先日、名古屋市美術館で開催中の「真島直子 地ごく楽」展を観賞しました。
真島直子は、1944年生まれ現代アートの作家で愛知県出身の作家です。洋画家の真島健三を父にもち1968年東京藝術大学を卒業。絵画やインスタレーション、オブジェなどを作品を発表し、1990年代から<地ごく楽>シリーズにより日本を代表する作家となります。
本展は、彼女のライフワーク的テーマである「地ごく楽」の作品を中心に平面作品の鉛筆画やオブジェ、初期作品や新作の油彩画作品が並ぶ大規模な個展となっています。
地ごく楽は地獄と極楽を組みわせた彼女自身が生み出した造語で、地獄と極楽が混然となった人間の生死が表現されています。
繊細で細密な鉛筆によるモノクロームの線描の世界は、人が生まれ死ぬまでに起こる様々な事象が目まぐるしく迷路となった森のような世界がひろがり過去と現在と未来が集約されているようです。
また、オブジェ作品はカラフルな糸に絡まった骸骨や魚などが樹脂により溶け固まったような立体で、グロテスクとキュートが混在し、地獄と極楽の境界ない不思議な感覚を持ちます。
近年現代アートがもてはやされてる現実は、カラフルでキュートな表現が感覚的に受け入れられているように思います。こうした傾向はアートの裾野を広がる上で評価しますが、今回の展覧会のように作家のテーマ性に焦点をあて、美術館で作品と対峙し、想像をめぐらしながら楽しむ。より深くアートを知るきっかけになると思います。