
~サッカ・リン~
作品メモを作品にすることにした作家の話を作品にする。
題名とストーリーの軸はだいたい決まっているが、結末や起承転結的なロジック云々、登場人物だのなんなのは、書き始めてから自然と流れるように生み出されればよい。
つまり車と同じで、はじめの一歩はとても重い。
でも、発進してしまえばあとはほぼ、自動的に世界が進むと言っていい。
その世界は千差万別であるべきで、私はその一歩を提供するが、そこから先は、自由に想像、妄想してもらうほうが夢がないか?
昨今の二次作品、同人作家が、ビックバンのあと星が大量発生するようにあふれかえるのは、ごくごく自然なことだ。
そして結局、それが一番楽しかったりするものだ。
普通は、プロットを元に、いわゆる「作品」を書き進めるのが作家だが、それらを「作品」にしてなんぼのもんじゃい的な世界で、いろんな「プロット」を考え、アイデアを書きつづけているが、決して作品を煮詰めたりしっかりと書かないという作家がいても良く、さらにその実験をしようとする作家を描く作品があってもよさそうである。
以下は妄想作家の妄想日記的な手法で、作家になりたいというより、サッカ・リン(作家・凜)という作品で、二重に、作家が作品を考えている作品という世界が何重にもなっている作品にしたいと思っている。
・・・と思っている作家の手記である。
『サッカ・リン』
以下はウィキペディアからの抜粋である。
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サッカリン (saccharin)
人工甘味料。
摂取しても熱量(カロリー)とならない。
無色無臭の結晶であり、
化学的に安定している。
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こんな冒頭部分があり、自称作家、凜、の手記である。
主人公:藤堂凜(自称作家)。とうどう、りん。
なぜ藤堂なのかは、サッカリンが甘味料だからか、「糖分」の「糖」があたまに無意識に浮かんだからかもしれないが、そうではないかもしれない。
でもそうかもしれないから、誰かに質問されたら、そう答えることになるだろう。
そんな感じで、自称作家、藤堂凜は「サッカ・リン」という作品プロットを書き連ねるネタ帳自体を作品とする作品群を書くことにした。
作品を書く・・・・
長い間の夢だったが、夢ではなく、もはや、生きていると勝手に脳内に何度も浮かんでくるから、それを何らかの形で落とし込んでおかないと、なかなか頭から消えない。
そんな感じで、作家になるべくして生まれてきたかのような自称作家の設定。
作品とはなんだろう?
そんな感じで、つらつらと、ネタをまとめてみるが、一つ一つは小さな作品でも、群にすると見えてくる何か。それを見てみたい。
あたまからどんどん浮かぶネタを群にするとどうなるだろうか?
作家が作家を描き、それを二重三重にしていくと、どうなるだろう?
作品中の作品、そしてそれを包括的に作品にした上で、またそれを包み込んだ作品を作る、という実験である。
・・っということを考えている作家の手記である。
■ピンポイント☆ヤンキー■
例えばエンジンの音大好き、ストローをたばこのように扱い、空気たばこを吸う。バイク乗らないのにバイク軍団を見ると憧れていた、心の中では応援していた。そして自らも進んでバイクの免許を取るようになった。その結果、交通ルールに従いつつ、群をなして走行することを率先して行うようになる。あくまでルールを守った上で。また、プロレスや格闘技好きのため、軍団作ってオラオラ系を演じてみたくなるが、いじめ反対。逆に軍団を作ってオラオラ系だが集団で良いことをするなど、基本的にいい人間で見た目普通の女子である。銃も好きで、FPSゲーマーとしても名を轟かしている。ピンポイントでかなり濃いめのヤンキー気質を持っており、それらの欲求を抑えることが出来ないため、結果、不思議な行動に出る、見た目普通の女子高校生の話。
■巫女の王■
