映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、大森立嗣脚本・監督で樹木希林&黒木華主演の「日日是好日」です。
最も昭和を感じる女優と言えば黒木華と答える人も多いかと思います。デビュー以来僕も、彼女を観ていると長かった昭和の時代を感じる雰囲気を持っているなと思います。そして、彼女をきっかけに、若手女優の中に、そうした空気を持った女優が生まれつつあるように思います。そういう視点でこの映画を観ていると、実にぴたりと彼女がはまっていると感じるのです。
物語は、女子大生の典子が、母の勧めでお茶を習い、茶道の師匠を通じて茶道の世界に魅力を感じ、お茶と共に彼女の人生を歩みが描かれています。タイトルの日日是好日は、茶室の床の間にかかる掛け軸にしたためられた禅語の言葉のひとつで、最も知られている言葉です。茶道は、その流派により、その作法も異なる部分がありますが、基本的な作法についても習うことができます。また、今に生きる若者たちとの世代間ギャップやの中で生まれるユーモアやマナーと作法の違いなどもわかり多方面から面白い作品に仕上がっていました。
お茶をたてることにより、彼女に起こる変化と成長が季節の移ろいや茶道の世界で静かな時の流れとして表現されていて、とても落ち着きます。人生をこうした切り口で表現することも、日本の伝統文化の継承の意味も含めて大切だと思います。
最後に樹木希林さんの日常的に感じる演技も最高でした。最初で最後の共演となった黒木華にとっても大きな糧となったと思います。