多数の美術関連本の著作で知られる木村泰司氏が、ビジネスマンの知っておくべき教養として著わしたのが本書の「西洋美術史」です。
欧米において、ビジネスマンが身に着けるべき教養として西洋美術史の観点から本書は出発してますが、日本においてビジネスとしての教養としての美術は、あまりないように感じます。たとえば、美術館に行っても、そうした人に、巡り合ったことがないし、オークションで名画が高値で落札されたという話題はあっても、ビジネスにおいてのコミュニケーションツールとして、美術の話題が上る場は極めて少ないです。
本書を読んでいくと、西洋史の変遷と深く関わっているのが西洋美術史であり、社会と密接にかかわっていることが良く理解できます。そうした視点で本書を読んでいくと、美術に興味のない人にも、自然に美術に対して興味がわいてくるのではないでしょうか。
また、西洋美術の好きな人にも、名画や当時の画家が、権力者や社会風俗といかにして関わってきたかが理解でき新しい発見につながるのではないでしょうか。日本美術や東洋美術にも少なからず、そうした視点がありますが時代の永続性がなく、その点において西洋美術史は、大陸に連なる欧米諸国のワールドワイドな視点があり、その広がりは無限です。
美術様式年表や世界の名画が紹介された本書を見ながら改めて西洋美術史を見つめなおしてみてはどうでしょうか。