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殺菌:微生物の生細胞を殺す事。
滅菌:病原菌、非病原菌、細胞芽胞全てを殺す事。(生きているあらゆる微生物を殺したり除去したりして微生物が存在しない状態)
消毒:感染予防のため病原微生物を殺す事。
理学的消毒法(物理的方法)
熱(焼却、蒸気、煮沸)、照射(紫外線、X線)、濾過などの物理的方法による消毒法。
紫外線(紫外線殺菌灯)
1c㎡あたり85μW以上の紫外線を20分間以上照射。
プラスチック製の器具など蒸気や煮沸消毒できない物に用いられる方法。紫外線が当たった部分だけが殺菌されますので、内部や当たらない部分は、裏返すなりの作業が必要。
長所
あらゆる菌種に有効。非消毒物を殆ど傷めない。匂いが付かない。機材があれば手軽に行える。
短所
紫外線が照射された部分のみ殺菌するので、あたらない部分(内部や陰)は及ばない。人体には有害なので、皮膚粘膜に直接照射しないように。
蒸気
80℃を超える湿熱に10分以上を保つ事。完全殺菌には30分。
芽胞を持ったものに対しては、一旦温度を下げ発芽芽胞を再度蒸気殺菌する方法を3日間継続する方法。(=間欠殺菌)
また、2.5気圧120℃の高圧蒸気を用い、20分程度作用させると芽胞は死滅。
煮沸
煮沸後2分間以上の煮沸(理容師法施行規則・美容師法施行規則で定められる)。
細菌やウイルスは70度以上を数秒作用させると殆ど死滅。但し、完全滅菌には20分以上煮沸。
科学的消毒法(化学的方法)
主に薬品を使用した方法。アルコール、ホルムアルデヒド、石炭酸(フェノール)など。
アルコール 中水準消毒
エチルアルコール(エタノール)、イソプロピルアルコール(イソプロパノール)。
60~80%濃度が消毒用。エタノールは50%以下だと消毒力が無くなる。76.9%~81.4%(理・美容師法施行規則)
イソプロピルアルコールは、60~70%濃度のものが市販されている。
長所
多くの細菌、ウイルスに対して有効。(結核菌・ウイルスに効果有り)
エタノールは毒性が弱い。
器具や手指に使用できる。
短所
芽胞には効果ない。
ゴムやプラスチックなどを劣化させる事が有る。
引火しやすい。
イソプロピルアルコール(イソプロパノール)はやや毒性が強い。
界面活性剤(逆性石鹸、両面活性剤)
逆性石鹸
塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザトニウム。
普通の石鹸とは逆に、分子内の親水基が水中で陽イオンとなる型のものをいう。石鹸と混用すると効果が無い。
結核菌や大多数のウイルスには効果がない。
毒性は弱く、振ると泡が出るが、洗浄力は殆ど無い。
1%の逆性石鹸に10以上浸けて置く。
両面活性剤
水に溶けた時、アルカリ性領域では陰イオン界面活性剤の性質、酸性領域では陽イオン界面活性剤の性質を示す。
結核菌には効果がある。
洗浄力はそれ程期待できない。
グルコン酸クロムへキシジン(ヒビテン液) 低水準消毒薬
グリコン酸クロムヘキシジンの主剤を5%溶液で売っている。(病院では、よく間違わないよう赤桃色に着色してある)
使用希釈濃度は手指・皮膚、器具の消毒は0.1~0.5%程度。
長所
多くの細菌に効果がある。
毒性が弱いので使いやすい。
アルコール類と混用可能。
器具、手指に使用可能。
短所
芽胞や結核菌、ウイルスには効果がない。
石鹸分が有ると効果が落ちる。
塩素剤
結核菌には効果が無い。
塩素系薬剤消毒は、殺菌作用だけでなく漂白作用もあり、有機物による濃度変化を起こし易い。
次亜鉛素酸ナトリウム
長所
殺菌力だけでなく漂白力もある。洗濯洗剤と混ぜて使う事が出来る。
肝炎ウイルスやエイズウイルスにも効果がある。
短所
手指の消毒には適さない。
酸性にすると塩素ガスを発生する。
有機物(汚れ)の存在によって、殺菌力は低下する。
クレゾール石けん水(クレゾール+石けん)
芽胞、とウイルスには効果がない。
クレゾールによる殺菌効果と石けんによる洗浄効果を有している。
有機物存在下でも殺菌効果が弱くなりにくく、有機物への浸透性も良い。
希釈濃度3%程度で使用。
ヨウ素剤など。
パスツール(Louis Pasteur)
(1822-1895) フランスの化学者・細菌学者。酒石酸の旋光性を示し、分子の立体構造の研究に道を開く。
