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映画 スリー・ビルボード

アメリカの縮図という泥沼でもがく人々、映画『スリー・ビルボード』

本年度アカデミー賞ノミネート、クライムサスペンス映画「スリー・ビルボード」を観賞

物語は、南部の田舎町に何者かに娘を殺された主人公のミルドレッドは、一向に進展しない捜査に痺れをきらし、三枚の看板に広告を掲げます。そこには、「レイプされて殺された」「犯人逮捕はまだ?」「なぜ? ウィロビー署長」のメッセージが。その看板を機に、署長を敬愛する町の人々が、被害者の母に憎悪を向けるようになり、町全体を巻き込んで想像を絶する方向へと突き進んでいくというもの。

作品の中心となる人物は、被害者の母ミルドレッドと末期がんの宣告を受けたウイロビー署長、人種差別主義者で部下のディクソン。ミルドレッドにより投げられた看板という石が田舎町に波紋を起こし、制御不能な状況へと追いやられる様が実に巧みです。特にウイロビーによりもたらされた善意が悪意を生む見事な演出でした。

今回の作品、マーティン・マクドナーというイギリス人監督よるものですが、小さな田舎町を舞台に、時に登場する人物を、時にミルドレッドの発する辛辣なセリフと、アメリカの犯罪史により生み出された闇が凝縮されています。そして、サスペンスの結末を観る者に託したエンディングに、憎悪を超えた人間愛を感じさせてくれました。

 


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