透明人間たちのひとりごと

カルネアデスの板

 舞台は紀元前2世紀のギリシャ。

 一隻の船が難破し、乗組員は全員海に投げ出された。
 一人の男が命からがら、一片の板切れにすがりついた。

 するとそこへ、もう一人、同じ板につかまろうとする者が
 現れた。    しかし、二人がつかまれば板そのものが
 沈んでしまうと考えた男は、後から来た者を突き飛ばして
 水死させてしまった。

 その後救助された男は殺人の罪で裁判にかけられたが、
 罪に問われなかった。

 カルネアデスの板は、古代ギリシャの哲学者カルネアデス
が出したといわれる問題。「カルネアデスの舟板」ともいう。

     ― 以上 ―   ウィキペディア(Wikipedia)より …

 
 この場合には、日本の法律でも、男が罪に問われることは
ありません。刑法37条の「緊急避難」に該当するからです。

 そこで所謂(いわゆる)、「緊急避難」 についてですが
ボク には、よく分からないことがあるのです。

 カルネアデスの命題は極限状態での究極的な選択
いま流行のハーバード大学のマイケル・サンデル教授
「白熱教室」 でのひとコマを連想させます。

 揚げ足を取るつもりも、異論を展開する意思もありません
が、もう一人の男が板につかまろうとした時に、咄嗟(とっさ)
に板が沈んでしまうと感じ、この男は後から来た男を無情に
も突き飛ばし水死させたわけですね。

 ボク がよくわからないことは、板がほんとうに一人分の
人間しか支えられないものであったとしても、実際に二人で
掴んでみるまでは、沈んでしまうかどうかは不明です。

 その時点では、生き残った男の沈んでしまうという身勝手
な思い込みによる行為の結果で、過剰防衛過失致死的
な要素があると言えなくもありません。

 少なくとも、交互に交代で板に掴まるなどの工夫を凝らして
、二人が助かる道を探るべきだったと思うのですが …

 「生きるか死ぬかの極限に、そんな余裕はないんだよexclamation2

 … 唐突に、2号 さんがモニターを覗き込むようにして
つづけます。

 「だいたいテーマがおかしい。一人が浮かぶのにやっと
 の大きさの板とか、ちゃんと前提を示して置かなくっちゃ」

 「じゃあ、こういう設問にしたらどうなんだ」

  1号 さんも、首を突っ込んできました。

 「船が難破して海に投げ出された男が、周りを見渡すと、
 一枚の板に掴まって漂流している男を見つけるんだ」

 「板は一人分の浮力に耐えられるかどうかの大きさで、
 辛うじて浮いている状態だとしよう。男は自分が助かる
 ために、その板を奪い取ることは許されるのか否か」

 「これで、どうだexclamation2

 そう言うと、あとは知らないとばかりに背を向けて、さっさと
自分のデスクに戻って行ってしまいました。

 「一枚の板にすがっている男が、後から来た男を追い払う
 のは是か非か あるいは、すでに掴まっている男の板を
 後から来た男が奪い取るのは是か非か なるほどね」

 「いい問題が出来たじゃないかlight  じゃ、頑張れよeq

 … って、2号 さんも行ってしまいました。

 卵が先か、ニワトリが先か …  違うでしょnose6

 海に投げ出された時点では同じ条件(偶然に近くにあった
板の所有権の問題)だから、確かに、どちらが先なのかは、
この場合、大きな争点にはならないのかも …

 要は、一人しか乗れない板に取りすがるためには他の人を
犠牲にしても構わないのかどうか 

 果たして、人道的にそうした行為が許されるのか否か

 … の一点に絞られるのでしょう。

 昔から少なからず論争が尽きなかったようですが …、

 現行の日本の刑法では、「やむを得ずした行為によって
生じた害が、避けようとした害の程度を超えなかった場合に
限り、これを罰しない」と定めています。

 つまりは、突き放して溺れさせてしまったけど、予見される
自己の溺死を避けようとした行為であって、比較されるその
程度において実害の差は等しく過剰防衛には当たらずに
正当防衛の範疇として罪に問わないということでしょうかquestion2

