映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。イギリス人風刺画家の半生を綴ったドキュメンタリー作品「マンガで世界を変えようとした男 ラルフ・ステッドマン」です。
1960年代にアメリカに渡り、強烈な風刺画で当時のアメリカ社会を批判し続けたラルフ・ステッドマン。その彼の半生を信棒者でもあるジョニー・デップがインタビューとなって彼の実像に迫っています。
異端の芸術家の先駆けであるレオナルド・ダヴィンチと日本でも展覧会が開かれ再評価されているフランシス・ベーコンを尊敬する彼の毒を含んだ衝動的な作品が流れる構成でアートとしても見ごたえがあります。
また、彼のビジネスパートナーであった映画『ラスベガスをやっつけろ』の原作者としても知られるハンター・S・トンプソンとの出会いから仕事、別れが語られると、シンプソンが主題のドキュメンタリー「GONZO」と比較して観賞してみたくなりました。
アーティストの社会に対するメッセージはそれぞれ異なり、時に変遷していくものです。また、その作風も平静であったり、極端であったりと様々です。ただし、ステッドマンの社会に対するメッセージは、その作風の中で明確なメッセージを放ちながらも、毒々とした生命力を増していきます。現在において、これほどまでに明確で破壊力を増幅していくアーティストは少ないでしょう。
大衆芸術の破壊力は偉大だと改めて感る作品でした。