ー 順 風 満 帆 ー
人生も還暦、古希、喜寿・・・と黄昏れてくると、人は時折り自分の歩いてきた道を振り返る。 そしてこれでよかったと思い、あるいは来世こそと思う。
「順風満帆」という。
帆船が追い風を受けて一路目的の港に向けて走るさまをいう。
例えば、真面目に勉強して、希望の会社に入り、良い奥さんに巡り合い、自宅を手に入れ、子どもは男と女の一人ずつ。めでたく定年まで勤め、孫も3~4人いるといった具合だろうか。あくまで一例である。
しかし、長い人生航路、いろいろなことが起きる。
追い風を受けて順調に走る時もあれば時化で転覆しそうになる時もある。もし船が大波を受け、海に落ちそうになった時、とっさに手をつかんでくれる友は何人いるだろうか。
もし、そういう友が現実にいたとすれば、それは決して忘れることのない記憶となる。いい友がいることは ー その友が男であれ女であれ ー その人にとってこれ以上の幸せはない。一生を大過なく安穏に暮らすより貧乏していても一人の真の友を持つ方がはるかに幸せではないだろうか。
順風満帆は時として可もなくさりとて不可もない、退屈な人生だと思うことがある。