映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、ロブ・ライナー監督の最新作でジョンソン大統領を主人公にした作品「LBJ ケネディの意志を継いだ男」です。
僕にとって、ジョン・F・ケネディはアメリカそのもので僕の人生に大きな影響を与えた一人です。また、ダラス暗殺と後の弟ロバートの暗殺は大きな衝撃でした。
そんなジョン・F・ケネディ暗殺後に大統領となった、今回の主人公リンドン・B・ジョンソンは、僕にとっては悪いイメージしかなかったのですが、今回の映画でそのイメージは一変しました。
監督はスタンドバイミーやミザリーのロブ・ライナー。主人公のジョンソン大統領にはスリービルボードでアカデミー賞助演男優賞を受賞したウディ・ハレルソンが演じています。
民主党大統領候補ケネディの対抗馬として南部の白人至上主義者から祭り上げられ、結果破れ、さらにカリスマ大統領の補佐役として副大統領となったジョンソン。弟ロバートとの確執の中で、唯一ジョンに進言できる人物として、地道にその任を果たす姿に陰に徹する男の強い責任感を感じました。
南部出身でありながら、ケネディの意志を継ぎ公民権法や投票権法を成立させたジョンソン。今回の作品を観て、突然の兄の死に悲嘆し司法長官ロバートを前に、暗殺後98分で就任したジョンソンの決断力が、その後の難事業を成し遂げた要因となったことがよくわかりました。そしてアイゼンハワー時代から引き継がれた負の遺産ベトナム戦争長期化が、ジョンソンの功績を埋もらせる結果になりました。今回のラストの演説は、ケネディの歴史的な演説の陰に埋もれてしまった名演説でした。
ジョン・F・ケネディ暗殺とジョンソン大統領就任、当時の国民がベトナム戦争の責任をとる形で退任に追いやり、そしてロバートの大統領予備選での暗殺、そしてニクソン就任とまさに暗黒の歴史へと突入したアメリカ。
もし、ジョンソンが次の4年を担っていたら、アメリカの歴史も大きく変わっていたのではと思えてなりません。それほどに、今回の作品は大きな意味を感じました。