学校=ゲッティ© 毎日新聞 提供
埼玉県教育委員会は、「いじめの対応に関する研修動画(約10分)」を作成し、今夏、県立学校全188校(分校含む)で研修を実施した。
全教員が、いじめの定義や重大事態と判断する場合の手続きについて、共通認識を持って対処できるようにするため。いじめについて動画を使い全校で研修するのは初めて。【岡礼子】
いじめの「重大事態」は、子どもの心身に重大な被害が生じたり、長期欠席を余儀なくされたりした疑いがあるケースで、いじめ防止対策推進法で学校などに事実関係の調査が義務づけられている。
一方、研修動画では学校がいじめの訴えを放置したり、重大事態と認定しなかったりしたことが問題となっていると言及。「いじめの疑いを持って調査したが勘違いだったという『空振り』は許されるが、『見逃し』は許されていないのが現状だ」と注意喚起した。
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全画面表示 いじめが放置される理由には、「子供同士のトラブルはいじめではない」「不登校だがいじめは解決しており重大事態ではない」といった教員側の理解不足や、発生を認めたくない心理などを挙げた。「社会ではよくあることだ」などと考え、「(教員が子どもに対し)『気にするな』と声をかけた対応が不適切とされることもある」とした。
また、同法のいじめの定義は社会通念上のいじめより範囲が広いと指摘。「悪気がなくても、一度だけでも、いじめという言葉を使っていなくても、いじめになる」と教えた。
更に、いじめの把握から解消まで全ての過程で保護者への説明が大切だと強調。「保護者への1本の電話を怠ったことで事態が深刻化したケースもある」とアドバイスした。
従来は研修を受けた管理職や担当者が学校で内容を周知する形式が多かったが、今回は全教員に学校を通じて動画のURLを配布し、個別にも閲覧できるようにした。
県教委生徒指導課は「いじめ対応の知識、意識が教員一人一人に浸透していない面があるのではないか。研修で基礎をしっかりさせ、より良い対応につなげるきっかけにしてほしい」と話した。
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