先日、一宮市三岸節子記念美術館で開催中の「美人画 培広庵コレクション展」を観賞しました。
今回の展覧会は、当館開館20周年記念特別展として開催中で、美人画のコレクションとして名高い培広庵コレクション70点が展示されています。
美人画というジャンルの歴史は意外と浅く、明治時代に端を発し、現在ではその系譜は途絶えようとしています。その要因は、鏑木清方から始まる美人画の旧き良き師弟的なつながりが無くなりつつあることです。
今の若い人たちには、美人画と言ってもチンプンカンプンだと思います。おそらくは、50代までが辛うじて記念切手の図柄などで知っている程度でしょう。たとえば、女流美人画の巨匠、上村松園の序の舞や伊藤深水や竹久夢二などが思い浮かぶでしょう。
今回の作品は、明治から大正、昭和にかけての美人画の系譜がつぶさにわかる展覧会で、江戸時代の浮世絵や西洋画の女性像などを巧みに取り入れ、日本画独特の「美人画」の世界を作り上げられた姿が如実にわかります。
着物という日本文化に舞妓や芸妓などの風俗に彩られる優美な世界を知る人も知らざる人も、この展覧会で確認してほしいなと思います。