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同人サークルA-COLORが北海道をうろうろしながら書いているブログです

老人Z

2004-07-04 16:13:00 | 映画-2004年

「大仏って……」

『スチームボーイ』公開に合わせて、大友克洋が制作した映画の特集を、CATVでここ最近やっている。その中の一本。

 大友の名前だけでかなり引きが強かったけど、江口寿司のキャラデザインと横山智佐の声で、冒頭から引っ張られた。
(最近、声優の声と名前がだいぶ一致するようになった……嬉しいような、嬉しくないような進化だ……)

 高齢化社会とか、福祉だとか、介護だとか、公開当時の社会性のようなものを透かすこともできるだろうけど。
 でも、そういうコーショーなテーゼって、たぶん表面的な笑いのための器だと思う。思われた。思ったような気がする。
 全編通じるのはナンセンスなギャグで、力一杯ナンセンスなギャグを作ってるなぁ、とそんなカンジだった。
 例えば、冒頭のシステマチックに老人を介護するベッド。ちっとも便利に見えない介護システムで、かつ「小型原子炉」をエネルギーにしている。
 そして、この介護ベッド(ロボットが介護用ベッドっていうだけで確信犯的なギャグだ)の、アクロバティックかつダイナミックなアクション。このベッドがアクションをする根源となるエネルギーというか動機付けが、半分ぼけたじいさんってのも、どこまでもナンセンスだ。
 でも、先に挙げた老人介護などのコーショーに思える器があるから、このナンセンスギャグが冴えるのも事実だろう。

 あと、お笑いだけじゃないところも良い。
 アクション(というかギャグね)の間に挟まれる人の情――じいさんの介護をする主人公や、厚生省(当時は厚生労働省じゃなかった)の役人、そして「おばーさん」……
 最初は「ボランティア」という無償の志だけだったのが、徐々に輪を広げていって、敵対していた役人の心を動かし、何よりも人ではない「コンピュータ」までも巻き込んでいく。いや、もしかしたら最初のきっかけは、主人公ではなくじいさんの上で寝ていたネコだったのかもしれない。
 海岸をバックに、じいさんと「おばーさん」の対面を見て、なんかちょっと感動する。

 でも、最後の最後で、ちゃんとオチる。
 もう少ししたら会えるってのは、そういうことだったのね……。
 SFとしても、ギャグとしても楽しめる面白い映画だった。

『老人Z』(CATV)
監督:北久保弘之
出演:横山智佐、松村彦次郎、小川真司、他
評価:7点


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