名古屋市美術館で開催中のもうひとつの田渕俊夫展を観賞しました。
その前に、松坂屋美術館で春の院展が開催されており、先にこちらを観賞。若手の頃、お付き合いのあった画家さんが、同人と無鑑査になられていて、時代の移り変わりを感じました。
名古屋市美術館での展覧会は、メナード美術館との同時開催で、日本画家・田渕俊夫の歴史をうかがうことができる有意義な展覧会でした。
日本画の伝統を継承しつつ、新しい試みにも挑戦される田渕氏の作品は、静謐でありながらスケールの大きさを感じます。
特に印象に残ったのは、愛知芸大教授時代に描かれた濃尾平野を描いた雄大な作品群です。特に濃尾三川は、木曽川、揖斐川、長良川の三つの川が海へと流れ行く壮大な風景画で、氏の緑青と墨の濃淡が透明感を生み出し、情景的な世界を感じました。
後半の展示では、日本画の中の水墨画という見地から、数々の水墨画による襖絵が展開されています。
京都・智積院の襖絵は、同寺所蔵の国宝・長谷川等伯の松林図への敬意を含めた挑戦と感じました。
名古屋市美術館は、5月20日まで、メナード美術館は、6月17日まで開催中です。
田渕俊夫氏の雄大で緻密な日本画の世界を感じてみてください。