映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。前回に引き続きの恋愛ドラマ第2弾。東出昌大主演の恋愛ドラマ「寝ても覚めても」です。
芥川賞作家・柴崎友香の原作を濱崎竜介監督が映画化した本作。カンヌ映画祭のコンペティション部門出品作品でも話題でした。
物語は、カフェで働く朝子が、通行中に出会った不思議な魅力を持った麦(バク)と出会い付き合うが、麦の突然の失踪で、二人の関係は終わります。2年後、転居した彼女が、麦と瓜二つの亮平と出会い、交際する中で婚約。ところが、モデルとして成功した麦が突然現れ、彼女の心は揺れ動きます。果たしてこの結末は。。。
東出昌大が、麦と亮平という相反する性格の男を演じてますが、あまり演技がうまいとは言えない彼の真面目で朴訥な演技がぴたりとはまっていて、また、朝子を演じたモデル出の唐田えりかも、二人の愛する男の間で揺れ動く心を自然体で演じていて、どちらも未成熟な演技が光っていました。
麦と朝子の二人とは対照的な役柄で、個人的にも注目している伊藤沙莉や渡辺大知が二人の友人役として出演。二人の演技には逆に若手の中でずば抜けた演技力を持っていて、亮平の後輩と朝子の転居先の友人として出演してた山下リオや瀬戸康史とは異なる個性が光ってました。
前に紹介した嘘を愛する女でも重要な事象として登場するのが東日本大震災。今回の作品は、ラストでの大きな転機となっています。今更ながら、あの震災が表現者に与えた影響の強さを感じます
濱崎監督作品は、観る機会がなく今回が初めてで、それまでの作品は、演技経験のない4人の女性が登場する長編ドラマの「ハッピーアワー」が注目されて知ってはいましたが、本作で東出昌大を主役にしたことでメジャー映画の扉が開いたような気がします。本作も男女の恋愛に対する心模様や僕の過去の恋愛経験が重なって作品に入り込む度合いが強く地味だけど良い作品だと思いました。今後も濱崎監督に注目していきたいと思います。