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第11回円空大賞展 岐阜県美術館

本日の美術展レビューは、岐阜県美術館で開催中の第11回円空大賞展です。
円空大賞展は、美濃で生まれた江戸時代の修行僧で全国を行脚しながら神仏像を彫り続けた円空にちなみ2年に一度土着の伝統に根ざした独創的な芸術家を「円空大賞」として顕彰する展覧会です。
 
本年が11回目のた展覧会となる本展ですが、今回は10回目の節目から新たな息吹を感じる五人の芸術家による展覧会となっています。館内のエントランスの上空には今回大賞を受賞したテキスタイルデザイナー・須藤玲子による「こいのぼりなう!」のタイトルのカラフルで独創的な鯉のぼりが舞っています。また会場内には「布の迷路」と題したオーロラを連想さえる乳白色の布が降り注いでいます。

 
会場入り口に入ると現代陶芸家・中島晴美の藍と白のコントラスト印象的な水玉のオブジェが配置され、その数は32個にも及び摩訶不思議な空間が広がっています。

会場中央には、イギリス人彫刻家・デヴィッド・ナッシュの木造のオブジェが鎮座し、自然の森を想像する空間があり、相反するように現代芸術家・三島喜美代による白い紙に刷られた赤い文字の陶の破片に散りばめられ、海に捨てられたゴミのような浮遊感を持ちます。環境問題をテーマに活躍する作家の真骨頂ともいえる表現です。

会場出口へと誘うように僕が愛する作家のひとり現代彫刻家・船越桂の6体並び、その作品は1990年代から現在に至る幻想的でうつろな眼差しの半身像が観る人を心地よくさせてくれます。
今回の円空大賞展は作家の持つ思想的な表現が色濃く反映された展覧会ではないかと思います。また、会場の各所に展示された6体の円空仏もタイトルの「共鳴ー継承と創造ー」にふさわしい演出でした。


20年の歴史を刻む「円空大賞展」さらなる歴史を刻みながら、どのような変化を遂げていくか楽しみな展覧会です。会期は3月5日まで流浪の旅の中で刻み続けた円空の慈愛の世界と共に共鳴する芸術家たちの独創的な世界をぜひ楽しんでみてください。


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