のぼうの城と並ぶ話題作、井筒和幸監督の映画「黄金を抱いて翔べ」を観ました。
人気サスペンス作家の高村薫原作の映画で注目されている作品ですが、高村作品には縁遠い僕なので比較はできません。ただ、十二分に楽しめるエンターテーメント作品でした。
物語は、大学時代の友人、浅野忠信演じるリーダーの北川と妻夫木聡演じる幸田に、システムエンジニアと爆弾工作員、調達屋、相談役の男たちが加わり銀行の地下にある240億の金塊強盗を企むというもの。
それぞれの過去や特異な性格により生じるトラブルの中、金塊強奪へと進んでいくスピード感が心地良いサスペンスムービーです。
また、キャスティングも実行犯に旬の若手を加えて、今までにない個性が浮き立っていました。東方神起のチャンミンが濡れ衣を課せられ、同胞に命を狙われるモモを演じ、溝端順平が北川の弟役で破滅的な性格の男を演じ、今までに無い個性を発揮してます。
今回の最も個性が際立ったのは、幸田を妻夫木聡。映画悪人で演じたのとは好対照な孤独感がにじみ出て印象的でした。
井筒監督のそれぞれの俳優の個性を際立たせながら、全編にわたって飽きの来ない演出と原作を今現在の社会情勢に変化させた細かな時代考証が、リアリティーを増幅させてくれました。
また、サイドストーリーを金塊強奪と同時進行的に絡まることで、人間味あふれる作品になっています。
個人的には、本年度を締めくくりに最高のエンターテーメント作品だと思います。