乳酸菌・酪酸菌などの発見を通じ、発酵・腐敗が微生物によって起こる事を証明し、生物の自然発生説を否定。
また、弱毒化した培養菌によって免疫を得る方法を確立、狂犬病ウイルスを発見しワクチンによる予防に成功。
加熱殺菌方と液体培養法。
ローベルト・コッホ(Robert Koch)
(1843-1910) ドイツの細菌学者。炭疽菌の純粋培養、結核菌・コレラ菌の発見、ツベルクリンの創製など、近代細菌学に画期的業績を残した。
固形培地、伝染病の病原体を特定する為の“コッホの3原則”など。
コッホの3原則:(Henle-Koch postulate)
1)一定の伝染病には、一定の微生物が必ず存在する。
2)微生物を分離し、取り出す事が出来る。
3)分離した微生物で、実験的に伝染病を起こる事が可能。
鞭毛(べんもう)とは、鞭毛虫類やある種の細菌、藻類・菌類などの遊走子や配偶子、動物の精子などの体表面にある運動性の細胞器官。一本から数本の大形のものを鞭毛、短くて多数のものを繊毛と呼ぶ。
球菌:球形の細菌の総称。単球菌、双球菌、連鎖球菌、ブドウ球菌、四連球菌、八連球菌など。
桿菌:棒状の形をしている細菌。納豆菌・根粒菌・赤痢菌など。
螺旋菌(スピロヘーター):炎症のある胃粘膜や歯周病の歯周ポケットに存在する可能性が有る。カンピロバクター属など。
発疹チフスリケッチア→虱(シラミ)
ツツガムシ病リケッチア→ダニ
ペスト→蚤(ノミ)
Q熱→ダニなどの媒介(ベクター)を必要としない。
紅斑病→マダニ類
病原体の種類
細菌:緑膿菌、表皮ブドウ球菌、リステリア、ノカルジア、プロテウス、否定型抗酸菌など。
ウイルス:サイトメガロウイルス、単純ヘルペスウイルス、水痘・帯状疱疹ウイルスなど。
真菌:カンジタ、クリプトコックス、アスペルギルス、ムコールなど。
原虫:ニューモチスチス・カリニ、トキソプラズマなど。
感染源
人体感染源:患者、保菌者、接触者など。保菌者には潜伏保菌者、病後保菌者、健康保菌者など。
動物感染:鼠(ワイト病、ペスト)、牛(結核、炭疽、サルモネラ症)、馬(炭疽)、豚(サルモネラ症)、犬(狂犬病)、野鼠(ツツガムシ病)
節足動物感染源:蚊(マラリア、日本脳炎)、シラミ(発疹チフス)、蚤(ペスト)、ダニ(ツツガムシ病)、蝿、ゴキブリなど。
土壌感染源:破傷風など土壌中に病原微生物がいる場合。
直接感染
接触感染:皮膚や粘膜同士が直接触れ合う事で感染する。性病など。
飛沫感染:咳やクシャミ、会話時に飛び出す唾液の飛沫に含まれる病原菌を吸い込む事により感染。百日咳、インフルエンザ、結核など。
胎内感染:母体が感染している場合、妊娠中の母体より胎盤を介して感染が起こる事がある。胎盤は、殆どの感染から胎児を守るが、梅毒や一部の病原体(病原微生物)は感染する事が有る。母体から胎児への感染を垂直感染ともいう。
間接感染
媒介物感染:
器物や衣服、虫刺などを介して・・・白癬症(水虫・たむしなど)、伝染性膿痂疹(とびひ:主に黄色ブドウ球菌感染。他はレンサ球菌感染)
飲食物を介して・・・コレラ、腸チフス、赤痢、細菌性食中毒など。
輸血、血液製剤を介して・・・B型肝炎、C型肝炎、エイズ(HIV)、梅毒など。
空気感染:
飛沫核感染(エアゾール感染)・・・飛沫により更に小さな、飛沫核が空気中に浮遊し起こる感染。麻疹、水痘など。
塵埃感染(じんあい)・・・乾燥などに適応できる病原微生物が、空気中の塵埃に吸収され浮遊し、感染する。
法定伝染病と指定伝染病は届出と隔離が義務。
法定伝染病・・・赤痢、猩紅熱、疑似赤痢、コレラ、ペスト、ニューカッスル、狂犬病、炭疽、ブルセラ、結核、ヨーネ、SARS(日本ではまだだっけ?)、BSE(狂牛病)など。
指定伝染病・・・コレラ、細菌性赤痢、アメーバー性赤痢、疫痢、腸チフス、パラチフス、痘そう、発疹チフス、猩紅熱、ジフテリア、流行性脳脊髄膜炎、ペスト、日本脳炎、急性灰白髄炎、病原性大腸菌O-157など
届出伝染病・・・隔離は無いが届け出が必要。性病や結核、癩(ライ)、トラコーマ、日本住血吸虫、食中毒も届出です。
直接感染を避ける方法:患者との面会謝絶、病室別換気と消毒、予防着やマスク着用、手洗いなどを十分に行う。
直接感染を防ぐ方法:汚染物の消毒。伝染病の種類により病原体の排出経路が有るので、適応消毒処置を行う。
飲食物による感染防止:貯蔵、製造、調理法への徹底的な衛生的管理が必要。
昆虫や動物媒介の感染予防:蝿、蚊、虱、ダニ、蚤、鼠などの駆除をはじめ、環境衛生への取り組みが大切。