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映画 オフィサー・アンド・スパイ

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本日の映画レビューは、ロマン・ポランスキー監督の最新作で歴史的冤罪事件を描いた「オフィサー・アンド・スパイ」です。

19世紀のフランスで実際に起きた冤罪事件「ドレフェス事件」をロバート・ハリスの同名小説を原作に忠実に描き、2019年のベネチア映画祭で審査員グランプリの銀獅子賞を受賞しています。

物語の冒頭でユダヤ系フランス人大尉であるドレフェスが国家機密を漏らしたスパイ容疑で終身刑を受けます。彼が投獄される場所が、映画パピヨンでも有名な孤島の刑務所、無実を訴えながら公衆の面前で軍人として名誉を奪われ収監されます。

元教官のピカールは、赴任先の諜報部でドレフェスが無実である証拠を偶然発見します。隠ぺいを図る上層部や証拠捏造に関わった部下たちの圧力の中で、ピカールは友人や彼を支持する人々の助けの中で、軍事裁判に挑んでいきます。

ドレフェス事件は、ナチスドイツの出現前の19世紀にあったフランス人によるユダヤ人差別が背景にあり、ユダヤ人監督でもあるポランスキーが実際の事件を忠実に描き2時間余りの作品の中にうまく集約しています。そうした内容でもあるので全体的に地味ですが、権力を維持するために保身に走る軍部と真実を見つめる正義の剣で立ち向かう軍人、両者のせめぎ合いが徐々に緊迫感を増していき徐々に引き込まれていきます。また、当時のフランスの日常や光景を印象派の絵画のように美しい画面で構成することで、飽きさせないポランスキーらしいカメラワークの美しさを感じる作品でした。

いつの時代も差別による対立が犠牲者を生みます。しかしながら、真実を見つめ正しい眼を持つ一人の勇気ある行動が勝利に導いていくことを証明する作品です。


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