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田舎ぐらし(170)

 ー 昭 和 人 間 ー

 
  
  スマホは脳の敵か、味方か と問う「ニュートン」2023.1号

 つくづく昭和の人間、その中でも旧人類だと思う。そう思う理由はゴマンとある。

 スマホを買ったのはガラケーをうっかり “ 洗濯 ” したから仕方なく。メールはほぼ使わず電話を使う。よく置き忘れる。
 そもそもスマホについては “ 家の固定電話を持ち歩くよりはまし ” くらいの評価しかしていない。

 電子レンジはない。この先買うつもりもない。料理は手間をかけて作るものと決めている。否、作っていただいている。

 テレビは西部劇か時代劇。“ 今どきの言葉 ” を聞かずに済むし、若いモンの恰好に悪態をつき、女たちの嬌声に顔をしかめることもない。。

 名前が気に入らない。男の子だつたら太郎、女の子だったら花子。犬はポチ、猫はタマに決まっていると半ば冗談を飛ばす。半ば冗談だから半分は本気。

 「床屋に行ってくる」と言う。美容室で男が女の頭をいじっているのを見て、ありゃなんだと言う。

 モップで床をごしごしこするのがオリンピック競技の種目だと聞いても信じない。

昼食。テーブルに注文用のタブレットが置いてあるのに給仕を呼ぶ。

 新聞の読者投稿欄はまず年齢を見る。投稿者の年齢が50歳より若いとまず読まない。

 先日東京へ行った。
電車に乗っている間、だれも自分に席を譲ったりしませんようにと祈る。もっとも信心深い方ではないからどなたに祈っているのか自分でもわからない。
 カバンに行く先の所番地を書いたメモが入っている。東京西部の初めて行く町である。案の定、駅前で立ちすくんだ。どの道を行ったらいいのかわからなくなった。
 
 さて、世の中、時代とともに便利になるのはよいことである。例えばひとたびスマホを手にすれば知らない人に道を聞く必要もない。

  しかし道がわからなくなってスマホを取り出した瞬間大事なものを捨てている。
知らない人に道を尋ねるのは簡単ではない。どの人に?、どのタイミングで?、最初に発することばは?、表情は?、声音は?、物腰は?、・・・。脳細胞は瞬時にたくさんのことを決めなければならない。修練がいる。スマホは修練のまたとない機会を逸している。

 もっとも、小さい頃ママに “ 知らない人と口を聞いたらいけません ”  と言われているなら、ここはやはりスマホを取り出すのが “ 良い子 ” であり、 “ 親孝行 ” である。
 

 

 

  

 
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