鉱山の社宅に住んでいた。
結構、田舎だった。
田舎といっても
不思議な田舎だった。
スーパーのようなお店があったり、
映画館のような広い会館があったり、
病院、
美容院、床屋さん、グラウンド、
プールなどなど、
一つの町が形成されていた。
そしてたくさんの社宅があった。
鉱山には、坑道があって門がある。
そこから入ったり出たりする。
ある日のこと、婦人会の面々が、
ご主人たちの仕事場を
見学することになった。
坑道の門の所で、
採鉱の係りの人から、
説明を受けていた。
その時、ちょうど、
夜勤明けの人たちが
坑道から出て来た。
それで、婦人会の一人の婦人が
「お仕事、ご苦労様です。」と
声をかけた。
それに対して、
坑夫の一人の人が、
「婦人会の皆様こそ、ご苦労様です。」
と返答した。
何の変わりもない、
普通の挨拶であった。
ところが、
後でわかったことは、
実は、お互いに挨拶した、
お二人は、
夫婦だった。
ご主人は、
自分の奥さんがわかっているのですが、
奥さんには、
みんな、顔が真っ黒で、
わからなかったのです。
このご主人は、おもしろい方で、
自分の奥さんに、知らない人のように、
冗談で挨拶したのです。
「余の顔を見忘れたのか?」
暴れん坊将軍のセリフのような
この話題に、
みんなが笑いました。
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