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田舎ぐらし(66)

ー 人間にとって異物 ー


  多分、木にとって竹は異物ではない。

 おばさんは野菜を買ってくれていたお客さんからある時、味が違うと言われた。おばさん曰く、「抗生物質や成長ホルモンの入った動物のフンを肥料に使ったから。」(田舎ぐらし(65))

 化成肥料や農薬を使わない畑の野菜はそうでない野菜より味がいい。うちの野菜も知人に送ってやっているが、嬉しいことにスーパーで買ったものよりおいしいと言ってくれる。

 しかし、味はともかく、豚フンや牛フンに含まれる抗生物質は問題ないのだろうかと疑問が湧いた。抗生物質は家畜の病気予防のため飼料に混ぜて与える。

 家畜は抗生物質入りのフンを排泄する。フンが肥料として畑に撒かれる。野菜は栄養と一緒に抗生物質を吸い上げる。これを人間が食べる。

 豚や人間の体内に取り込まれた抗生物質はここぞとばかり、体内の病原菌をやっつけにかかる。ところが、病原菌の方は殺されてたまるかと、抗生物質に抵抗して “ 防弾チョッキ ” を身にまとう。耐性菌の出現である。

 それじゃというので、人間が新しい抗生物質を作って送り込むと、病原菌はもう一枚 “ 防弾チョッキ ” をつける。人間に嫌われるのは厭だと、どこかに退却などしない。菌にも生活がある。
 こうして、「どのような抗生物質といえども耐性菌が出現しないということはありえず、放置すれば「どんな薬剤も効かない、治療のしようが全くない感染症」がいつか必ず出現」する(「化学物質はなぜ嫌われるのか」佐藤健太郎 技術評論社)
 
 ・・・ 思うに、抗生物質は牛や豚や野菜にとってはもちろん、人体にとっても異物である。自然のものではない。素人考えながら、なんであれ異物は人間や動物の体に入れるものではないと思う。

 数年前、足を骨折。骨をネジで止められた。数か月して、もうくっついただろうと思ったので、手術をしてくれた医者の所へ行ってネジを取りだしたものかどうか聞いたら、個人的には入れたままにしておいた方がいいという返事。

 しかし、どうにも骨に刺さっているネジが気になる。異物という2字が日ごとに大きくなる。体が出したい、出したいと言っているような気がする。それでとうとうほかの医者へ行ってネジを取り出してくれるように頼んだ。

 手術が終わってベッドで横になっていると、医者がやって来た。そして「ほら、これっ」と皿に入れた2センチほどの黒いネジを3本見せてくれた。その後足の調子はいい。時々速歩を入れたウォーキングも軽くこなせる。なによりも気分がいい。

 ( 次回は ー ゆでガエル ー )

 

 
 

 

 


















 



 
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