映画の中の北海道
北海道を舞台にした映画についてまとめた本といえば、竹岡和田男さんの『映画の中の北海道』が思い浮かびます。
エリアごとに区分して、北海道内でロケをした映画について網羅的に紹介。
しかも、映画評だけでなく、撮影の事情や舞台裏も短くまとめられています。
本書を読んではじめて知った映画も数知れず。北海道を舞台にした映画を知りたければ必読の一冊です。
版元では絶版になっているようですが、ネットの古本屋では比較的手に入りやすいと思います。
シネマの風景
北の映像ミュージアムが編著の『シネマの風景』。
『映画の中の北海道』の後に出版されたので、『映画の中の北海道』以降に公開された映画もあり、巻末には北海道ロケをした映画のリストもあります。
北の映像ミュージアムは竹岡さんが遺した資料を保存・公開するために設立されました。実質的に『映画の中の北海道』を補うようなものとなっています。
聖地巡礼はそれぞれ?
先日のブログで紹介した「HOKKAIDO LOVE! ロケーションスタンプラリー」をはじめ、北海道内でロケをした映画・聖地巡礼をテーマとしたものは、思いのほか偏りがあるような気がします。
たとえば、高倉健主演の作品で『鉄道員』はわりとメジャーに扱われているのに、『チロルの挽歌』に触れていることはほぼ無いとか。
権利的なこととか、観光地的なこととか、いろいろ事情があるのかも知れません。
そういう意味では、先にご紹介した2冊の本はわりと偏りが少なく、網羅的に紹介してくれているのが嬉しいです。
はっちゃき先生の東京ゲーム
私は、映画などの聖地巡礼をする際「撮影地の必然性」が感じられる聖地が好きです。物語の舞台としてその土地が選ばれ、さらには「その土地のこと」が語られている作品が好きです。
そういう意味では、高橋名人主演の『はっちゃき先生の東京ゲーム』は好きな映画です。
本作の舞台は1980年代のニセコ町。町では若者が次々と転出。小学校に通う女の子も、両親の離農をきっかけに東京へ転出することになります。
現在のニセコ町からは想像も付かない町の様子です。
高橋名人はこの女の子に会うため、ニセコ町から函館港を経由、鉄道で東京を目指します。その途上で、青函連絡船や夜行列車を使って移動するので、「1980年代の日本の風景を写したロードムービー」となっています。
ニセコ駅前
ニセコ町の農協前
青函連絡船の甲板
ハドソンの本社も登場
ACACIA
アントニオ猪木が函館市で闘魂伝承した本作。
アントニオ猪木初主演作にして、最後の主演作となった本作。何よりも猪木をスクリーンに登場させただけでも十分すぎる価値があります。
本作の舞台は「臥牛市」という架空の町なのですが、函館市の印象的な風景の中で撮影されています。ちなみに函館山は「臥牛山」とも呼ばれています。
本作でも青函連絡船が登場しますが、本作が撮影された2008年当時はすでに廃止されていました。
『はっちゃき先生の東京ゲーム』では、本州への交通手段として使われていた青函連絡船。
『ACACIA』撮影時には、廃止され博物館として使われていた青函連絡船。
こういう時代の無常観みたいなのも、聖地巡礼の楽しみの一つだったりします。
八幡坂周辺、撮影当時は「せいきょう」の看板が見えました
十字街近辺、レンカ堂が見えます
函館山の要塞跡
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