界経済の現状と見通しを考えるにあたって、もっとも留意すべき重要な問題は、これまで10年以上、世界中に安い物や安い資本を提供してきた中国が、不法行為の結果、行き詰まりになってしまい、世界経済を動かす力を失ってしまっていることである。
世界はコロナウィルス騒ぎの次の段階に入ろうとしている。この事実に間違いはない。しかしながらそれはコロナウィルスから逃れるというだけのことではない。 コロナウィルスによって打撃を受けた経済活動を如何にして回復するか、ということが何よりも重要である。世界各国の指導者がはっきりと認識しなければならないことは、いまや世界の敵はコロナウィルスではない。中国である、ということだ。
中国が不法で無法な行動を続ける限り、世界経済は縮小する。中国の習近平がこの点について正しく認識をしていないために、香港に対して安全保障基本法の設定などという悪事を続けている。
習近平は政治的な力を中国国民に見せつけようとしているが、こうした習近平の行動は、イギリスとの約束を破ったというだけでなく、世界の基本的なルールに違反しており、中国の力そのものを弱めてしまう。
日高義樹(ハドソン研究所首席研究員)