ー 相続雑感 ー
(お詫び:田舎ぐらし(68)末尾の「裁判になったケースではない」という部分を削除しました。)
相続。
経験した人の話を聞けば聞くほど、資料を読めば読むほど相続というのは面倒なものという気がする。
揉めそうになった時、親類あるいは知り合いに中に入ってもらおうかと考えることがある。しかしもうひとつ、家庭裁判所の調停に持ち込む方法もある。友人は調停を選んだ。調停では調停委員が後見的な立場で事が収まるよう計らってくれるし、調停で収まらなければ、裁判官が審判で決着をつけてくれる。
手続きは簡単で、パソコンから取り出した定型用紙に相続人やら相続財産を書き込み、戸籍謄本や登記簿謄本などの資料と数千円分の印紙を添えて、受付に出せばいい。
ただ調停を申し立てる時、気を付けなくてはいけないのは、相続財産の範囲と相続人の範囲をすっきりさせておくことである。
例えば申立人 A が 、故人が残した現金は X 銀行にある〇〇円だけだと思って、遺産目録を作ったら、調停が始まったあとで相続人 B が「いや、X 銀行 にはもっと金があったはずだ」などと言い出したらそれはすっきりした財産とは言えない。
あるいは故人と子の関係について問題がある時は相続人の数さえ決まってないということになる。
そういうことは、ウチに来る前に片づけておいてほしいというのが調停委員や担当裁判官の本音だろう。正確にいうと本音であろうと推測する。相続人の範囲とか相続財産の範囲は 「前提事項」 と言い、これをもとに判断するのが仕事だからである。
とはいうものの、現実にすっきりしない案件は出てくる。その場合、家庭裁判所は「地方裁判所なりで片づけてからうちにきてください」と突き返すのか?それともなんとか家庭裁判所で面倒をみてくれるのか?
問題となっていたが、昭和41年に最高裁判所の決定が出て、家庭裁判所で審理してもいいということになった(最高裁昭和41.3.2決定 民集20巻3号360頁)。
ただ、申立人と相手方双方がきちんと自分の主張をし、証拠も示したりしながらスムーズに審理に入っていけるだろうか。もし、調査が行き届かず、それが原因で家庭裁判所の判断が間違った場合、新たな火種をつくることになりはしないかという心配がある。
( 次回は ー 相続雑感 ー )