ー 死んでほしい ー
「夫に死んでほしい妻たち」
小林 美希 朝日新書
「お前、 何やってんの !? ふざけんな、 死ね!!」 その本の書き出しはこんな台詞で始まる。
午前7時半、都内のマンションで響き渡った大声である。怒鳴ったのは38歳の妻、怒鳴られたのは夫。
朝、妻は小さな子ども2人を保育園に行かせるのにご飯を食べさせ、着替えをさせるのに大わらわ。同時に自分も出勤の支度をしないと会社に遅れる。
ふと向こうを見ると、皿を洗い終わった夫はのんびり自分のコーヒーを入れ始めた。それを見た妻の怒声である。
妻の不満は夫が家事、育児を手伝ってくれないことにある。それが嵩じると「死ね!」となるらしい。
そんなに嫌いなら離婚したらいいのにと思うがそうすると食べていけない。夫婦でいるうちに死んでくれたら遺族年金がもらえる。
妻としては夫が都合よく死んでくれればそれに越したことはないのだろうが、こればかりはどうにもならない。
それに遺族年金については支給期間の見直しや一部の項目について支給停止が検討されている(産經 令6.11.3 )。さて、どうしたものか。
ついでながら妻のことば使い。
これはもう生まれ育った環境に依るところ大で直すには相当の努力がいる。以前 NHK のテレビの番組で目を吊り上げて「ボーとして生きてんじゃねーよ!」と叫ぶ C G 動画の女の子を見たことがある。NHKが女の子にこんなヤクザ映画で聞くようなことばを使わせるのかとびっくりした。品もなにもあったものではない。ことばは国の文化の本である。