【宅配危機】「精神的にもくる」再配達をめぐる”過酷な現状”に密着…相次ぐ不在に悲鳴 政府異例の呼びかけ「2024年問題」
2023/03/16 12:56
私たちの生活に欠かせない「宅配便」。
コロナ禍以降、ネット通販などを利用する人が急増、国内の宅配件数は大きく増加しました。しかし近い将来、必要なときに荷物が届かない、そんな事態が起こりうるといいます。
これまでドライバーの長時間労働が課題となってきた運送業界は、働き方改革の一環で、時間外労働の規制が2024年4月から強化されます。この法改正は、ドライバーの労働環境の改善につながる一方で、長時間労働で賄われていた宅配サービスが機能しなくなる可能性も。
こうした中、政府は14日、「2023年4月を『再配達削減PR月間』と位置づけ、再配達削減に向けた取り組みを強力に推進していく」と発表しました。
宅配ドライバーの大きな負担となっている、不在時の「再配達」。
「めざまし8」が都内の配送業者を取材すると、再配達をめぐる過酷な現状が見えてきました。
「めざまし8」が都内の配送業者を取材すると、再配達をめぐる過酷な現状が見えてきました。
配達業者に密着 相次ぐ不在に「宅配ボックス争奪戦」も…
東京・府中市に拠点を置く、デリバリーサービス株式会社。
午前7時半ごろ、事務室で話し合われていたのは、「再配達」で配送する荷物の数です。その数…なんと60軒。
配達員の志村佳祐さんは、午前9時すぎに倉庫を出発。はじめは順調に荷物を届けていましたが…4軒目でついに、この日、最初の受取人不在です。
取材班に「(午前)10時近くなってきたので、ここから一気に在宅率が下落傾向になってくる」と話す志村さん。その言葉通り、5軒目も不在。
8軒目では、500mLのペットボトル飲料が24本入った箱を二つ、重さ約24㎏を抱きかかえ、家の前に行きますが…。またも不在でした。
こうして不在になる配達には、ある特徴があると言います。
デリバリーサービス 志村佳祐さん:
(水は不在率が)圧倒的に多いですね。セールとか安い時に買われることが多いので、日用品に関しては結構不在率が上がりますね…。
(水は不在率が)圧倒的に多いですね。セールとか安い時に買われることが多いので、日用品に関しては結構不在率が上がりますね…。
13軒目も、箱に入った水。台車ごと抱えてエントランスの階段を上り、エレベーターに乗り込みますが…、荷物を渡せないまま降りてきました。
デリバリーサービス 志村佳祐さん:
これ午前中(指定)なんですよ。指定にもかかわらず、ご在宅でない。これが結構、精神的にもくるので…。
これ午前中(指定)なんですよ。指定にもかかわらず、ご在宅でない。これが結構、精神的にもくるので…。
指定された時間だったにもかかわらず、家主は不在。台車で運んだ荷物を、再び荷台に積み戻します。
宅配ボックスがあれば、不在でも届けることができますが、配送業者間で「宅配ボックス争奪戦」が起きると言います。
デリバリーサービス 志村佳祐さん:
(荷物で)いっぱいです。これがいわゆる「宅配ボックス争奪戦」。我々みたいな小さい運送会社は、争奪戦に負け気味といいますか。これが現実なんですよね、結局。
(荷物で)いっぱいです。これがいわゆる「宅配ボックス争奪戦」。我々みたいな小さい運送会社は、争奪戦に負け気味といいますか。これが現実なんですよね、結局。
午前10時半で、すでに宅配ボックスがいっぱいということも珍しくありません。
この日、約3時間で志村さんが配達に回ったエリアは、府中市内の半径約5㎞のエリア。
18軒のうち、不在のため再配達になったのは、8軒にものぼりました。
18軒のうち、不在のため再配達になったのは、8軒にものぼりました。
デリバリーサービス 志村佳祐さん:
(本来は)比較的午前中はお客さんも在宅されているので、配達件数は伸びるんですけど、午前中でもこの状況なので、結構厳しいですよね。
(本来は)比較的午前中はお客さんも在宅されているので、配達件数は伸びるんですけど、午前中でもこの状況なので、結構厳しいですよね。
「2024年問題」7年後には35%の荷物が“運搬不可”に
国土交通省の調査によると、宅配便の再配達率は約11.8%(2022年10月国交省調べ)。そこで国交省は、宅配便の再配達削減を4月の1カ月間、呼びかけていくといいます。
なぜこのタイミングなのか?
2024年4月の改正労働基準法の適用により、ドライバーの時間外労働の負担軽減の措置として、時間外労働の上限が年960時間に規制されます。
負担軽減の面がある一方で、ドライバーの収入の一部や、1日に運ぶ荷物の量が減ってしまうという問題も。野村総合研究所の予測では、これによる影響でドライバー不足が進み、2025年には約28%、さらに2030年には約35%が“運搬不可”になるという推計が出ています。
しかし、宅配便の取り扱い個数は増加の一途をたどっています。
ドライバーへの負担を減らすには、「再配達」を減らすことが重要です。国交省は「再配達の削減」にむけて、私たちができることとして、以下のようなものを提示しています。
ドライバーへの負担を減らすには、「再配達」を減らすことが重要です。国交省は「再配達の削減」にむけて、私たちができることとして、以下のようなものを提示しています。
・1回で受け取れる日時・場所を指定しよう
・まとめ買いで配送回数を減らそう
・配送状況の通知アプリを活用しよう
・宅配ボックス・置き配を活用しよう
・まとめ買いで配送回数を減らそう
・配送状況の通知アプリを活用しよう
・宅配ボックス・置き配を活用しよう
そのほかにも、5つ、合計9つのアクションが提示されており、国交省のホームページで確認することができます。ドライバーの負担になる「再配達」をなくすために、私たち1人1人が行動に移すことが大切です。
(めざまし8 3月16日放送)
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