65オヤジのスタイルブック

DVD・リップヴァンウィンクルの花嫁

映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、岩井俊二監督の最新作、「リップヴァンウィンクルの花嫁」です。

 

今なお、名作の呼び声高い「スワロウテイル」により、一躍人気監督に昇りつめた岩井俊二監督。すべての作品は、観ていませんが、その独特の映像美は、誰も真似できないのは確かです。そして、どこかアンニュイな空気が漂い徐々に岩井俊二ワールドに入り込む不思議さをいつも感じてます。

物語は、黒木華演じる七海と便利屋安室を綾野剛、そして、七海が影響を受けていく後の同居人の真白にはシンガーソングライターのCocco。その三人を主役に不思議な時間が流れていきます。ただ、その時間は、SNSでの恋愛や結婚式の代理出席、不登校生徒とのネット家庭教師など、現在の日本で経験する事柄により形成されています。

そして、静かに流れるクラシックな音色と毒を持つ美しい生き物たち、西洋風の豪邸など、岩井俊二の美意識が散りばめられ、それが、現代社会の抱える様々な問題とパズルをはめるように進んでいき、3時間の長編ながら時間を感じさせない魅力にあふれてました。

黒木華の透明さと浮遊感。綾野剛の静寂の中にある感情。Coccoの悲哀の中の熱情。三者の個性が強く引きだされたところも魅力です。その点で、スワロウテイルの出演者の引き立て方に相通ずるものがあるなと思いました。

日常の生活の中では、感情を素直に出すことが出来ず息苦しさを感じる時がある。そんんな、あなたは、この映画で静かに佇みながら奥底にある感情を揺さぶられていくと思います。


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