ー おひとり様 その4 ー
エアコンがちゃんと働かなくなったので掃除のプロに来てもらった。少し複雑なつくりだったらしく、男女2名でやってくれて費用は1万と何千円か。家内が払ったので細かい数字は知らない。
女の人の方は見たところ40代、結婚している。仕事を始めて1~2年、自営のハウスクリーニング業だという。
はなっからの自営だとすれば、国民年金※1はあるが厚生年金※2はない。しかし定年がないから体が続くかぎり80歳になっても働ける。協会に入っているので仲間も出来,難しい仕事は助けてもらえる。
明るいし、受け答えもはきはきしているから、お客も増えるだろう。
さて、サラリーマンの世界では、今パートで働いていて、正社員になりたいと希望する人も多いらしい。
また、最近、副業を認める会社がポツポツ出てきた。
ただ言うまでもなく、正社員にしろ、副業にしろ、サラリーマンとして生きれば、給料をもらえるのは定年まで、そのあと年金をいくら受け取れるかは、給料の額と勤務期間の長さで決まる。
自営でいくかサラリーマンでいくか、おひとり様になった後の収入に焦点をあてて検討してみるのも一案ではないかと思う。私のところは二人ともサラリーマンだった。それで、家内が選んだのは、私の厚生年金の2分の1と自分の厚生年金の2分の1を、自分の国民年金に上乗せした額を受給するというものである。
朝から日差しが暖かい。
家内が張り切って、「きょうは耕運機をやるっ」と言い出した。「まず、燃料を入れないとね」というと、小屋の中から混合ガソリンが入っている青い缶を持ち出した。混合ガソリンは草刈り機にしか使わない。
びっくりして「耕運機には赤い缶に入っている車用のガソリンを入れるんだ」と教えてやる。
ウォーキングをしながらいろいろ話をするが、どうもガソリンとオイルの区別もつかないらしい。
頼りないことおびただしい。おひとり様になった時どうするんだと思う。
“ひとりは厭だ。あんたが死んだら、あたいも死ぬ”は昔、田舎芝居で聞いたせりふで、今そんなことをいう女はいない。もっとも一緒に死なれても困る。
※1 正しくは老齢基礎年金。
※2 正しくは老齢厚生年金。
(次回はー へその緒 その2 ー)