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65オヤジのスタイルブック

麗しきおもかげ・名古屋市美術館

日本最高峰の芸術大学と言えば、誰もが東京藝術大学と認めるところ。その歴史と芸術家の輩出において、他大学を寄せ付けない存在と言えます。

上野公園からほど近い場所に位置する同大学は、多くのコレクションを持ち、重要文化財も多数収蔵されています。

名古屋市美術館で開催中の「麗しきおもかげ・日本近代美術の女性像」は、一部で、東京藝術大学のコレクショの中から厳選された作品50点が展示され、日本で最初の洋画家・高橋由一の美人花魁や近代日本画の父である狩野芳崖の悲母観音などの重要文化財や東京藝大出身の巨匠たちの卒業制作などで構成されています。

先日、舟越桂展を観賞したこともあってか、中でも卒業制作の北原大莞の水の行方は、木彫に彩色された女性の髪が水の流れの中に同化したモダンで幻想的な作品で、大正6年に制作され、その若き才能に驚きと感動を覚えました。

二部では、東京藝大の前身である東京美術学校の卒業制作作品が女性像をテーマに展示されいます。明治、大正、昭和の初期作品の若き画学生の卒業制作作品は、細やかで艶やかな筆致により丁寧に女性像が描かれ、その女性像には作者の個性が輝き新鮮でした。

中でも、明治38年に選ばれた三浦孝の栄誉ならずやは、砂浜に立つ着物姿のうら若き女性の足元に倒れ伏す兵士の姿と小さな紫の花が咲き、美しさの中に戦争の悲哀と時代に対する作者の静かな主張を感じる作品でした。

その他の作品にも美しい女性像の中に、若き画家たちの時代に対するアンチテーゼを感じました。

狭義なテーマでありながら、今までにない試みを感じる今回の展覧会。名品と共に日本の芸術運動の先駆者としての大きな使命を抱いた若き芸術のパイオニアにぜひ触れてみてほしいです。


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