映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今月は、魅力的な作品がDVD化されているので、順に紹介したいと思います。
今回は、2011年7月に閉店した、スペインの三ツ星、10点満点レストラン「エル・ブリ」を描いたドキュメンタリー作品「エル・ブリの秘密 世界一予約のとれないレストラン」です。
天才シェフ、フェラン・アドリアの創造する料理の秘密を描いた内容で、スペインの高級リゾートにあるわずか45席のレストランに年間200万人の予約が殺到する、文字通り世界一のレストラン。その全貌をくまなく明らかにしたドキュメンタリーは、グルメファンにとっては、全編釘付けになる内容です。
彼の提唱する前衛的料理は、まさに芸術で、数名のリーダとシェフスタッフなど50名以上の関係者が、彼の創造する逸品を作り上げていきます。その芸術的料理の一端が、日本文化や懐石に影響を受けているところにも興味を注がれました。
つぶさに映し出された美しい料理の数々が完成していく様は、天才アーティストの下で、前衛芸術を共同作業で構築していくプロジェクトであり、音楽にたとえるなら、偉大な指揮者の下で、数々のハーモニーを奏でる交響楽団のようでした。
料理をアートの領域にまで押し上げた、フェラン・アドリア氏が、閉店後のプロジェクトは、ドン・ペリニヨンの総帥ジェフロア氏とタッグを組み、料理研究財団を設立だそうです。
フェラン氏は、料理研究の旅やハーバード大で料理をテーマに教鞭を取り、財団運営は2014年にスタート、インターネットを通じて、世界に無料配信されるそうです。
そんな、壮大なプロジェクトを持つフェラン氏のエル・ブリの全貌を観ながら料理と言う芸術に胸躍った作品でした。