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札幌・円山生活日記

敗者の明治維新「北海道編」~さっぽろ市民カレッジ~

「さっぽろ市民カレッジ」は「札幌市生涯学習総合センターちえりあ」の中核施設である「札幌市生涯学習センター」が開設する札幌市民や通勤・通学者を対象とする生涯学習の機会。2000年(平成12年)9月の開設で市民活動、産業・ビジネス、文化・教養等幅広い分野にわたる各種講座を開講しています。各地区図書館や区民センター、市立札幌大通高校などを会場とし通いやすさも魅力です。

「さっぽろ市民カレッジ」の2021年秋の講座「敗者の明治維新「北海道編」~散られざる五稜郭の攻防~」に参加してきました。ひょんなことから円山公園や中島公園の現地学習もある同講座「さっぽろ公園をもっと楽しもう」とともに申し込んだのですが、後者は残念ながらコロナ禍で中止になりました。前者も9月開催予定の第1回が中止になりましたが10月より3回シリーズで札幌市中央図書館で開催されました。特に関心は第2回の「蝦夷共和国は何だったのか?」です。講師の解説に合点するとともに興味深いお話もあり楽しんで受講いたしました。

講座の概要です。全4回のコースが4回目が無くなり10月7日(金)より全3回で開催されました。

会場の「札幌市中央図書館」。第1・2回は自転車で3回目は雨のため市電で参りました。

1階ホール。大変立派な図書館です。
階段を上がった3階の講堂が会場です。

講座のチラシ。


会場の風景です。主催者の許可をいただき撮影しました。

講座では第1回「幕末維新期の蝦夷地や五稜郭~函館戦争の舞台をめぐる~」で「函館戦争」の舞台である明治維新期の蝦夷地・函館とその時代背景が解説され、第2回「旧幕臣・榎本武揚の思想と行動~「蝦夷共和国」とは何だったのか?~」で冒頭記述の主要関心事の説明があり、第3回「土方歳三と函館新選組~新選組、「最後の地」までの道程~」でまとめられます。

「箱館戦争(はこだてせんそう)慶応4年/明治元年-明治2年(1868年 - 1869年)」とは、戊辰戦争の局面のひとつで、新政府軍と旧幕府軍との最後の戦闘で旧幕府軍の蝦夷地での根拠地から五稜郭の戦いとも呼ばれます。

背景には大政奉還、江戸城無血開城、北陸・東北での戊辰戦争の過程で、慶応4年(1868年)5月、新政府が決定した徳川家への処置(駿河・遠江70万石への減封)により多くの幕臣が路頭に迷うことを憂いた海軍副総裁の榎本武揚が、蝦夷地に旧幕臣を移住させ北方の防備と開拓にあたらせようと画策したことがあります(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)函館戦争』 )。

私の以前からの疑問は、榎本武揚率いる旧幕府軍は明治新政府に武力で抵抗する集団ではあっても、「政権」とも、ましてや「共和国」と呼べるような統治体制などなかったはず。それを書物等で頻繁に登場する「蝦夷共和国」と呼ぶのは何故なのか?という点にありました。なお司馬遼太郎著「燃えよ剣」は愛読書で土方歳三はじめ旧幕府方にはシンパシーを感じる方ですが・・。北海道の人は独立意識・志向が強いのかとも思っていました。その回答は以下の通りでした。

講義資料。榎本武揚の写真です。

要するに「榎本政権関係者が共和国構想を語ったことはない」、「当時の外国人がサムライ士官だけの選挙でできた“共和国”と揶揄した」、それを「戦後の権力から遠い民間史学・マルクス主義の歴史家が自分達の歴史の価値観で生み出したのが“蝦夷共和国”」だということでした。現在も共和国信奉者が少なからずいて「ウィキペディア(Wikipedia)」などでも「蝦夷共和国」が頻繁に登場するのは熱心に書き換える人がいるからだそうです。

決して北海道の多くの人がそう信じている訳では無かったようです。特に講義の中で「函館の人はどう思っているか」との質問に「他人同士の戦闘で被害を受けた函館には榎本武揚の顕彰碑や銅像はない」、「当時の人は単に“脱走兵”“だっそう”と呼んでいた」、「函館の郷土史研究家は決して共和国と呼ばない」との説明にそんなものだろうなと合点しました。

第1回や第3回目の講座も興味深いものでしたが割愛します。代わりに「へーそうなの⁈」と思ったことを一つ、二つ。まず「最近の学生は歴史ドラマや時代劇をあまり見ないので江戸時代の体制を理解させるのに苦労する、昔は時代劇を見て武士や町人、幕府や藩などの体制を何となく理解していた」、「歴史本や司馬遼太郎の著作も読む学生も少なく歴史学を志向する学生のきっかけはアニメやゲーム」などなど。そんなものですか。

もう一つ興味深かった逸話。函館の「碧血碑」です。

碧血碑(へきけつひ、へっけつひ)は、北海道函館市、函館山の麓に明治8年(1875年)5月に建立された戊辰戦争、特に箱館戦争における旧幕府軍の戦死者を記念する慰霊碑。土方歳三や中島三郎助などをはじめとする約800人の戦死者を弔っている。 

碧血碑の裏側には「明治辰巳實有此事 立石山上㕥表厥志」との文字が刻まれている。これは、「明治辰巳、実に此の事有り、石を山上に立てて以て厥(そ)の志を表す」と読み、「明治2年、此の事は実際にありました。山上に石を建ててその気持ちを表します」という意味である。明治2年(1869年)は箱館戦争で五稜郭の旧幕府軍が降伏し、戊辰戦争が終結した年であるが、建立当時でもそうした経緯に具体的に触れることがはばかられていたことが推測される表現となっている。(出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』。

「明治辰巳實有此事 立石山上㕥表厥志」!。残念ながら函館旅行の際に訪問する機会がありませんでした。是非次回の函館旅行の際には訪問したいものです。
 
講義前後に「札幌市中央図書館」1階の「埋蔵文化財展示室」を見学しました。

仲々充実の展示でした。特にアイヌ集落のジオラマ(写真撮影禁止)は見応えがありました。

久しぶりに2時間座って講義を聞くという経験をしました。興味深い内容で結構でした。講座はボランテイアの方々が企画から講師選定・依頼までの準備をされるとか。そのご尽力に感謝です。また楽しそうな企画があれば参加したいと思いました。ありがとうございました。

「札幌市生涯学習総合センター ちえりあ」
札幌市西区宮の沢1条1丁目1-10
「札幌市生涯学習センター」
開館時間:8時45分~22時
休館日:毎月第2月曜・年末年始
TEL:011-671-2200(代表)・FAX:011-671-2233
https://chieria.slp.or.jp/index.html

「札幌市中央図書館」
〒064-8516 札幌市中央区南22条西13丁目1番1号
 電話番号:011-512-7320/FAX:011-512-5783
開館時間 月~金:9時15分~20時00分/土・日・祝:9時15分~17時00分
休館日 施設点検日(毎月第2水曜日)/図書整理日(毎月第4水曜日)/年末年始(12月29日~1月3日)/蔵書一斉点検期間【年1回】


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