いわゆる古(いにしえ)の巫女の話。土足禁止!これ食べろ!(梅や海藻や・・・謎の物質を食べるよう勧める。)鍵をかけるな。いわゆるドア禁止。横に開くふすまにしろ的な。ヤマト民族の現在、なんでこうなってるの?・・・の一つの作り話として、それらすべてを千里眼で見極めていた巫女の王の話。(決して卑弥呼ではない。)何故「女王」と表記せず、「王」なのかは、昨今のいろいろなアレを意識したのもあるが、別にたいした意味もない。音の問題だ。「巫女の女王」だと「女」がかぶっていてクドい。「巫女の王」の方が、なんでだろう?なんだろう?王?みたいに、人の気持ちを引き込む力があると思う。
■YU-ME(湯女)■
いわゆるお湯に魅せられた人の話。お湯を飲む。お湯に入る。店などのお手洗いでお湯が出てきたらお湯でずっと手を洗いながら、まるでシャワーを浴びているような気分になっていたり、お湯に対して、並々ならぬ気持ちを綴り、それらを続けているうちに、YU-MEとなる。名前は夢、で決まりかな?王道的に。YU-MEは仮の職業。いろんなお湯を提供する女。っていうことで、一大お湯アミューズメントパークを生み出し、新しい職業を生み出した今や(その世界では)伝説となった人の話。その世界ではお湯が当然のように存在し、希有な国であった。すでにお湯文化が発展している国であるが、その起源となったエピソードゼロを描く。
■JITTO SITERU■
じっとしてる人の話。世の中には、JITTOしていられない人が存在する。でも逆に、いつまでもJITTOしていられる人もいるが、それがあまりにもJITTOしすぎているといつまでもJITTOしてるので、それはそれでやっかいだ。「JITTO SITERU」はその雰囲気をひらがなやカタカナでは出しづらく、ここはやっぱりアルファベットでいくべきと思われる。JITTOしてる、し続けることで、見えてくる何かがあるだろう。もちろん対極的にJITTOしていられない人も登場する。対極的な人を描くことで見えてくるいろんなエピソード。それらを見ている猫の話でもいい。猫はJITTOしていることが多いが、その猫でもびっくりするくらいJITTOしてる人って面白い。これって文章でどこまで表現できるのであろうか?たぶんポエムや枕草子的な文章のジャンルになるだろう。
■家事のロワイヤル■
題名だけ思いついたけど、これをどう料理するというのだろう。家事を極限まで高次元にまで持って行った人の話になるだろうか。題名に全てをかけた上、題名に負けない芯の太いストーリーが必要だ。
■ドラッグ・ストア■
これは薬を売っているストアではなく、音楽を薬として売っている人の話。いわば、音楽療法が一般化している世界の話で、処方箋を持ってくる人、薬としての音楽で、汎用性が高いものは普通に店頭でも売っている。例えばよくあるのが「集中力を高めるクラシック」が有名。データ売りとなっており、アクセスコードのみを販売している。架空の音楽ドラッグシステムが公式に認められている世界で、当然のごとく、いろんな人がドラッグストアにやってくる。薬剤師として一人の主人公が、ドラッグストアにやってくる人達のいろいろな人生模様を垣間見る。1本完結型のドラマ形式のストーリーがいくつか存在する。それぞれの章に題名が付いており、それは音楽の処方箋の名前となっている。第1章:集中力を高めるクラシック、第2章:****。というような感じ。どこまで人を描けるか、そして、どれだけそれを音楽薬剤師の目線で描けるか。作家としての文才が問われることになる。「あのー・・・。頭が痛くて、それで、あのー、薬を飲んでも治らなくて。こちらを紹介されて来ました・・・」これはあくまで例である。例としてのレベルはとても低いが、こんな感じということ。
■ナンコレ■
自分の感覚でしか分からないため、これは自分にしか書けない内容となる。なんだろうこれは?で略して「ナンコレ」だが、この題名についてはいまいち納得がいっていない。たとえばある空間に人がいる。そしてまた別の人がいる、この瞬間に、ナンコレ世界がやってくる。なんだろう。人が一人いるだけで、空間が変わる。そこに植物を置くと、また空間の感じが変わる。空間の変化に敏感すぎて、いろいろ大変になっている人の話。これは感覚でしかないから、自分にしか描けないだろう。
