年初にいつものように88歳女性の利用者様宅(Aさん)を訪問しました
決められた家政婦の仕事を終え年末から正月にかけての休暇中の安否をお伺いします
Aさんが笑いながら大きなジェスチャーを交えながら話し始めます
「正月におれおれ詐欺の電話がありました」
「えっ、本当ですか?」
私は身を乗り出して話の展開を促します
「おれおれ、と、言うので、どなたですか?と訊いてもおれおれとしか言わないのです」
「・・・・」
「家には、自分の事をおれという者がいないのですけど、どなたですか?
おれおれ、おれはおれ、名乗らずに繰り返すばかりです、どう考えても誰もおれとは言わないので
おれおれと言う度にどなた?何の御用件ですか?と訊き直したら、ドンくさい婆さんやなと思ったのでしょうか
諦めて切りました」
詐欺師が手を焼くなんて面白すぎる、ふたりで手を叩いて大声で笑い転げました
Aさんの誠意をつくした真面目な応対に狼狽えている詐欺師の困惑顔が見えるようです
電話を切ってから正月早々縁起が悪いわい、と、椅子でも蹴飛ばしたかも知れません
次にラインの同級生です
同級生では稀な立身出世をして会社経営をしています
マスコミでも取り上げられて悠々自適生活です
”毛が生えなければ代金を返金します、との広告をみて、嫁に嗤われながら申し込んだ、
ふさふさになって青春を謳歌するのだ”
と、息巻いてます
へっ!!
商売上手でもこんなに簡単に詐欺に引っかかるとは・・・
”毛生え薬を発明したらノーベル賞を貰える、たぶん、生えないわ”
”ふさふさになったら教えて僕も買うから”
私の時代の学生は長髪禁止でした
ご活躍の頃の同級生を知らないのでふさふさ髪のふたりを知りません
・・・目の黒い内に、ふたりのふさふさ頭髪をみることはなかろうと思われます。