区役所は多くの足立区民利用する施設であり、その中には視覚障害など身体障害を持つ人も多くいる。また、区役所に区内各地から様々な交通手段を用いて行くことができる。今回は、北千住からバスで向かう人、梅島駅で電車を降り徒歩で向かう人を取り上げ調査した。
視覚とは自分から離れた物体を見分ける能力であり、視覚障害は、矯正してもこれが一定のレベルまで回復が期待できないことをいう。視野とは目が認識できる範囲のことで、視野障害とは全体的に見える範囲が狭くなる、部分的に見えないところがあるなど、視野が欠ける状態をいう。他にも物が歪んで見える、色の判別がしにくいなどの視覚障害がある。
視覚障害、視野障害の等級は、「身体障害者福祉法」において、1級~6級に区分されている。
今回、視野障害を取り上げる。
実験方法です。今回の実験は、3級の、周辺視野角度の緩和がさ左右それぞれ80度以下かつ両眼中心視野角度が56度以下のものを被験者とし疑似体験を行った。
まず、被験者に中心だけが見える状況と中心以外が見える状況を疑似体験してもらうために、片目を完全に塞ぎ、効き目である右目だけ見える状態の2種類のサングラスを用意した。
1つ目、中心だけが見えるサングラスは右目側をテープで塞ぎ、直径約1mmの穴をあけた。
2つ目、中心以外が見えるサングラスは内側に直径約1.5mmの丸いテープを貼ったものを用いた。これらのサングラスと白杖を使い、梅島駅から区役所までの徒歩、北千住駅から区役所までのバスの道のりを実験した。
足立区役所は1996年に千住から現在所在地である中央本町に移転しました。
アクセスは主に都営バスと東部スカイツリーラインの公共交通機関があり、
都営バスは北千住駅前から足立区役所前までおよそ15分、
電車を使うと、北千住駅から梅島駅まで7分、梅島駅から徒歩で10分ほどかかります。
梅島駅から足立区役所まで視覚障碍者の視点で歩いてみると、4つの問題点と改善されている箇所を見つけることができました。
こちらの写真は梅島駅の改札を出たところにある階段です。
黒い踏面に黒い段鼻が付けられており、段差があることに気づきづらいです。
こちらは足立区役所に向かう環七南通りの歩道です。
マンホール周辺の歩道が浮き上がっています。
点字ブロックがデコボコしており、転倒する危険性があります。
こちらも同じく環七南通りの危険個所です。
歯医者の前に自転車が停車しており、点字ブロック上を歩く視覚障碍者にとって、危険な状況を生み出しています。
こちらは、マンホール上の点字ブロックが回転してしまっています。
間違った方向へと誘導される危険性があります。
次に改善されている事例を紹介します。
場所は足立区役所に向かう四号線沿いです。
マンホールの横に新たに点字ブロックを設置し、点字ブロック上の障害物を避ける工夫がなされています。
次に足立区役所の周辺についてお話します。
こちらは足立区役所の配置図です。
北館、中央館、南館の3つに分かれています。
バスロータリーが北館と中央館の間に配置されており、北千住駅から竹ノ塚駅前に向かうバスはロータリーではなく、画面左下のバス停に停車します。
こちらは現在の点字ブロックの位置を図示したものです。
現在のロータリーには視覚障碍者の視点から3つの問題点があると考えました。
一つ目は、視覚障碍者が歩行する点字ブロックに対して、自転車駐輪場とバイク置き場、植栽の配置計画が適切かという問題です。
北千住駅からバスに乗って、足立区役所のバス停に降りると、画面の左側にあるバス停に降りることになります。
足立区役所に向かうには国道四号線を横断する必要があり、横断歩道を渡るか、階段を上って歩道橋をわたるかの二つのパターンがあります。
まず横断歩道を渡る道順を選ぶと、この写真の黄色く塗った点字ブロックの位置を歩行する
気になる点は、歩道の幅員に対して、植栽の植え込みの柵がスペースを取りすぎています。
植え込みの柵のために、通り抜けのスペースが狭くなっています。
また、点字ブロックのそばにバイク置き場も設置されているため、
歩行者、自転車、バイク置き場の動線がまじりあい、視覚障碍者にとっては恐怖心を抱く危険な場所になっているように思われます。
二つ目は点字ブロックの誘導についてです。
現在、点字ブロックは北館と中央館の二つの入り口に誘導されています。
三つ目は点字ブロックとバスを待つ人との距離が近いことです。
ラッシュ時には多くの人がバスを待つため、衝突の危険性があります。
点字ブロックの位置を見直し、バスの乗車口までの点字ブロックを別途で追加する改善案が考えられます。
ロータリー以外にも区役所の敷地内には視覚障碍者にとっての問題点があげられます。
1つ目は、北館と中央館の間にある点字ブロックです。
北館と中央館の間に点字ブロックがあり、建物内に誘導されるが、館内には続く点字ブロックがなく歩きにくい。
ステンレス製の点字ブロックへ変えることで、目立たなくさせ中央館のメインエントランスへの誘導ブロックを強調させる。
2つ目は、中央館の裏にある階段です。
段鼻がなく段差が分かりづらく、また、1段目の段差は階段であることも認識しづらい。
こけた
改善として、段鼻が目立つように輝度の高い線を加えることで段差の違うことを強調する。
最後に、南館へアプローチするための点字ブロックです。
ここには2つ問題点があり、
1つは、
地面に直接誘導ブロックが貼られている為、目地などに白杖が引っかかり歩きにくいということです。
2つ目は、
側溝の蓋に白杖が入ってしまう為、危険であるということです。
この2つの問題点に対し、
1つ目の解決案として、タイル式の点字ブロックを張ることで、白杖を滑らせて歩きやすくさせることと、
2つ目の解決案として、側溝の蓋を透水性のグレーチングに変えることで、白杖が溝に入ってしまうという問題がなくなり、
かつ、グレーチングの上に点字ブロックも設置できるため歩行がスムーズにさせることが出来ます。
色覚障害には、赤が見づらい1型色覚、緑が見づらい2型色覚、青が見づらい3型色覚の3種類がある。
中央館のサインの色は色覚障害を持つ人にとって写真のように見づらいという問題がある。
色覚障害の大多数を占める1型色覚と2型色覚の人は、赤から緑の波長域において明度が類似した色の見分けが困難である。さらに第1色覚障害では、最も長波長側の視物質に変異があるため、赤が暗く感じられる。3型色覚の人は、比較的色覚障害のない人に近い色の見え方をするが、緑と青の見分けが困難である。
https://www.jishin.go.jp/main/seisaku/hokoku18d/s55sg67_3.pdf
東京都カラーユニバーサルデザインガイドライン
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kiban/machizukuri/kanren/color.html
そこで今回、これらのデータに基づき明度、寒色暖色 共に多比されている組み合わせを選び、色覚障害の人でも色が見分けられるユニバーサルデザインなサイン計画の改善案を提案する。
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