■瞑想SHOP■
いろんな瞑想をお届けする店。これこそナンコレ的な世界。だけどナンコレ自体にスポットを当てるのではなく、瞑想を売りにしている店の話。瞑想は別に、特別な場所で、特別な方法でする必要はない!と断言するお店の主が、カフェの形式で店を展開しているため「瞑想カフェ」とも呼ばれている。瞑想SHOPにやってきた人々に普通にカフェを提供するが、メニュー表の中には「瞑想」がある。「瞑想ください」と口々に言う人々。そうすると、耳栓とアイマスクが提供され、その場でたたずむ人達が、カフェの中でただ座り瞑想する。お気軽に瞑想できるそのSHOPでは、普通にカフェも注文出来る。そんな瞑想SHOPでは、別室に、さらなるVIP瞑想室が提供されている。いわゆる”一見さんお断り”の瞑想スペシャルメニューだ。普通の瞑想メニューを1回行うごとに、スタンプが1個付く。10個付くとスペシャルメニューが渡される。そんな、瞑想を商売にした店の話。
・・・・・。
なんやかんやといくつかネタを以下書き続けていく。
最後の最後で
これをネタに作品を書こうと思っている人へ
書いてみるなら書いてみろ!!!
~完~
以上である。
これが、作家、凜。
「サッカ・リン」という作品の〆だ。
果たしてどうなるであろうか?
作品を書こうとする作家を描くが、その作品の中にはいくつもの作品があり、そられが群をなしたとき、どんな「ナンコレ」空間が発生するだろうか?
空間のナンコレについては、これらを全て文章にすることはできない。
それこそ瞑想とはそんなところだろう。
瞑想は教えることが出来ない。
ナンコレも。
だから感じろ!
この作品を「感じて」欲しいのだ。
ストーリーは二の次、三の次。
こうなってああなって。泣いたり笑ったりハラハラしたりいろいろあるが、つまるは言いたいことはコレなのだ。
これが一番言いたいから、コレを書いている。
ナンコレ?
とある作家はここまで書いて、いったい自分は何を書いているのだろう?とナンコレの空間に身を置くのであった。
作家はきちんとネタを作品に仕上げることの出来る人だと思う。
だから、私は作家ではない。
ただ文章を書いて遊びたい人なのだ。
私は、文章の遊び人。
ただ、それだけなのだ。
ここまで書いたとある作家は、ふっとため息をつき、耳栓とアイマスクをして、ただそこに座り、瞑想に身をゆだねた。
どうしようかなぁ。瞑想SHOP。
そんなことを考えながら、瞑想し、そのまま眠りについた。
目が覚めると、そこはまさに瞑想SHOPの中だった。
私は瞑想SHOPで瞑想をしていたようだ。
この世界が本当にあったということを理解するのに数秒の時間が必要だった。
これはネタではなく、本当だった。
それに気づくまでに数秒かかった。
第1章 私は瞑想SHOPの中にいた。
~サッカ・リン 完~
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~ピンヤン☆ブーム~
サッカ・リンこと、作家、藤堂凜が、ピンポイントでヤンキーな女子高校生をライトノベルで描いてはや1年。
作家、藤堂凜は、今起こっている現象が、まるで自分は全く関係ない人ごとのように感じていた。
それはさながら、化学的に安定している人工甘味料、サッカリンのように作家、藤堂凜も、精神的には安定していると言わざるを得なかったが、ある意味抜け殻のようになった感じもあり、本当に自分が書いた作品だったのかどうかも怪しくなってくるのであった。
まさか、自分の作品が本当にアニメ化されるとは・・・。
アニメ化されることで、その現象はどんどん広まっていったが、藤堂凜は、逆に、自分がどんどん無味無臭の物質になっていく気がして数々のメディアからのインタビューに答えるのもかなり億劫になってきていた。
そんなつもりじゃなかったのに・・・。
瞑想SHOPで、いろいろな作品を妄想している自分を想像しては、新しい作品が浮かぶものの、実際に書き進めるでもなく深いため息をつく日々を送っていた。
