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田舎ぐらし (206)

 ー 家 族 じ ま い  ー

 

    「オヤノコトマガジン」 
     (株)オヤノコト 2019.冬

 先日、「家族じまい」ということばに初めて出会った。
 それは新聞の “ 薄縁時代 ” と題する連載記事の中にあった。店じまいはよく聞く。しかしこれは金勘定の世界の話だから「ま、これから頑張ればいいさ」と、ある程度さらっと流せる。しかし、家族じまいとなると、どういうこと?と目を止めずにはおられない。

 一言で言えば、子どもが親と縁を切るということである。具体的には、親が年老いてくると病院の付き添いや介護、看取りなどさまざまな問題が出てくる。これを代行業者に任せようというのである。

 昭和の古い人間の多くは袖振れ合うも他生の縁、まして血のつながった親であれば・・・と考える。いろいろな事情でやむを得ず介護や看取りができなかった時は墓の前で「すまなかった」と詫びる。

 子どもに面倒をかけたくないという親もいるが老いた親の面倒は子どもが見るのが当たり前、それが独り立ちするまで育ててくれた親への恩返しである。これをしないと貸し借りの帳尻が合わない。
 
 長年音信普通だった親であったとしても、可愛がってくれなかった親であったとしても、顔も覚えていない親であったとしても、役所やケアマネージャー、民生委員などから問い合わせがきたら「お世話になりました。あとはこちらでやります。」と応じた方が後々悔いが残らないような気がる。

 そういう私も大きな悔いを引きずっている親不孝者、偉そうなことは言えない。今は遺骨を滅多に帰れない遠方に置いておくのは忍びないと寺から遺骨をもらい受け、自宅に置いて不孝を詫びる日々である。

 

 




 

 

 

 

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