「ダイ・ハード4、撮ろうよ……」
内戦状態のナイジェリアにて、アメリカ人の女医を救出するために特殊部隊が乗り込む、という映画。
重々しいイントロダクションとテーマから、『ブラックホーク・ダウン』のような、シビアな映画になるのかな、と思っていたけど。
……なんか、拍子抜けも良いところだった。
なんつうか、「アイデンティティが確立していないバカと、ジョン・マクレーンの映画」ってカンジだった。
まず、作中、始終鼻につくのがモニカ・ベルッチ。
救出にきた米軍に対して、「自分はここに残るから、お前らは帰れ」というし。
なんとか、連れ出しても戦場で我が儘言いたい放題で、言動が二転三転して、米軍を困らせ、窮地に追いやり、最後は反省もしないで、とっとと帰国しちゃう。そりゃねえだろ!
なんか、どっかの誰かさんを見るような、そんな苦い既視感があった。
余談ながら、いっつも胸の谷間を強調しているのも……なんなんだ?
ついでブルース・ウィリス。
優秀な軍人ということだったが、結局、戦場に迷い込んだジョン・マクレーンだった。
いや、マクレーン自体は大好きなキャラなんだけどね。
でも、それだったら『ダイハード4』にしようよ。
『ブラックホーク・ダウン』に見られる、リアルグロ路線を敷かなかったのは、流行に迎合しなかったのか、あるいはブルース・ウィリスというビッグネームを使うためだったのか、良く分からないけど、まあそれはどうでもいい。
それよりも、リアルグロを取っ払ったせいか、命が簡単に扱われていることがイヤになった。
例えば、ストーリーのキーになる、人命救助においても。
当初、女医は「全員救出」を望むくせに、「負傷者は見殺し」を容認し、それから「子供・老人を優先」となり、最後は「とりあえず助かろう」となっちゃう。
命の重さが、「自分>子供・老人>助かった人、助からなかった人>足手まとい=反乱軍」となっている。
結局、自分が助かれば、それで良いのかよ。
ついで村落での虐殺シーン。
なんか、もう、一昔前の戦争アクション映画を観てるようだった。
ナイジェリアの反乱軍は「鬼畜非道」で、米軍は「正義の軍隊」とは、あまりにも安易だろ。
(ついでに「反乱軍」という呼称も安直だ)
おまけに「反乱軍」を全滅させると、「ありがとう、あなたはいいことをしました」だって。
殺されたのは人間だし、殺したのも人間なんだけどね。
そして、最後。
ウィリス小隊が全滅しそうになったところ、空からの空爆で敵を全員丸焼きにして、オールオーケー。
女医とウィリスは助かりましたとさ、めでたしめでたし。
……なんだよ、それ!
もしかして、アメリカ人は空爆さえすれば、何でも解決するって思ってるのか?
久しぶりに、つまらない戦争アクション映画を観た。
『ティアーズ・オブ・ザ・サン』(VHS)
監督:アントワーン・フークア
出演:ブルース・ウィリス、モニカ・ベルッチ、他
評価:3点
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます