ドイツで記録的なヒットなった法廷サスペンス「コリーニ事件」を鑑賞
本作は、現役弁護士による小説を映画化したもので、日本でも本屋大賞の海外部門で受賞し、世界的なベストセラーとなった小説だそうです。
イタリア人のコリーニーが、大物実業家ハンス・マイヤーを殺害し被告となったところから物語ははじまります。国選弁護人として初の法廷に立つこととなったカスパー・ライネンが弁護にあたることになるのがコリーニで、殺害された実業家は、育ての親でもある恩人で、死んだ親友や元恋人の姉の父である複雑な関係で、一度は弁護を降りようとしますが、かつての大学時代の恩師である公訴代理人のリヒャルトからほだされ弁護を決意します。黙秘を続けるコリーニに打つ手がないカスパーでしたが、犯行に使われた銃を手掛かりに、コリーニの殺害動機が明らかになり、その動機はドイツ史上最大の法廷スキャンダルへと繋がっていきます。
カスパーを演じたのは「ピエロがお前を嘲笑う」でも話題となったエリアス・ムバレク。複雑な立場の中で苦悩しながら正義を貫く弁護士を好演。被告人コリーニは、何と「続・荒野の用心棒の」フランコ・ネロ。彼の沈黙の演技は圧巻でした。ほかにも地味な作品ながら、事件解決に動く人々の姿にも心打たれるものがありました。
映画鑑賞後に、作品を振り返りながら再度事件をたどっていくと、この映画の巧妙なサスペンス劇に気付き作品の面白さが増しました。事件の鍵となるのは二つの過去。先ず主人公のカスパーとマイヤー家とリヒャルトの過去の関係。そしてドイツが持つ負の遺産の歴史という、二つの過去が大きな鍵となっています。様々な過去が点となり線で結ばれた時に完璧なサスペンス劇が完結します。
この作品、間違いなくサスペンス好きの映画ファンにはかなりの頻度で突き刺さる作品です。徐々に開かれてきた劇場でぜひ真実を確かめてほしい作品です。