マスク着用緩和 高齢者への配慮を忘れずに
2023/03/12 05:00
新型コロナウイルスへの対応が大きく変わる。日常的な感染対策の緩和や公費支援の縮小、医療体制の見直しといった大転換だけに、混乱のないように進めたい。
政府はあす13日から、原則としてマスク着用の推奨をやめ、個人の判断に委ねる。ただし、医療機関や高齢者施設などでは引き続き着用を勧めるという。
脱マスクが一気に進めば、お年寄りや持病のある人は不安を覚えるのではないか。重症化リスクの高い人を感染から守るための配慮は、今後も重視すべきである。政府は、そうしたメッセージを繰り返し出してもらいたい。
マスクを外すことに慎重な意見は今も根強い。長いマスク生活で着用が習慣化した面もある。脱マスクには、それぞれの事情やペースで向き合う必要がある。
飲食店やイベント会場によって、マスクの着用に関する対応が異なることになる。利用者同士が着脱を巡ってトラブルにならないよう、店や主催者は、注意書きの掲示や放送を通じて、わかりやすい説明に努めてほしい。
一人ひとりがマスクを臨機応変に使い分けられることが望ましい。コロナの感染状況はもちろん、周囲に重症化リスクの高い人がいるかどうかや換気の状態などを踏まえて判断すべきだろう。
政府や自治体、専門家は、適切な判断材料となる情報を提供し、正しい知識が国民の間で共有されるようにすることが重要だ。
5月8日には、コロナの感染症法上の分類が、季節性インフルエンザと同じ5類となる。
現在、全額が公費負担となっているコロナの医療費は、自己負担分を患者が支払うことになる。高額な治療薬は、9月末まで公費負担を維持する。一方、ワクチンの無料接種は当面続けるという。
自己負担が発生すると、検査や受診を控える人が増える可能性もある。感染を広げるリスクにもなるため、自宅で療養することが大切だ。企業や学校には、休暇をとりやすくする配慮が要る。
コロナの診療はこれまで、発熱外来など一部に限られ、コロナ患者を診ない医療機関も多かった。移行後は、どこでも受診できるようにする。政府は、診療拒否は認めないとしている。
医療機関の中には、コロナと他の患者の動線を分けられないところもある。発熱外来などの拡充はこれまでも難航してきた。どうすれば可能なのか、自治体や医療機関で具体策を検討すべきだ。
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