光の当たらない君

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姉の桃

2024-11-21 17:44:00 | 日記
同情の余地はない。

裁判で、同情の余地はないと
言いながら、
判決を聞くと、

同情の余地だらけというのが、
裁判にはよくある。

大騒ぎするわりには、
判決は、甘い。

僕は幼い頃から、
なんでも美味しいものは、
誰よりも食べたいという
情熱を持っていた。

夏になるとよくスイカを食べた。
ところが、
姉は、
スイカが大の苦手で食べられない。
そこで、母は、姉には、
スイカの代わりに

桃を買っていた。

そのアイデアは良かったが、
問題があった。

実は、姉の弟、すなわち僕。
僕は学年が二つ下なので、
どうしても、
早く家に帰って来る。

母を悩ませたのは、
どうしたら、
桃が、僕に見つからないようにするか
であった。
母も仕事をしていたので、
早く帰ることはできない。

僕は学校から帰って来て、
さっさと
自分の分のスイカを食べる。

はたして、

桃はどこに隠しているのか?

この犯罪も同情の余地はないが、

「見つかったら、仕方がない」と、
母の判決は甘かった。