唐招提寺の国宝「鑑真和上像の身代わりとなる摸像に彩色が施されました。その姿を見ると、より人間らしいお姿が天平の時代に思いを馳せることができます。
今回の彩色は像立当時の色を再現したもので、その後に油を全身に塗布して江戸時代前期の古色に近づけるそうです。
絵画の修復では、汚れなどを落として当時の色に近づける作業や芸大の教官や研修生により復元模写が作られることは、よくあります。今回の摸像での彩色ですから、絵画などの再現と同じものと言えます。
仏像彫刻において、彩色や金箔張りなどの絢爛で荘厳な姿が本来なのは周知のことだと思います。しかしながら、その彩色や金箔が歳月により色落ちはがれても、その荘厳さが伝わる摩訶不思議な魅力があります。
衣や化粧がない、素の姿に仏像本来の本質的な美しさが時代を超えて観るものに感動を与えるのだと感じます。