巷では、作中でも印象的なシーンとして物議を醸した、あの、ストローを吸い、ただ空気を吸っているだけの「空気たばこ」をするヤンキー気取りの、健康的でごくごく普通の若者が、あちらこちらに出没していた。
世界に類を見ない、最も安全な嗜好品として、様々なピンヤン仕様の、環境に優しいストローも開発され、グッズの売り上げも上々だ。
けれどもその現象を、本物のたばこへの移行を気軽なものにしていると、怪訝な顔をして非難するものも当然いた。
ただ、結論としては、吸っているのはあくまでもストローであり、ただの空気である事実に、法の力で禁止することはできないと判断、「そのうち、このブームも廃れるだろう、まぁ若者の一種のはやり病に過ぎないよ。それにいちいち指摘していても始まらん。」と生暖かい目で見る大人達も当然いるわけで、現在は、ピンヤン気取りの若者達を生暖かい目で見守る程度となっていた。
また、格闘技会場では、ピンヤンの作中に出てきた女子高校生、通称「春ちゃん」の行動に追従せんがごとく、今まで来なかった層が、実際に観戦に訪れるようになっていた。
これも一風変わったピンヤンブームの一環として、テレビでも面白がって特集を組んでいた。
「音楽系のアニメ見てピアノ始めた人も多かったですからねー。でも今でもピアノ弾いてますって人は少ないわけでしょ?一時的なブームでごっこ遊びをしているに過ぎない。そういう意味では、本当に昔から好きで、観戦しに来ている人からすると、ちゃらちゃらした高校生やらアニメ好き外国人が来ててさ、訳ワカランものを吸ったりしててさ。高校生がたばこ吸ってんのかと思って注意したら『おじさん、これ。ストロー。吸ってんの空気。分かった?』って逆に怒られてさ。なんていうかなー。困ったブームだよね。なんかあれでしょ?アニメが流行ってるんでしょ?訳がワカラン。いい迷惑だよって思っている人もいる。」
「今、若者達の間で、バイクの免許を取ろうとする人が増えてるんだって。なんでも、ピンヤンツーリング同盟とかって、アニメ巡礼っていうの?そういうのが流行ってるらしい。ほんと、邪魔でしょうがないよ。原付って危ないじゃん?しかも群で、交通ルール守ってるっていってもさ、群で行動してるからさ、危ないったらないよ。」
そんな批判めいた事をいう大人達も少なくなかった。
そんなつもりで、この作品を描いたわけじゃない・・・。
藤堂凜は、ブームが過熱すればするほど、どんどん落ち込んでいった。
そんなさなか、とうとうテレビドラマ化するという話が来たのである。
「ストローの空気たばこ、うちでもグッズ作って売っていいですか?」
「○○会社のものですが、CMに起用したく・・・」
そんなことに対応する日々も増えてきた。
何故こうなってしまったのだろう。
みんなが作品を楽しんでくれていることはとてもうれしい。
けれど、そもそも文章で読むことで、その世界を頭の中で想像して楽しんで欲しかったし、そのために文章に創意工夫を重ねてきた。
OK取った自分も自分だが、そもそも私は作家なのだ。
映像になった瞬間、自分の手を離れたと言ってもいい。
そこから先は、もう自由にやってよ、もう・・・。
毎日の対応の疲れで、若干鬱病になっていた藤堂凜は、とあるドラッグ・ストアに向かっていた。
あれ?ここのドラッグストアって・・・。
「いらっしゃいませー。」
あれ?薬っぽいもんは置いてないんだ。
なんかサプリとか買おうかな~って思ってたのに。なんか紙っていうか、プリペイドカードっぽいのしか見当たらない。
「あのー・・・。頭が痛くて、それで、あのー、薬を飲んでも治らなくて。こちらを紹介されて来ました・・・」
「これなんかどうですか?」
商品名:痛みが取れるクラシック。そこには削って現れるコードがあった。
「ここからアクセスしてコード打ってくださいね。お大事にー。」
私のスマホで音楽が鳴った。
第2章 ドラッグ・ストア
~ピンヤン☆ブーム 完~
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<続く>