春は「馬なり」が強豪高の基本…高校球児はGWをどう過ごしているのか(小倉清一郎)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2023年5月14日 9時26分
関東大会への出場を決めているセンバツ優勝校の山梨学院ナイン(C)日刊ゲンダイ
【松坂、筒香を育てた小倉清一郎 鬼の秘伝書】#173
各地で高校野球の春季大会が行われている。20日からは関東大会が開幕するが、春は「馬なり」が基本である。
翌春のセンバツ甲子園出場のかかった秋の関東大会は、勝ちにいく大会のため、メンバーをほぼ固定して戦う。
一方で春の場合は、甲子園につながっていないこともあり、たとえ関東大会でも決して無理はしない。1年生などの新戦力を起用したり、夏に向けて試しておきたい投手に登板機会を与えながら「馬なり」で戦うのだ。
強豪校が伏兵に敗れることがあるのは、そのためだ。
横浜の部長時代、「例外」として勝ちにいった春の関東大会が2度ある。まずは松坂大輔が2年生になった1997年。2回戦の前橋工(群馬)戦で先発した松坂は、九回に自己最速の142キロをマークした。渡辺元智監督と顔を見合わせ、「来年1位(指名)だな」と話したのを思い出す。松坂は1年時の実績がほとんどなかった。2年生になって成長したことで自信をつけさせたかったのが理由だ。この大会は狙い通りに優勝した。
次に涌井秀章(現中日)が3年になった2004年。強豪校相手に涌井がどこまで投げられるのか見たかった。この時も勝ちにいって優勝できた。
関東大会のたびに思うのが、春だけ出場する東京の扱いである。センバツがかかった秋は都大会で完結し、関東大会には出てこない。参加は春のみだ。それなのに、センバツ出場校を決める「関東・東京6校目」は、関東8強校と東京2位校でいつも争う。そもそも違う大会の結果を比べること自体、無理がある。数が多い東京の1位校は自動的に決定。東京2、3位校を関東大会に出場させて全5校を選ぶのが最も公平だ。
激戦区の大阪も同様に1位は決まりにして、2、3位校が近畿大会に出場する。日本高野連は本気で見直して欲しい。
■渋滞に巻き込まれて4~5時間
ところで、高校球児はゴールデンウイーク(GW)をどう過ごしているのか。横浜時代はほとんど神奈川大会の準決勝と決勝を戦っていた。その前の段階で負けた年は、練習試合をすることが多い。ただ、間違っても遠征はしない。
かつては浦和学院(埼玉)や佐野日大(栃木)を横浜のグラウンドに招いたことがある。しかし、大渋滞に巻き込まれ、開始時間に間に合わなかったり、帰り道で通常なら2時間で着くところ、4~5時間もかかってしまうことが続出。最近は普段は戦わない横浜市内の高校など、近場限定で練習試合を行うようになった。
(小倉清一郎/元横浜高校野球部部長)
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