ー 天が落ちて来る ー
「東洋語源物語」
渡辺 伸一郎 旺文社文庫
杞憂(きゆう)ということばがある。
「東洋語源物語」(渡辺伸一郎 旺文社文庫)によれば、昔、中国は杞の国に天が落ちて来ないだろうかと心配して、食も進まず、夜もおちおち寝られない男がいた。ある人がそんなことは起きないよと、よくよく言って聞かせたので男は安心し、食も進み、よく眠れるようになった。ここから、とりこし苦労のことを杞憂というようになったという。
子どもの頃は夏の夜、よく番台に寝転がって、腕を広げて星々の間を飛んでいる自分を想像した。流れ星を数えた。
今では光るものを見てミサイルだと叫んでも杞憂と笑ってすまされない情勢である。
ドイツはシェルターとして使える地下駐車場や駅舎を図にして避難先を知らせるアプリをつくるという。
スウェーデンは「戦争や危機が起きたら」というパンフレットを国内全520万世帯に届ける。パンフレットの中では家庭菜園を奨励している。
フィンランド、ノルウェーは戦争や危機の際に何をすべきかについてインターネットやパンフレットで注意を促している(以上産經 令6.12.6より)。
一番怖いのは核攻撃である。数百万度になるという火球の恐ろしさもさることながら、風に乗って広がる放射能は拡散する範囲が広いだけに用心しなければならない。
その時、政府は警報を出すのかと気になる。3.11福島の事故の際はすぐに放射能の拡散方向を公表しなかった。確か国民がパニックを起こしたらいけない、という “ ご配慮 ” だった。
政府からは自分は頭のいい親で、国民はピカピカのランドセルを背負ったバカな小学生に見えるらしい。着弾したことと風向きだけ教えてくれれば後は自分で判断しますのでご心配なく。
皆さま、良いお年を。