 平たく言ってしまえば、無理を通せば道理が引っ込むけど
それが破壊や破滅を招くよりもましならば、大概のことには
いつでも目をつぶりましょう … ってことですよねpeace

 おいおい

 でも、今回の大震災に伴なう福島第一原発の事故は、
その限りにはないようです。

 目に見えない放射能汚染には 「緊急避難」
へったくれもありません。

 静岡県でもお茶の葉から検出されたセシウムにつづいて、
先日には販売・消費された牛肉からも規制値を大きく超える
放射能が検出されました。

 おそらくは、

 ボク たちも、すでに自然界での被曝量を超える範囲で
内部被曝 をしているものと推測されます。

 福島県やその近隣地方だけの汚染でも1対1の当事者間
だけの問題でもありません。

 政府の対応や菅首相の挙動不審な言動に、ちゃっかりと
国家としての 「緊急避難」 をされたのでは迷惑です。

 誤った行き過ぎの 「緊急避難」 を日本の刑法では
「過剰避難」 と呼ぶそうです。

 いまの政治家たちを見ていると国民の嘆きが呻吟する
悲鳴にも聞こえてきます。

 「これじゃ、まるで …

 カルネアデスの板ばさみ だよ」

          …  …  …   By 透明人間1号 nose3

 またしても唐突なる、1号 さんの登場でした。


 まったく、もうexclamation2 あなたこそ、お願いですから、当分の間 …

 緊急避難 をしていてください。

 と、いうことで、引き続き次回も 透明人間5号 が …


 『続、カルネアデスの板』 を担当しますpeace 

コメント一覧

卵のにわとりサンド
三年前の“ニワトリの卵サンド”さんへ!

別に文句じゃないですが「カルネアデスの板ばさみ」という
ことなら、投稿名は“ニワトリと卵のサンド”の方がベターだったのかもね。
レ・ミゼラブル
大海の波は半端じゃない。
板切れくらいじゃ、どっちにしろ助からないよ!
ニワトリの卵サンド
ひょっとして、俺のこと・・・
「カルネアデスの板ばさみ」って。
餃子ライス
事実が明らかになればなるほど韓国の旅客船セウォル号の沈没事故の罪深さに絶句する。
沈みゆく船から脱出できない船内での救命具はカルネアデスの板にはなり得ない。
遺族の誰かが言った「良い子が死んで、悪い子が生き残った」
この言葉も聞くのが辛い、つくづく罪深い国だよ!
メモメモ魔
「カルネアデスの板」って使えそうなのでメモっとこ。
バカボンのパパのパパ
「カルネアデスの板ばさみ」とは言い得て妙なのだ!
「慰安婦問題」も然りなのだ!
とらうま
拡大解釈というか、我田引水ではあるけど、従軍慰安婦の問題なんかもある種の緊急避難的な処置だったと思います。
現代なら行き過ぎの過剰避難にあたるのかもしれないけど、当時の状況では間接的な緊急避難処置で慰安所は一般女性を守る意味からもカルネアデスの板だったわけです。
ハテナくん
透明人間1号さんの緊急避難って行き過ぎでしょう。
過剰避難になるのでは?
スデアネルカ
残念でした。 助かる確率は50%以下、いや、もっと少ないかも…

ごめん! 人食いザメの出現と台風の接近を言ってなかったっけ?
通りすがりの者ですが
「カルネアデスの板ばさみ」ならば、むしろ助かる確率は
高くなるはず…

板に取りすがる一人とはさんでいる板の上に一人ずつ居る
としても、五分五分から66.7%に、場合によっては…
板をつないで交代して泳ぐげば3人とも助かるのかも…
透明人間5号
すいませんが …

「続、カルネアデスの板」もよろしくお願いします。

http://sun.ap.teacup.com/japan-aid/237.html

星四つです
「カルネアデスの板ばさみ」ねぇ???

しょうもなっ! やっぱり、避難してもらいましょう。

★★ 1号さん 緊急避難ですよぉ~! ★★
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