映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。井浦新主演、鈴木卓爾監督による北白川派制作の映画「嵐電」です。
嵐電とは、京福電気鉄道の嵐山本線と北野線からなり、嵐山や龍安寺などの観光名所や太秦映画村のある文化香る路線。紫色の車両も印象的です。その嵐電の駅をロケ地に三様のラブストーリーが描かれています。
三様の恋は、太秦撮影所近くのカフェで働く女性と東京から来た俳優に修学旅行に来た青森の女子学生と嵐電を8ミリ映写機で撮影する地元学生、そして井浦演じるノンフィクション作家と妻ですが同じ時系列で描かれているのですが、嵐電の都市伝説により現実と夢想の世界が入り交じり、摩訶不思議な世界へと誘う恋愛劇です。
今回の作品、井浦新と大西礼芳を除けば、さほど有名な俳優ではなく、雑踏の中では目立たないような存在。そこが京都のありきたりな日常の中に溶け込むことで井浦や大西のイメージさえもかき消す不思議な空気が漂っています。また、都市伝説の下りは、どこか滑稽でもありますが夢の中では、こんな残像もありかなと思わせてくれました。
映画レビューでは、賛否両論で批判的な人たちは、作品での主張の曖昧さやメリハリのない内容がつまらないと結論してるようです。こうした映画はやはり観る人の好みも分かれると思います。僕自身も面白くはないが、時系列の曖昧さが不思議に惹き込まれした。
韓国やインドなど注目を浴びるアジア映画の中で、少し遅れをとった感のある日本映画ですが、日本特有の家族や社会の在り様に目を向けると、今回のような作品は日本映画の行く末を占う上で僕は好意的な思っています。
次回も井浦新主演の作品「こはく」の感想を述べたいと思います。