稲沢市荻須記念美術館で開催中の「ジョルジュ・ルオー展」を鑑賞しました。
今回の展覧会は、荻須高徳がフランスではじめてエコール・ド・パリの画家たちの作品を観た時にもっとも魅了された画家の一人、ルオーの作品にスポットをあてた展覧会です。
出品作は、パナソニック汐留ミュージアムと出光美術館の所蔵品により構成されています。ルオーは、モノクロの宗教画で有名な画家ですが、もともと彼が、ステンドグラスの修繕師の見習いをしていた時に、黒い輪郭線とステンドグラスの青、赤、黄、白などの基本色に影響されています。
ルオーの油彩画を改めて観ていると、ステンドグラスとの共通項により、ルオーの描法と色彩が浮かび上がるように感じます。
ルオーの作品は、僕たちの業界人にとってとても魅力的です。それは、ルオーの持つ精神性にあります。
画面から感じる苦しみや悲しみ、そして、喜びの表現は、ルオー独特の世界で決して万人受けする世界ではないのですが、それは、すべての人々の持つ内面の世界に深く入り魂を表現しているように感じます。
二度の大戦を経験し、様々な人々の内面に深い入り、美術界の波に呑まれる事無く独自の世界を追求していたルオー。孤高の画家といわれる彼の祈りにも似た絵画の世界を体験して観てはどうでしょうか。