ついにここまで

先日、東京遠征から帰ってきた夜の出来事。
22時を回った頃だろうか。

新幹線を京都で降り、奈良へ帰るため近鉄の連絡口で切符を買おうと
立ち止まっていた。肩にはアコースティックギター、
手には少し大きめの荷物。

視線を感じるのだ。それも若い女性二人組の。

完全にこちらを見ている。年齢を考えると知り合いでもない。
思わず自分の身なりをチェックする。
別に下半身裸でもないし、靴もちゃんと履いている。

気のせいか、と切符を買いに券売機へ歩み寄ったそのとき。
女性が小走りで駆け寄ってきた。顔を紅潮させ、非常にポジティブな笑みを浮かべて。

女性：「あの。。。もしかして。。。」

ヒデ：「え？　あ、はい。」


来た。ついに来た。アランスミシーバンド結成から6年、色々とやってきたが
ついにここまで来たか。顔が割れたのだ。
いやしかしこんな若い子が、いや若いからこそ思い切って声をかけてくれたのだろう、えっとマジックあったかなあーそうそうカバンのあのチャック開けたとこにあるな云々。。。

カバンに手をかけたそのとき。


女性：「小山田圭吾さんですよね？」


ヒデ：「あ　違います」


女性：「あ？そうですか。。。すみません」


その後　奈良までのがらがらの特急列車の中で、僕は泣いた。