アカデミー賞主演男優賞&メイクアップスタイリスト賞受賞の映画「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」を観賞。
ゲイリー・オールドマンが辻一弘氏のメイクアップによってチャーチル首相を演じたことで話題となった本作。話題性に違わず納得の作品でした。また、すでに公開されたクリストファー・ノーラン監督のダンケルクとトム・フーパー監督の英国王のスピーチと関連付けて鑑賞されると、本作がさらに興味深くなると思います。
物語は、第二次世界大戦におけるナチスドイツのヨーロッパ侵攻により次々と制圧される中で、友好国であるフランスそしてイギリスも制圧の危機にさらされるなかで、挙国一致内閣を掲げ、保守党の中で異端の存在であったチャーチルが首相に就任。ダンケルクの戦いによりフランス兵とイギリス兵を救い出すまでの2週間が描かれてます。
保守党の前首相と一部議員の確執やジョージ6世との不仲の中で、孤軍奮闘するチャーチルと彼を陰で支える妻や家族、女性秘書などとの交流が濃密に描かれ、戦争映画でありながら、一切の戦闘シーンがないにもかかわらず緊迫感を強く持ちます。
また、実在の人物チャーチルをゲイリー・オールドマンが辻和弘の見間違うほどの見事なメイクアップと表現力はゲイリー=チャーチルの無二の存在として圧倒します。
ラストで地下鉄に乗り、市民に問いかけるシーンは圧巻。確固たる信念に裏付けられた言葉の力を導き出す大衆と共に生きる政治家としての姿に感動し、いつの時代にもチャーチルのような政治家があって、真の国難を乗り越えられるのだと思います。
今の政治家にも襟を正して観てもらいたい、自由とは何か、正義とは何かを観る者に問いかけ勇気を与える作品でした。