ゴリアテ内部に居た、ヴリトラのその複製を倒した時…インドラには解った、ヴリトラの思惑が。
それは自身の複製に、自身の身代わりをさせ…この”棺”から脱出しようとしたのだ。
成功したのか、していないのか…それはまだ未完成だったろう、だからなのか、その場に縛り付けられては、居た。
…時間の問題だったのかもしれない、インドラがヴァジュラを使い過ぎなくても、ヴリトラはやがて、この棺を自力で破壊し、外に出たのだろうか。自分はただ、それを少し早めただけに過ぎない…それは今となっては意味の無い事だったが。
堕ちていくゴリアテを見下ろしつつ、しかし、その巨体から放たれて行く、大小の凶悪な悪鬼らを眺めつつ、その全てを倒せない、そんな現実をインドラは意識した。ヴリトラを止める事が、この事態を終わらせる事になるのか?それに疑問を抱いた時…不意に”人々”が言った。
―ヴリトラの霊廟に、ゴリアテが有ったその場所に、ヴリトラを再び封じる、何かの英知は無いのか?―
望みは薄いだろう、ヴリトラはその枷を自力で脱出したのだ…しかし。今はインドラであっても、”それ”に賭けるしか無かった。
ブリトラの霊廟も、今はヴリトラの影響が
あ(察し)
霊廟への侵入者を拒む防衛機構は何故かそのまま残っている
霊廟の内部は何故か、奇妙な程に破壊されていなかった
それは古の記憶を記した、そんな碑石の乱立する空間。
それはしかし、何故かインドラの記憶の中にもあった。
インドラもまた、ここに居たのだ、忘れていた記憶。
神々は”ここ”から現れる…人々を統べる存在として。
神とは何か、古の厄災、その真実とは。
次回、最終回。